甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

禅宗様建築

【港区】瑞聖寺

今回は東京都港区の瑞聖寺について。 瑞聖寺は白金台に鎮座する黄檗宗の寺院です。山号は紫雲山。 創建は1670年(寛文十年)。摂津麻田藩2代目・青木重兼の開基により、木庵性瑫*1が開山しました。創建以来、江戸の黄檗宗寺院の中心として隆盛し、多くの伽藍が…

【京都市】妙心寺 その2 仏殿と法堂

今回も京都府京都市の妙心寺について。 その1では南門、勅使門、山門について述べました。 当記事では仏殿と法堂について述べます。 仏殿 山門の後方へ進むと、妙心寺の本堂に相当する仏殿が鎮座しています。 桁行3間・梁間3間、一重、裳階付、入母屋、本瓦葺…

【京都市】妙心寺 その1 南門、勅使門、山門

今回は京都府京都市の妙心寺(みょうしんじ)について。 妙心寺は市の北西部の寺町に鎮座する臨済宗妙心寺派の大本山です。山号は正法山。 創建は室町初期。花園上皇の発願を受け、1342年(暦応五年・康永元年)に関山慧玄によって開かれました。3代将軍・義満の時…

【京都市】大徳寺 後編(仏殿、法堂など)

今回も京都府京都市の大徳寺について。 前編では勅使門や山門について述べました。 当記事では仏殿、法堂などについて述べます。 仏殿(本堂) 山門の後方には、大徳寺の本堂に相当する仏殿が鎮座していますが、訪問時は修理中でした。 建築様式は、桁行3間・梁…

【潮来市】長勝寺

今回は茨城県潮来市の長勝寺(ちょうしょうじ)について。 長勝寺は潮来市街に鎮座する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号は海雲山。 創建は不明。寺伝によると1185年(文治元年)、源頼朝により開かれたとのこと。鎌倉時代は幕府の崇敬を受けて隆盛したようです。…

【鎌倉市】円覚寺 その3(正続院および舎利殿)

今回も神奈川県鎌倉市の円覚寺について。 その1では、山門や仏殿などについて、 その2では、洪鐘、方丈、開基廟などについて述べました。 当記事では、正続院と国宝の舎利殿、塔頭の黄梅院について述べます。 正続院(山門と鐘楼) 仏殿や方丈の脇を通って境内…

【鎌倉市】建長寺 後編(仏殿、法堂、唐門)

今回も神奈川県鎌倉市の建長寺について。 前編では山門、鐘楼などについて述べました。 当記事では仏殿、法堂、唐門などについて述べます。 仏殿 三門の先には、当寺の本堂に相当する仏殿が鎮座しています。 桁行3間・梁間3間、一重、裳階付、寄棟、裳階正面…

【鎌倉市】英勝寺

今回は神奈川県鎌倉市の英勝寺(えいしょうじ)について。 英勝寺は鎌倉市街の東端に鎮座する浄土宗の尼寺です。山号は東光山。 創建は1636年(寛永十三年)。徳川家康の側室である英勝院(お勝の方)によって開かれました。江戸時代を通して水戸徳川家の庇護を受…

大仏様建築と禅宗様建築のちがい(鎌倉新様式の歴史と特徴)

今回は寺社の基礎知識として、大仏様建築と禅宗様建築について。 前回の記事(下記リンク)では、和様・大仏様・禅宗様および折衷様の概説と代表例を述べました。 www.hineriman.work 当記事では、鎌倉新様式(大仏様と禅宗様)の歴史や特徴について詳細に解説して…

和様、大仏様、禅宗様および折衷様とは【寺社の基礎知識】

今回は寺社の基礎知識として、和様、大仏様、禅宗様および折衷様について。 寺社建築の3様式 意匠と構造による分類 建築には入母屋や流造といったように、屋根の構造による分類法があります。 それとは別に、日本の寺社建築には各所の意匠と構造による分類法…

【津市】専修寺 その2(如来堂と御影堂)

今回も三重県津市の専修寺について。 その1では唐門と山門について述べました。 当記事では如来堂と御影堂について述べます。 如来堂 専修寺の中枢といえる伽藍のひとつが、こちらの如来堂。境内中央の西側(向かって左)にあります。 仏堂として規格外といっ…

【羽咋市】妙成寺 その3(本堂、祖師堂、鐘楼)

今回も石川県羽咋市の妙成寺について。 その1では二王門、経堂、五重塔などについて、 その2では丈六堂、三十番神堂、三光堂について述べました。 当記事では本堂、祖師堂、鐘楼などについて述べます。 本堂 三光堂の右隣には、存在感あふれる大型の本堂が南…

【高岡市】瑞龍寺

今回は富山県高岡市の瑞龍寺(ずいりゅうじ)について。 瑞龍寺は高岡市の中心部に鎮座している曹洞宗の寺院です。山号は高岡山。 創建は1614年(慶長十九年)。加賀藩2代目・前田利長が金沢に開いた宝円寺(法円寺)という寺院を、3代目・前田利常が当地に移転して…

【岡崎市】天恩寺

今回は愛知県岡崎市の天恩寺(てんおんじ)について。 天恩寺は市南部の山際に鎮座している臨済宗の寺院です。山号は廣澤山。 創建は寺伝によると室町初期で、足利尊氏と足利義満によって開かれたとのこと。戦国期には長篠の戦いへ赴く徳川家康が当寺に泊まっ…

【岡崎市】信光明寺と岩津天満宮

今回は愛知県岡崎市の信光明寺(しんこうみょうじ)と岩津天満宮(いわづ てんまんぐう)について。 信光明寺 信光明寺(しんこうみょうじ)は岡崎市北部の住宅地に鎮座している浄土宗の寺院です。山号は弥勒山。 創建は1451年で、松平信光(徳川家の祖先)の発願に…

【多治見市】永保寺 後編(開山堂、その他の伽藍)

今回も岐阜県多治見市の永保寺について。 前編では庭園と観音堂について述べました。 後編の当記事では開山堂とその他の伽藍について解説していきます。 開山堂 観音堂の前の池を迂回して境内の西の端へ進むと、その奥には開山堂(国宝)が鎮座しています。 正…

【多治見市】永保寺 前編(庭園と観音堂)

今回は岐阜県多治見市の永保寺(えいほうじ)について。 永保寺は多治見市街の高台に鎮座する臨済宗の寺院です。山号は虎渓山。 創建は鎌倉後期の1313年で、多数の庭園を設計したことで知られる夢窓疎石によって開基されました。境内については鎌倉後期と室町…

【八百津町】明鏡寺

今回は岐阜県八百津町の明鏡寺(みょうきょうじ)について。 明鏡寺は八百津町南部の山際の集落に鎮座している臨済宗の寺院です。山号は霊光山。 創建は室町初期で、鎌倉幕府6代将軍の宗尊親王の菩提を弔うため開かれたとのこと。伽藍の大部分は現代のものです…

【甲府市】東光寺

今回は山梨県甲府市の東光寺(とうこうじ)について。 東光寺は市の北東部の住宅地に鎮座している臨済宗の寺院です。山号は法蓋山。 開基については詳細不明ですが平安期とされ、鎌倉期に再興して幕府の官寺となっていたようです。室町後期には武田氏の庇護を…

【南部町】最恩寺

今回は山梨県南部町の最恩寺(さいおんじ)について。 最恩寺は山梨県の南端・南部町の、富士川支流の沿岸に鎮座している臨済宗の寺院です。山号は「福士山」。 小規模な境内の中央に重要文化財の仏殿だけがある非常にシンプルな内容。仏殿も規模の小さいもので…

【瀬戸市】定光寺 ~前編(本堂)~

今回は愛知県瀬戸市の定光寺(じょうこうじ)について。 定光寺は瀬戸市の山間に鎮座する臨済宗の寺院です。山号は応夢山。 境内の中央に建つ本堂は典型的な禅宗様建築で、重要文化財に指定されています。 また、後編にて述べますが本堂の裏手には源敬公廟とい…

【松本市】田村堂と波多神社

今回は長野県松本市の田村堂(たむらどう)と波多神社(はた-)について。 現地情報 所在地 〒390-1401長野県松本市波田4570(地図) アクセス 渕東駅から徒歩10分松本ICから車で20分 駐車場 10台(無料) 営業時間 随時 入場料 無料 社務所 なし 公式サイト なし 所要…

【山梨市】清白寺

今回は山梨県山梨市の清白寺(せいはくじ)について。 清白寺は笛吹川南岸の農園地帯に鎮座する臨済宗の寺院です。山号は海涌山。 創建は、1333年(正慶二年)または1351年(観応二年)とされます。『甲斐国志』(1814年成立)によると、足利尊氏によって開かれたと…

【上田市】安楽寺 後編(八角三重塔など)

今回も長野県上田市の安楽寺について。 前編では本堂などの伽藍について紹介・解説しました。 当記事では国宝の八角三重塔 などについて解説していきます。 経蔵と傅芳堂 国宝の八角三重塔のある場所へ行くには、本堂の左手にある拝観受付を通って階段の斜面…