甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

寺社建築ベストセレクション【2022年総集編】

今回は一年の最終日ということで、2022年の総集編となります。 ことし当ブログで紹介した約150件の寺社建築のうち、感動した、あるいは秀逸だと思ったものをノミネートし、見どころや文化的価値について短評を述べていきます。 なお、ノミネートの選考基準は…

【長野市】善光寺 その2 山門と経蔵

今回も長野県長野市の善光寺について。 その1では仁王門と釈迦堂について述べました。 当記事では山門と経蔵について述べます。 駒返り橋 仲見世に戻って参道を進み、車道を横断して境内の北側へ入ると、水路の上に短い石橋がかかっています。 この石橋には…

【安曇野市】松尾寺

今回は長野県安曇野市の松尾寺(まつおじ)について。 松尾寺は市西部の有明地区に鎮座する高野山真言宗の寺院です。山号は鶴王山。 創建は不明。『長野県史』によると651年(白鳳二年)の創建とのこと。室町後期には仁科盛政によって再興されたと伝わり、現在の…

【鎌倉市】鶴岡八幡宮 後編(舞殿、若宮、本宮、丸山稲荷社)

今回も神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮について。 前編では参道と源平池について述べました。 当記事では舞殿、若宮、本宮、丸山稲荷社について述べます。 舞殿 境内の中心部には舞殿が鎮座しています。 写真中央が舞殿で、手前にある社殿(拝所あるいは廊下?)と…

【鎌倉市】鶴岡八幡宮 前編(参道と源平池)

今回は神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮(つるがおか はちまんぐう)について。 鶴岡八幡宮は鎌倉市街の北部に鎮座しています。別名は鎌倉八幡宮。 創建は1063年(康平六年)。河内源氏2代目の源頼義が、石清水八幡宮(壺井八幡宮とする説もある)から八幡神を勧請し、…

【鎌倉市】英勝寺

今回は神奈川県鎌倉市の英勝寺(えいしょうじ)について。 英勝寺は鎌倉市街の東端に鎮座する浄土宗の尼寺です。山号は東光山。 創建は1636年(寛永十三年)。徳川家康の側室である英勝院(お勝の方)によって開かれました。江戸時代を通して水戸徳川家の庇護を受…

【鎌倉市】浄光明寺

今回は神奈川県鎌倉市の浄光明寺(じょうこうみょうじ)について。 浄光明寺は市街地北西部の山際に鎮座する真言宗泉涌寺派の寺院です。山号は泉谷山。 創建は寺伝によると1251年(建長三年)頃で、北条時頼・長時の開基とのこと。創建から江戸時代まで、複数の宗…

大仏様建築と禅宗様建築のちがい(鎌倉新様式の歴史と特徴)

今回は寺社の基礎知識として、大仏様建築と禅宗様建築について。 前回の記事(下記リンク)では、和様・大仏様・禅宗様および折衷様の概説と代表例を述べました。 www.hineriman.work 当記事では、鎌倉新様式(大仏様と禅宗様)の歴史や特徴について詳細に解説して…

【豊島区】雑司ヶ谷鬼子母神堂(法明寺)

今回は東京都豊島区の雑司ヶ谷鬼子母神堂(ぞうしがや きしもじんどう)について。 雑司ヶ谷鬼子母神堂は雑司ヶ谷の住宅地に鎮座する仏堂で、威光山法明寺(南池袋にある日蓮宗の寺院)の飛地です。 法明寺は810年(弘仁元年)に創建された威光寺が前身。1312年(正…

【新宿区】穴八幡宮

今回は東京都新宿区の穴八幡宮(あな はちまんぐう)について。 穴八幡宮は早稲田の市街地に鎮座しています。 創建は社伝によると1062年(康平五年)で、源義家が当地に八幡神を祀ったのが始まりとのこと。当初は高田八幡宮と呼ばれていましたが、1641年に当社の…

【台東区】寛永寺 後編(根本中堂、常憲院、厳有院、旧本坊表門)

今回も東京都台東区の寛永寺について。 前編ではアクセス情報および清水堂、五重塔、十輪院宝蔵について述べました。 当記事では根本中堂(本堂)、常憲院勅額門、厳有院勅額門、旧本坊表門について述べます。 根本中堂(本堂) 所在地:110-0002東京都台東区上…

【台東区】寛永寺 前編(清水堂、五重塔、十輪院宝蔵)

今回は東京都台東区の寛永寺(かんえいじ)について。 寛永寺は上野公園の一画に鎮座する天台宗の関東総本山です。山号は東叡山。 創建は1625年(寛永二年)。3代将軍・徳川家光の命を受けた天海によって、江戸城の鬼門の鎮護として開かれました。比叡山延暦寺に…

【台東区】上野東照宮

今回は東京都台東区の上野東照宮(うえの とうしょうぐう)について。 上野東照宮は上野公園の一画に鎮座しています。正式名称は東照宮。 創建は1627年(寛永四年)。徳川家康の遺命を受けた天海と藤堂高虎が、藤堂家の敷地内に東照宮を祀ったのがはじまりとされ…