世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【山梨市】清白寺 ~人知れぬ小さな国宝建築~

今回は山梨県のマイナー観光地ということで、山梨市の清白寺(せいはくじ)について。

 

山梨市や甲州市はワインの産地として著名ですが、実際に行ってみると本当にブドウ畑が多く、山が丸ごと畑になっている場所もあって圧倒されます。森のように広いブドウ畑の真っ只中に国宝の寺院が鎮座しており、それが清白寺です。

山梨県には建造物の国宝が2点あり、そのうちの1つが清白寺の仏殿なのですが、10連休初日の正午にもかかわらず閑散としており、国宝建築を独り占めしてじっくりと鑑賞することができました。Google Mapなどのレビューを見ても件数が少ないあたりから察するに、休日の昼間に来てもかなりの確率で国宝を独り占めできることと思います。

清白寺へのアクセスは、最寄りの東山梨駅から徒歩10分程度です。駐車場は国宝の仏殿の近くに10台分くらいあります。

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清白寺の入口。ご覧のとおり、周囲はブドウ畑がどこまでも広がっています。

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参道の梅並木。

この細道を進んで行くと駐車場がありますが、すれ違い不可能なので要注意です。

 

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参道を進んで行くと門と鐘楼門(鐘つき堂を兼ねた山門)があります。

門、鐘楼門、仏殿、本堂が一直線に並んだ伽藍配置は、禅宗寺院の形式の配置なのだそうです。

 

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そしてこちらが国宝の仏殿です。本尊は釈迦如来。建立は1415年。

屋根は檜皮葺(ひわだぶき)で、平入の入母屋です。2階建てのように見えますが、下の屋根は“裳階”(もこし)という寺院建築に特有の庇(ひさし)の一種です。

長野市で生まれ育った私に言わせれば、この仏堂のシルエットは後ろから見た善光寺とよく似ていますが、屋根の反りや裳階とのバランスはこちらのほうが美しいと思います。

 

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正面から見上げた図。

下の屋根は裳階なので、上の屋根と比べるとシンプルな造り。組物の構造や数、垂木の造りと密度がちがいます。

垂木をよく観察してみると、裳階の垂木は平行に伸びているのに対し、上の屋根の垂木は放射状に伸びています。統一感がないようにも見えますが、これは禅宗様の建築の特徴の1つです。

他にも禅宗様の特徴は多数あるのですが、この仏殿からは解りにくいので割愛いたします。

禅宗様建築の特徴については下記の記事を参照いただけると幸いです。

hineriman.hatenablog.jp

 

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側面。幅と奥行きが同じなので、平面は正方形です。

なお、内部の拝観は要予約で、予約なしだと入口の格子から中をのぞき込むことしかできません。

 

仏殿の解説はこの辺にして、境内にある他の建物も見ていきましょう。

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本堂。先ほどの仏殿は軽快な印象の屋根でしたが、こちらは重厚な瓦葺き屋根で対照的です。

 

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重要文化財の庫裏(くり)。

庫裏というのは僧侶たちの台所兼住居ですが、隣にご住職のものと思しき家があったので、さすがに今は使われていないでしょう。とはいえ、非常に立派な庫裏です。

 

以上が清白寺の境内になります。お世辞抜きに素晴らしい伽藍なのですが、ほとんど人気がなく、拝観も要予約なのが不思議でなりません。

いつになるかは謎ですが次に訪問する予定ができたら、拝観をお願いしたいところ。内部を見せて貰えたらまた記事にしたいと思います。

 

以上、清白寺でした。

(訪問日2019/04/27)