甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【山梨市】清白寺

今回は山梨県山梨市の清白寺(せいはくじ)について。

 

清白寺は笛吹川南岸の農園地帯に鎮座する臨済宗の寺院です。山号は海涌山。

創建は南北朝時代で、足利尊氏によって開基されたようです。境内は伽藍が一直線に並んだ禅宗式の配置となっており、室町期に造営された仏殿は禅宗様建築の典型ともいえる端正な外観をしており、国宝に指定されています。

 

現地情報

所在地 〒405-0011山梨県山梨市三ケ所620(地図)
アクセス 東山梨駅から徒歩5分
勝沼ICから車で15分
駐車場 50台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料 ※仏殿の内部拝観は要予約(300円)。
社務所 あり(要予約)
公式サイト 国宝清白寺
所要時間 15分程度

 

境内

参道

清白寺参道

清白寺の境内は南向き。

参道の両脇は梅の並木になっており、写真左右はブドウ畑です。この近辺は果樹園が一帯に広がっており、散布車が境内の裏手に停められていました。

なお、参拝者用の駐車場はこの参道の先にあります。

 

清白寺総門

総門は桟瓦葺の切妻。正面1間・側面2間で、四脚門(よつあしもん)という様式。柱はいずれも円柱。

四脚門は前後の柱を角柱にするのがふつうですが、この総門はすべてを円柱にしています。

扁額は山号「海涌山」。

造営年は1731年(享保16年)とのこと。

 

総門内部

柱をよく見ると、上端が少しすぼまっています。これは禅宗様の意匠。

柱は貫で連結され、貫の端には木鼻がつけられています。側面(写真右)の木鼻は、台輪にも木鼻がついており、ここも禅宗様の意匠です。

軒裏は一重のまばら垂木で、化粧屋根裏。内部は天井がありません。

 

清白寺鐘楼門

総門の先にあるのは鐘楼門。

桟瓦葺の入母屋で、正面1間・側面2間。柱は1階部分が円柱、2階部分が角柱。

 

鐘楼門2階

2階部分。梵鐘が吊るされています。

軒裏は二軒(ふたのき)のまばら垂木。

 

仏殿(国宝)

清白寺仏殿

境内の中央部には仏殿が鎮座しています。

仏殿は檜皮葺の入母屋(平入)、裳階(もこし)付き。正面3間・側面3間。

手短に言うと方三間裳階付きという、禅宗様建築の典型といえる建築様式。細部の意匠も例外なく禅宗様に則ったものとなっています。

組物の墨書銘によると1415年(応永22年)の造営国宝に指定されています

本尊は釈迦如来。

 

方三間裳階付きの仏堂は、東日本だと東光寺(甲府市)や円覚寺(鎌倉市)や正福寺(東村山市)などがありますが、同様式の中では最小規模のものといえます。

 

仏殿の軒下

1階部分。

写真上半分に屋根のようなものが見えますが屋根ではなく庇(ひさし)であり、この仏殿は平屋です。このように母屋を囲うように設けられた庇裳階(もこし)といいます。

 

正面中央には両開きの扉が立てつけられていますが、これは桟唐戸(さんからど)。また、その左右には釣り鐘のような形をした窓が見られますが、これは火灯窓(かとうまど)

桟唐戸と火灯窓は、禅宗様建築の基本的な意匠です。

柱は上端がすぼまった形状をしており、こちらも前述のとおり禅宗様の意匠。

 

仏殿背面

左側面および背面。

屋根と裳階は四隅が反り返った曲線的な形状。

側面には火灯窓、背面中央には桟唐戸が見えます。

壁板は縦方向に張られていますが、これも禅宗様建築の特徴の1つ。

 

仏殿の軒裏

屋根および裳階の軒裏。

下方の裳階は一重のまばら垂木が平行に伸びています。それに対し、上方の屋根は二軒の繁垂木が放射状に延びています。このような放射状の垂木を、扇垂木といいます

 

仏殿のもこしの上

柱間の数を見ると、裳階の下は5間四方ですが、裳階の上は3間四方となっています。

この場合、梁間・桁行は裳階の上の柱間の数を使うのが正解。よってこの仏殿は3間四方、すなわち方三間です。

 

裳階の影になっていてちょっと見づらいですが、頭貫だけでなく台輪にも木鼻がついており、やはり禅宗様の木鼻になっています。

台輪の上では組物が桁を受けていますが、ふつうは柱の軸上に置くはずの組物が、柱間にも配置されています。これは、詰組(つめぐみ)といいます。

前述の扇垂木や詰組も禅宗様建築の意匠です。

 

仏殿については以上。

内部は桟唐戸の格子からのぞき込めますが撮影禁止でした。

内部拝観は要予約となっていますが、内部の柱や鏡天井などの重要な部分は公式サイトに写真が掲載されていて、一見の価値のある内容です。

 

本堂と庫裏

清白寺本堂

仏殿の裏には本堂。

本堂は桟瓦葺の入母屋。向拝なし。扁額は「大雄寶殿」。

 

本堂の玄関

こちらは本堂の玄関(?)らしき箇所。

向唐破風(むこう からはふ)の軒下には、笈形(おいがた)のついた大瓶束(たいへいづか)などが見えます。

 

清白寺庫裏

こちらは庫裏(くり)。言うなれば僧侶のための居間兼台所。

茅葺の切妻。元禄年間(1690年頃)の再建とされ、国指定重要文化財です。

江戸時代中期の禅宗様伽藍における庫裏として、現存しているのは貴重とのこと。

 

以上、清白寺でした。

(訪問日2019/04/27,2020/05/24)

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