世をひねる

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【上田市】安楽寺 ~国宝・八角三重塔は唯一無二の珍物件!~

今回は長野県上田市の安楽寺(あんらくじ)について。

 

安楽寺が鎮座するのは、長野県内でも屈指の観光地である塩田平(しおだだいら)の別所温泉です。山号は崇福山。

塩田平には多数の名所・名刹があり“信州の鎌倉”という二つ名がありますが、そんな塩田平の寺社建築の中でも白眉と言える傑作があるのが安楽寺で、八角三重塔は国宝に指定されています。

 

現地情報

所在地 〒386-1431長野県上田市別所温泉2361(地図)
アクセス

別所温泉駅から徒歩15分

上田菅平ICから車で30分

駐車場 20台(無料)
営業時間 08:00-17:00、11月から2月は16:00まで
入場料 300円
寺務所 あり
公式サイト 宗教法人 曹洞宗 崇福山安楽寺
所要時間 30分程度

 

境内

参道と本堂

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山門は桟瓦葺の切妻。扁額は山号「崇福山」。

この先に駐車場があるので、車で来た場合は対向車に気をつけつつ門を通過しましょう。

 

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駐車場に車を止めて階段を上って行くと安楽寺の本堂があります。

本堂の屋根には北条氏の紋(三つ鱗)がついていました。

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こちらは鐘つき堂。よく手入れされた境内に遅咲きの梅が彩りを添えていました。

なお、本堂の拝観までは無料でできます。これより先は有料区間ということで、受付の窓口でチケットを買う必要があります。300円也。

ほぼ朝一だったので境内には人気がなく、そのせいか受付のお婆さんは私に気づいていない様子。気持ち大きめの声で呼びかけてみると、急な来訪者に少々びっくりした様子でチケットを渡してくれました。

 

参道(本堂から三重塔)

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ここから有料区間になります。まず目に入るのは経蔵。中をのぞき込んでみると赤い輪蔵がありました。それと、天井絵も見事です。

内部の写真は撮っていないですが、訪問の際はここもよく見て行きましょう。

 

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八角三重塔を目指して階段を上って行くと、途中にこのような陸屋根の建物もあります。こちらは、安楽寺の開基である和尚の木像が2つ安置されていました。木像は2つとも国重文とのこと。

あいにく彫刻の見かたは良く解らないので何とも言えないですが、鎌倉時代に作られたとのことなので、すごいものなのでしょう...

例のごとく内部の写真は撮っていないので割愛。

 

八角三重塔

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階段はそんなに長くないですが、ようやく到着。こちらが国宝・八角三重塔

文化財に指定されいる建築物で八角形の仏塔は他に例がなく、国内で唯一の八角三重塔です。鑑定によると1290年建立とのことで、この八角三重塔は禅宗様(ぜんしゅうよう)の建築として現存最古のものと考えられています。

禅宗様とは鎌倉時代中期、禅宗とともに大陸から伝来した建築様式のことを言います。

では、この八角三重塔のどのあたりが禅宗様なのかについて、これから少しずつ解説して行きましょう。

 

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周囲をぐるりと回って辺の数を見てみると、確かに八角形です。そして一見したところでは明らかに四重です。しかし、一番下の屋根(に見えるもの)は庇(ひさし)の一種なので、これは三重塔なのです。ちなみにこの庇は裳階(もこし)という仏教建築特有の装飾兼雨よけで、禅宗様に特有のものではありません。

なお、知ったような口振りで語っていますが、裳階の解説は案内板の受け売りです。中の構造を見ずに屋根と裳階を見分けるなんて素人にはほぼ無理です。もし私が何も知らずにこの八角三重塔を見たら、「四重じゃん! どこが三重塔だよ!?」とかほざいていたことでしょう...

 

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写真の下半分は裳階(もこし)、上半分は屋根。言われてみると、組物の構造がちがいます。裳階の軒下は簡易的なニ手先であるのに対し、屋根の軒下は三手先です。

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それと、組物は普通なら柱の真上に配置されるものですが、柱の間、梁の上にも配置されています。これを詰組(つめぐみ)と言い、禅宗様の特徴の1つであります。

 

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寺社建築の見所といったら、やはり垂木ですね。写真のように放射状に伸びた垂木のことを“扇垂木”(おうぎだるき)と言い、これは禅宗様の特徴として非常に解りやすいところです。

 

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屋根は、木材の薄板を重ねた柿葺(こけらぶき)。

 

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1階部分(?)の壁をよく見ると無塗装の板が縦に使われていますが、これも禅宗様の特徴です。

 

だいぶ大ざっぱで初歩的な内容になりましたが、八角三重塔の外観から解る禅宗様の特徴はこちらの3点です。

・放射状の垂木(扇垂木)

・組物が柱間にもある(詰組)

・壁板は縦に使い、彩色しない(縦板壁、素木造)

 

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最後に八角三重塔の全体図を。

ご覧の通り塔の周囲は墓地になっており、いずれも檀家の方々のお墓です。拝観の際はお墓参りの方に配慮するのは当然のこと、墓石に登るような真似はくれぐれもしないように。

 

以上、安楽寺でした。

(訪問日2019/04/29)

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