世をひねる

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【甲府市】東光寺

今回は山梨県甲府市の東光寺(とうこうじ)について。

 

東光寺は市の北東部の住宅地に鎮座している臨済宗の寺院です。山号は法蓋山。

開基については詳細不明ですが平安期とされ、鎌倉期に再興して幕府の官寺となっていたようです。室町後期には武田氏の庇護を受けて甲府五山に数えられています。伽藍の大部分は織田氏による甲州征伐や昭和期の戦災を受けて再建されたものですが、仏殿は室町後期の武田氏時代のものが現存しており国指定重要文化財となっています。

 

現地情報

所在地 〒400-0807山梨県甲府市東光寺3-7-37(地図)
アクセス 酒折駅または身延線善光寺駅から徒歩20分
甲府昭和ICから車で20分
駐車場 10台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 15分程度

 

境内

山門

東光寺入口

東光寺の境内は南向き。寺号標は「法蓋山 東光禅寺」。

なお、“東光寺”はこの近辺の住宅地の地名にもなっています。

 

東光寺山門

山門は桟瓦葺の切妻。正面1間・側面2間。柱は円柱。一間一戸の四脚門(よつあしもん)。

棟は箱棟になっており、前面には武田菱。屋根の妻(両端)には箕甲(みのこう)もつけられています。

扁額は山号「灋蓋山」。法の字が旧字となっているだけでなく、蓋の字体も独特。

門の中央には地蔵が置かれていますが、通行可能です。

 

山門内部

山門妻壁

柱は上端がすぼまった形状。これは禅宗様の意匠。柱上の組物は出三斗や平三斗が使い分けられています。柱や組物の木鼻には、雲状の意匠が彫られています。

組物の上には妻虹梁がわたされ、妻壁には笈形(おいがた)付き大瓶束(たいへいづか)。

軒裏は二軒(ふたのき)の繁垂木で、内部に天井はなく化粧屋根裏。

 

造営年代は不明ですが、四脚門として非常に凝った造り。

 

仏殿

山門の先には仏殿があります。別名は薬師堂。

仏殿は塀に囲われていますが、後述の本堂のほうからまわりこむことで塀の内側に入って鑑賞することができます。

東光寺仏殿

仏殿は檜皮葺の入母屋(平入)。裳階(もこし)付き。正面3間・側面3間。母屋柱は円柱、裳階の柱は角柱。

いわゆる「方三間裳階付き」と呼ばれる禅宗様建築の定番といえる構造。清白寺(山梨市)の仏殿も同様の構造をしています。

造営年代は室町後期で、国指定重要文化財。冒頭に書いたように、武田氏時代の建造物です。

本尊は薬師如来。内部には須弥壇があり、厨子が開かれていました。

 

仏殿正面

仏殿軒裏

正面の軒下。

屋根は二重になっているように見えますが、下の屋根は裳階(もこし)という庇の一種。裳階を支える柱は角柱が使われているのに対し、母屋を構成する柱は円柱が使われています。

軒裏は屋根・裳階ともにまばら垂木。簡略化された造りをしています。

 

母屋頭貫

裳階の上では、円柱の上に台輪がわたされています。頭貫と台輪の両方に木鼻がついており、これは禅宗様の木鼻。

柱上の組物は出組で、桁を一手先に持出ししています。組物は柱間にも置かれており(詰組)、これも禅宗様の意匠。

 

仏殿側面

左側面(西面)の裳階の下。壁板は縦方向に張られています。

正面側の1間に両開きの桟唐戸(さんからど)がつけられているほかは、窓や装飾などの意匠は見られません。

 

仏殿屋根側面

右側面(東面)の全体図。

大棟は安山岩製の箱棟。鬼板の紋は武田菱。

破風板からは懸魚が下がり、破風の内部は板が張られています。

 

仏殿背面

背面。

中央の柱間に引き戸が立てつけられているだけで、こちらも窓や装飾はありません。

 

屋根や平面の構造は禅宗様建築の定番なのですが、火灯窓や扇垂木などといった禅宗様に特有の装飾的な意匠があまり使われておらず、「典型的」とは言い難い禅宗様建築です。

 

東光寺本堂

最後に仏殿の裏手にある本堂。

桟瓦葺の入母屋。こちらは戦後の再々建とのこと。

扉の上には武田菱が入った蟇股、左右には鐘のシルエットの火灯窓。

なお、庭園が県指定名勝となっているようですが、あいにく私には庭園の見かたが解らないので割愛。

 

以上、東光寺でした。

(訪問日2020/06/20)

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