甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

2023-01-01から1年間の記事一覧

寺社建築ベストセレクション【2023年総集編】

今回は一年の最終日ということで、2023年の総集編となります。 ことし当ブログで紹介した約150件の寺社建築のうち、感動した、あるいは秀逸だと思ったものをノミネートし、見どころや文化的価値について短評を述べていきます。 なお、ノミネートの選考基準は…

【高崎市】八幡八幡宮(上野国一社八幡宮) 後編 拝殿・幣殿・本殿、天満宮など

今回も群馬県高崎市の八幡八幡宮について。 前編では神門や鐘楼などについて述べました。 当記事では、主要な社殿の拝殿・幣殿・本殿と、天満宮などの境内社について述べます。 拝殿・幣殿・本殿 境内の中心部には、拝殿・幣殿・本殿が1棟になった権現造のような社…

【高崎市】八幡八幡宮(上野国一社八幡宮) 前編 神門、鐘楼など

今回は群馬県高崎市の八幡八幡宮(やわたはちまんぐう)について。 八幡八幡宮は市西端の丘陵上の住宅地に鎮座しています。正式名は上野国一社八幡宮(こうずけのくに いっしゃ はちまんぐう)。 創建は社伝によると957年(天徳元年)で、源頼信が当地に石清水八幡…

【高崎市】達磨寺

今回は群馬県高崎市の達磨寺(だるまじ)について。 達磨寺は市の西端の丘陵に鎮座する黄檗宗の寺院です。山号は少林山。 創建は不明。延宝年間(1673~1681年)の創建とする説や1712年(正徳二年)説など、諸説ありますが、遅くとも江戸中期には確立されていたよう…

【安中市】熊野神社(安中)

今回は群馬県安中市安中(あんなか)の熊野神社(くまの-)について。 熊野神社は安中市街の中心部に鎮座しています。 創建は1559年(永禄二年)。領主の安中忠政が、安中城の鬼門除けとして熊野権現を勧請したのがはじまり。以降、歴代の安中城主の崇敬を受け、城…

【長野市】恵妙寺

今回は長野県長野市の恵妙寺(えみょうじ)について。 恵妙寺は松代地区の南東の山際に鎮座する黄檗宗の寺院です。山号は象山(ぞうざん)。 創建は1677年(延宝五年)。松代藩3代藩主・真田幸道によって開かれ、境内には幸道の正室・豊姫の墓所と霊屋が造られていま…

【長野市】象山神社

今回は長野県長野市の象山神社(ぞうざん-)について。 象山神社は松代地区の住宅地に鎮座しています。祭神は幕末の学者・佐久間象山(さくま しょうざん)。 創建は1938年(昭和十三年)。1913年の象山没後50年を機に、松代地区の有志によって神社建立が計画され、…

【長野市】大英寺

今回は長野県長野市の大英寺(だいえいじ)について。 大英寺は松代地区の住宅地に鎮座する浄土宗の寺院です。山号は皓月山。 創建は1620年(元和六年)。真田信之が正室・小松姫の菩提寺として、上田城下に寺を開いたのがはじまりです。1622年の真田家の松代移封…

【長野市】風間神社と松岡神社

今回は長野県長野市の風間神社と松岡神社について。 風間神社 所在地:〒381-0023長野県長野市風間781-1(地図) 風間神社(かざま-)は風間地区の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると、『日本書紀』に書かれた「水内神」や、『日本三代実録』の8…

【長野市】康楽寺(長野東町)と明行寺

今回は長野県長野市の康楽寺と明行寺について。 康楽寺(長野東町) 所在地:〒380-0831長野県長野市長野163-1(地図) 康楽寺(こうらくじ)は長野の中心市街に鎮座する浄土真宗本願寺派の寺院です。山号は白鳥山。 同市篠ノ井にも同名の寺院があります。 創建は…

【長野市】善光寺雲上殿と駒形嶽駒弓神社(善光寺奥の院)

今回は長野県長野市の善光寺雲上殿と駒形嶽駒弓神社について。 善光寺雲上殿 所在地:〒380-0802長野県長野市箱清水3-1775(地図) 公式 :善光寺雲上殿 善光寺雲上殿(ぜんこうじ うんじょうでん)は、善光寺の北の高台に鎮座する納骨堂です。 1949年の造営(落…

【木津川市】海住山寺

今回は京都府木津川市の海住山寺(かいじゅうせんじ)について。 海住山寺は市東部の山中に鎮座する真言宗智山派の寺院です。山号は補陀洛山。 創建は寺伝によると735年(天平七年)で、聖武天皇の勅願により、東大寺の初代別当・良弁が開いた藤尾山観音寺という…

【伊賀市】観菩提寺(正月堂)

今回は三重県伊賀市の観菩提寺(かんぼだいじ)について。 観菩提寺は市北部の山際の集落に鎮座する真言宗豊山派の寺院です。山号は普門山。通称は正月堂。 創建は寺伝によると奈良時代で、東大寺の実忠によって天平年間(729~749年)に開かれたといわれます。そ…

【伊賀市】高倉神社

今回は三重県伊賀市の高倉神社(たかくら-)について。 高倉神社は市北部の山際に鎮座しています。 創建は社伝によると第11代・垂仁天皇の時代で、神武天皇の東征に従軍した神を当地に祀ったのがはじまりとされます。史料上の初出は『日本三代実録』で、861年(…

【品川区】品川神社

今回は東京都品川区の品川神社(しながわ-)について。 品川神社は北品川の台地に鎮座しています。東京十社および東海七福神の1社に数えられます。 創建は社伝によると1187年(文治三年)で、源頼朝が安房国の洲崎明神を勧請したのがはじまりとされます。その後…

【港区】増上寺 後編 台徳院霊廟惣門、有章院霊廟二天門

今回も東京都港区の増上寺について。 前編では三解脱門と本堂などについて述べました。 当記事では、台徳院霊廟惣門、有章院霊廟二天門などについて述べます。 本堂周辺の伽藍 台徳院霊廟惣門と有章院霊廟二天門の前に、前編で書ききれなかった本堂周辺の伽…

【港区】増上寺 前編 三解脱門、本堂

今回は東京都港区の増上寺(ぞうじょうじ)について。 増上寺は芝公園に鎮座する浄土宗の寺院です。山号は三縁山。 創建は寺伝によると平安時代で、空海の弟子の宗叡が開いた光明寺という真言宗寺院が前身らしいです。実質的な創建は1393年(明徳四年)で、浄土…

【文京区】湯島天満宮

今回は東京都文京区の湯島天満宮(ゆしま てんまんぐう)について。 湯島天満宮は上野公園南西の住宅地に鎮座しています。 創建は、社伝によると雄略天皇の時代(458年頃)とのこと。その後の詳細な沿革は不明ですが、1355年(正平十年)に当地の住人によって天満…

【千代田区】神田明神(神田神社)

今回は東京都千代田区の神田明神(かんだみょうじん)について。 神田明神は神田川北岸の台地に鎮座しています。正式名称は神田神社。 創建は社伝によると730年(天平二年)で、当初は「神田ノ宮」と称したようです。935年(承平五年)には、平将門の首塚が当社の…

【文京区】湯島聖堂

今回は東京都文京区の湯島聖堂(ゆしませいどう)について。 湯島聖堂は神田川北岸に鎮座する霊廟・史跡です。 創建は1690年(元禄三年)。林羅山の邸宅*1にあった孔子廟を、徳川綱吉が現在地に移転させたのが湯島聖堂のはじまりです。それにともなって林家の私塾…

【市川市】弘法寺

今回は千葉県市川市の弘法寺(ぐほうじ)について。 弘法寺は真間地区の丘陵上に鎮座する日蓮宗の本山です。山号は真間山。 創建は寺伝によると奈良時代で、行基が開いた求法寺が前身とのこと。平安時代は空海によって弘法寺と改められ、その後は天台宗に改宗…

【市川市】葛飾八幡宮

今回は千葉県市川市の葛飾八幡宮(かつしか はちまんぐう)について。 葛飾八幡宮は八幡地区の住宅地に鎮座しています。 創建は、社伝によると寛平年間(889~898)で、宇多天皇の勅命によって石清水から八幡宮が勧請されたとのこと。その後の詳細な沿革は不明で…

【市川市】法華経寺 後編 祖師堂、四足門、法華堂

今回も千葉県市川市の法華経寺について。 前編では、山門、五重塔について述べました。 当記事では、祖師堂、四足門、法華堂などについて述べます。 祖師堂 境内の中心部には巨大な祖師堂が、南東向きに鎮座しています。 なお、訪問時は屋根の葺き替え工事中…

【市川市】法華経寺 前編 山門と五重塔

今回は千葉県市川市の法華経寺(ほけきょうじ)について。 法華経寺は中山地区の市街地に鎮座する日蓮宗の大本山です。山号は正中山。 創建は1260年(文応元年)とされます。千葉氏家臣の富木常忍と太田乗明が、弾圧を受けていた日蓮をかくまい、法華堂を建てて…

【上市町】日石寺(大岩不動)

今回は富山県上市町の日石寺(にっせきじ)について。 日石寺は町南部の山間に鎮座する真言密宗の大本山です。山号は大岩山。通称は大岩不動。 創建は不明。寺伝によると、725年(神亀二年)に行基によって開かれたとのこと。創建から中世にかけての沿革は不明。…

【立山町】雄山神社(前立社壇)

今回は富山県立山町の雄山神社(おやま-)について。 雄山神社は立山の山中に鎮座する越中国一宮です。里宮にあたる前立社壇(まえだてしゃだん)は常願寺川沿岸の集落に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると、701年(大宝元年)に開かれた説と、703年(大宝…

【南砺市】瑞泉寺(井波別院) 後編 本堂、太子堂

今回も富山県南砺市の瑞泉寺について。 前編では、山門、式台門について述べました。 当記事では、本堂、太子堂などについて述べます。 鐘楼 山門の先は、有料の区画となっています。 拝観受付を済ませて参道を左手(北)へそれると、鐘楼があります。 鐘楼は…

【南砺市】瑞泉寺(井波別院) 前編 山門、式台門

今回は富山県南砺市の瑞泉寺(ずいせんじ)について。 瑞泉寺は井波地区の市街地に鎮座する真宗大谷派の寺院です。山号は杉谷山。井波別院(いなみべついん)を称しています。 創建は1390年(明徳元年)、本願寺5世の綽如によって開かれました。室町後期には土山御…

【南砺市】善徳寺(城端別院) 後編 本堂、鐘楼、太鼓楼など

今回も富山県南砺市の善徳寺について。 前編では山門について述べました。 当記事では、本堂、大鐘楼、太鼓楼などについて述べます。 本堂 山門をくぐると、右手に本堂が南面しています。本尊は阿弥陀如来。 入母屋、向拝3間、桟瓦葺。 1759年(宝暦九年)上棟…

【南砺市】善徳寺(城端別院) 前編 山門

今回は富山県南砺市の善徳寺(ぜんとくじ)について。 善徳寺は城端地区の市街地に鎮座する真宗大谷派の寺院です。山号は廓龍山。城端別院(じょうはなべついん)を称しています。 創建は室町時代。1471年(文明三年)、蓮如が砂子坂(金沢市)に開いた道場が前身と…