甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

江戸前期

【台東区】上野東照宮

今回は東京都台東区の上野東照宮(うえの とうしょうぐう)について。 上野東照宮は上野公園の一画に鎮座しています。正式名称は東照宮。 創建は1627年(寛永四年)。徳川家康の遺命を受けた天海と藤堂高虎が、藤堂家の敷地内に東照宮を祀ったのがはじまりとされ…

【台東区】浅草寺 その2(二天門、浅草神社)

今回も東京都台東区の浅草寺について。 その1ではアクセス情報および、雷門、宝蔵門、本堂について述べました。 当記事では、国重文の二天門と浅草神社について述べます。 二天門 浅草寺の境内東端の出入口には、二天門(にてんもん)が東面しています。 三間…

【垂井町】南宮大社

今回は岐阜県垂井町の南宮大社(なんぐう たいしゃ)について。 南宮大社は垂井町の南西部の山のふもとに鎮座する美濃国一宮です。 創建は不明。社伝によると、10代・崇神天皇の時代の創建とのこと。『延喜式』には美濃国一宮の「仲山金山彦神社」と記載され、…

【垂井町】真禅院

今回は岐阜県垂井町の真禅院(しんぜんいん)について。 真禅院は町の南西の山際に鎮座する天台宗の寺院です。山号は朝倉山。 創建は不明。社伝によると、739年(天平十一年)に行基が開いた宮処寺(ぐうしょじ)が前身で、勅命を受けた最澄によって南宮大社の神宮…

【安城市】本證寺

今回は愛知県安城市の本證寺(ほんしょうじ)について。 本證寺(本証寺)は野寺地区に鎮座する真宗大谷派の寺院です。山号は雲龍山。 創建は1206年(建永元年)頃で、親鸞の弟子である慶円によって開かれました。鎌倉時代の沿革は不明ですが、室町時代には一向宗(…

【西尾市】幡頭神社(吉良町)

今回は愛知県西尾市吉良町(きらちょう)の幡頭神社(はず-)について。 幡頭神社は吉良町地区の海岸の高台に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると、東征の途上で亡くなった建稲種命(当社の主祭神)の遺体が当地に流れ着き、住人がそれを弔って祀ったのが始…

【大館市】大館八幡神社

今回は秋田県大館市の大館八幡神社(おおだて はちまん-)について。 大館八幡神社は大館市街の東部に鎮座しています。 創建は江戸初期。1610年に大館城代となった小場義成(佐竹西家)が、常陸国の若宮八幡宮(常陸太田市)の分霊を城の鎮守として祀ったのがはじ…

【弘前市】弘前八幡宮

今回は青森県弘前市の弘前八幡宮(ひろさき はちまんぐう)について。 弘前八幡宮は弘前城の北東の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。社伝によれば、坂上田村麻呂が蝦夷討伐の際に、宇佐神宮から勧請した八幡神を岩木村*1に祀ったのが始まりとのこと。安土…

【弘前市】熊野奥照神社

今回は青森県弘前市の熊野奥照神社(くまの おくてる-)について。 熊野奥照神社は弘前八幡宮の南に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると当初は奥尾崎*1という場所に鎮座し、788年に現在の弘前市近辺に遷座したとのこと。807年(大同ニ年)には、坂上田村…

【弘前市】青森県護国神社と東照宮本殿

今回は青森県弘前市の青森県護国神社(あおもりけん ごこく-)と東照宮本殿(とうしょうぐう ほんでん)について。 青森県護国神社(弘前公園) 所在地:〒036-8356青森県弘前市下白銀町1-3(地図) 青森県護国神社(あおもりけん ごこく-)は弘前城内の弘前公園に鎮座…

【弘前市】革秀寺(津軽為信霊屋)

今回は青森県弘前市の革秀寺(かくしゅうじ)について。 革秀寺は岩木川北岸の住宅地に鎮座する曹洞宗の寺院です。山号は津軽山。 創建は慶長年間(1596-1615)の前半。弘前藩初代藩主・津軽為信によって現在の藤崎町に開かれました。2代藩主・津軽信枚によって現…

【弘前市】長勝寺

今回は青森県弘前市の長勝寺(ちょうしょうじ)について。 長勝寺は禅林街の最奥部に鎮座する曹洞宗の寺院です。山号は太平山。 創建は1528年(享禄元年)。大浦氏(のちの津軽氏)の大浦盛信が、父の菩提寺を種里(鰺ヶ沢町種里町)に開いたのが始まり。弘前市賀田…

【弘前市】最勝院 後編(五重塔と八坂神社)

今回も青森県弘前市の最勝院について。 前編では仁王門と本堂について述べました。 当記事では五重塔や八坂神社などについて述べます。 五重塔 境内の北西には五重塔が南向きに鎮座しています。 三間五重塔婆、銅板葺。 全高31.2メートル。五重塔としては標…

【弘前市】熊野宮(茜町)

今回は青森県弘前市茜町(あかねちょう)の熊野宮(くまのぐう)について。 熊野宮は茜町の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。同市の熊野奥照神社や熊野神社(門外)とともに熊野三所権現を摸してつくられた神社で、当社は那智宮にあたります。戦国時代から江…

【府中市】大國魂神社

今回は東京都府中市の大國魂神社(おおくにたま-)について。 大國魂神社(大国魂神社)は市の中心地に鎮座する、武蔵国の総社です。 創建は不明。社伝によると第12代・景行天皇の時代とのこと。 645年(大化元年)に、当社の境内に国府が置かれ、武蔵国の主要な6社…

【日野市】金剛寺(高幡不動) 後編 五重塔など

今回も東京都日野市の金剛寺(高幡不動)について。 前編では仁王門と不動堂について述べました。 当記事では五重塔などの伽藍について述べます。 五重塔 不動堂の南西の斜面には、五重塔が鎮座しています。 三間五重塔、青銅瓦葺。全高45メートル。 1970年竣…

【城陽市】枇杷庄天満宮社と水主神社

今回は京都府城陽市の枇杷庄天満宮社(びわのしょう てんまんぐうしゃ)と水主神社(みずし-)について。 枇杷庄天満宮社 所在地:〒610-0117京都府城陽市枇杷庄大堀1(地図) 枇杷庄天満宮社(びわのしょう てんまんぐうしゃ)は木津川沿いの住宅地に鎮座しています…

【城陽市】荒見神社

今回は京都府城陽市の荒見神社(あらみ-)について。 荒見神社は富野地区の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。当初は同市の長池五社ケ谷という場所にあったようで、15世紀ごろ現在地へ移転したようです。現在の本殿は江戸時代の最初期のもので、当地区の宮…

【城陽市】平井神社

今回は京都府城陽市の平井神社(ひらい-)について。 平井神社は久津川駅の西側の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。もとは同市の平川廃寺跡の場所にあったようで、年代不明ですが火災で焼失したのち現在地へ移転したとのこと。当初は牛頭天王社と呼ばれ、…

【宇治市】旦椋神社

今回は京都府宇治市の旦椋神社(あさくら-)について。 旦椋神社は大久保駅の西側の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると、720年(養老七年)には確立されていたとのこと。当初は現在地の西側にある同市大久保町旦椋にあったようです。『延喜式』…

【京都市】東寺 その4(五重塔、金堂、講堂)

今回も京都府京都市の東寺について。 その1では南大門周辺について、 その2では灌頂院、本坊、大師堂について、 その3では蓮花門、北大門、慶賀門について述べました。 当記事では国宝の五重塔、金堂、講堂について述べます。 食堂 東寺の境内中心部には、金…

【奈良市】漢國神社

今回は奈良県奈良市の漢國神社(かんごう-)について。 漢國神社(漢国神社)は奈良市街の中心部に鎮座しています。 創建は社伝によると593年(推古天皇元年)。当初は園韓神社などと称していたようで、藤原氏の崇敬を受けて、平安京にも分霊されたとのこと。1181…

【諏訪市】諏訪大社上社本宮 後編(拝殿など)

今回も長野県諏訪市の諏訪大社上社本宮について。 前編では神楽殿、勅使殿、入口御門について述べました。 当記事では拝殿などの社殿について述べます。 摂末社遥拝所 布橋を通って拝殿へ向かうと、途中の左手に摂末社遥拝所が北面しています。 この社殿は、…

【桜井市】大神神社と大直禰子神社

今回は奈良県桜井市の大神神社(おおみわ-)について。 大神神社は市の北東部の山際に鎮座する大和国一宮です。 創建は『日本書紀』によると第10代・崇神天皇の時代で、日本最古の神社のひとつ。創建以来、朝廷から篤い信仰を受け、平安時代の『延喜式』では名…

【奈良市】率川神社(率川坐大神御子神社)

今回は奈良県奈良市の率川神社(いさがわ-)について。 率川神社は奈良市街の中心地に鎮座しています。 創建は社伝によると593年。当初はヒメタタライスズヒメ(媛蹈韛五十鈴姫)を祀っていて、のちにその父神と母神も祀られるようになったようです。平安期の『…

【奈良市】東大寺 その4 法華堂と二月堂

今回も奈良県奈良市の東大寺について。 その1では南大門について、 その2では中門と大仏殿について、 その3では鐘楼と念仏堂などについて述べました。 当記事では法華堂と二月堂などについて述べます。 法華堂(三月堂) 鐘楼から坂を登ると、そのさきに法華堂…

【堺市】家原寺

今回は大阪府堺市の家原寺(えばらじ)について。 家原寺は西区の住宅地に鎮座する行基宗の単立寺院(本山)です。山号は一乗山。 別名・通称は智恵の文殊、ハンカチ寺。以前は落書き寺とも呼ばれたようです。 創建は寺伝によると704年(慶雲元年)、行基が母方の実…

【羽曳野市】誉田八幡宮

今回は大阪府羽曳野市の誉田八幡宮(こんだ はちまんぐう)について。 誉田八幡宮は市北部の住宅地に鎮座しています。 創建は社伝によると559年。応神天皇(誉田別命)の陵の前に廟を造ったのが始まりとされます。奈良時代には行基によって神宮寺・長野山護国寺が…

【太子町】叡福寺 後編(聖霊殿、聖徳太子御廟など)

今回も大阪府太子町の叡福寺について。 前編では南大門、金堂、多宝塔について述べました。 当記事では聖霊殿と聖徳太子御廟について述べます。 聖霊殿(太子堂) 金堂の脇を通って境内奥へ進んで行くと、参道左手に聖霊殿(せいりょうでん)が東面しています。…

【太子町】叡福寺 前編(南大門、金堂、多宝塔)

今回は大阪府太子町の叡福寺(えいふくじ)について。 叡福寺は町の中心部に鎮座する太子宗の本山です。山号は磯長山。 別名は上の太子。中の太子・野中寺(羽曳野市)、下の太子・大聖勝軍寺(八尾市)と並ぶ三太子のひとつ。 創建は不明。寺伝によれば620年に聖徳…