甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

江戸後期

【甲州市】大善寺

今回は山梨県甲州市の大善寺(だいぜんじ)について。 大善寺は市の南東部の国道沿いに鎮座している真言宗智山派の寺院です。山号は柏尾山。別名はぶどう寺。 創建は寺伝によると718年。奈良時代に隆盛をきわめたようですが、平安期の火災で境内伽藍を焼失し、…

【立科町】津金寺

今回は長野県立科町の津金寺(つがねじ)について。 津金寺は旧中山道の沿線に鎮座している天台宗の寺院です。山号は慧日山。 創建は702年とされ、行基が戸隠権現の霊験を受けて聖観音を安置したのが始まりと伝えられています。鎌倉期には学問所として知られ、…

【駒ケ根市】光前寺 後編(弁天堂、本堂、三重塔)

今回も長野県駒ケ根市の光前寺について。 前編では仁王門、三門、鐘楼について述べました。 後編では弁天堂、本堂、三重塔について紹介・解説いたします。 弁天堂 三門をくぐった先には池があり、その小島には弁天堂が鎮座しています。 桁行1間・梁間1間、入母…

【高崎市】榛名神社 後編(双竜門、神楽殿、本社・拝殿・幣殿)

今回も群馬県高崎市の榛名神社(はるな-)について。 前編では随神門、五重塔などについて述べました。 後編では双竜門、神楽殿、本社・拝殿・幣殿について紹介・解説いたします。 双竜門 薬医門の先には双竜門(そうりゅうもん)があります。 一間一戸、四脚門、入…

【高崎市】榛名神社 前編(随神門、三重塔など)

今回は群馬県高崎市の榛名神社(はるな-)について。 榛名神社は高崎市の山中に鎮座しています。 創建は586年にさかのぼり、山中に神籬を立てたのが始まりといわれます。平安期の『延喜式』にも記載されていて、上野国六宮とされています。江戸期までは榛名山…

【みなかみ町】月夜野神社

今回は群馬県みなかみ町の月夜野神社(つきよの-)について。 月夜野神社は利根川沿いの河岸段丘に鎮座しています。 創建は不明。もとは都神明宮と呼ばれていたようです。本殿は別の神社から移設したもののようで、板軒にまで彫刻を配した非常に派手な本殿を見…

【諏訪市】岩久保観音堂

今回は長野県諏訪市の岩久保観音堂(いわくぼ かんのんどう)について。 岩久保観音堂は諏訪市南東部の山際に鎮座しています。 創建は不明。もとは古岩久保という場所にあったのを当地に移転したようです。現在の観音堂は大隅流の名工・柴宮長左衛門の作で、各…

【松本市】牛伏寺 前編(山門、如意輪堂、総門)

今回は長野県松本市の牛伏寺(ごふくじ)について。 牛伏寺は松本市の山間にある真言宗智山派の寺院です。山号は金峯山。 創建は寺伝によれば聖徳太子の時代とのこと。もとは山岳信仰と修験道の道場だったようです。中信地方を代表する大寺院で、伽藍は江戸後…

【岡谷市】照光寺

今回は長野県岡谷市の照光寺(しょうこうじ)について。 照光寺は岡谷の中心市街に鎮座している真言宗の寺院です。山号は城向山。 創建は不明。室町期には下社秋宮の神宮寺の末寺だったとのこと。現在の境内は本堂をはじめ多数の伽藍があって非常に充実した内…

【塩尻市】北熊井諏訪社

今回は長野県塩尻市の北熊井諏訪社(きたくまい すわしゃ)について。 北熊井諏訪社は塩尻市東部の集落に鎮座しています。 創建は不明。市内に多数ある諏訪社のひとつ。社殿については大隅流の名工・柴宮長左衛門によって造営された本殿が長野県宝に指定されて…

【岡崎市】大樹寺

今回は愛知県岡崎市の大樹寺(だいじゅじ)について。 大樹寺は市北部の市街地に鎮座している浄土宗の寺院です。山号は成道山。 創建は室町期。松平家の菩提寺として開かれ、家中から大樹(征夷大将軍の唐名)が出ることを願ったのが寺号の由来。現在の大樹寺は…

【上越市】五智国分寺(越後国分寺)

今回は新潟県上越市の五智国分寺(ごち こくぶんじ)について 五智国分寺は上越市の海岸近くに鎮座する天台宗の寺院です。山号は安国山。 奈良時代に建立された越後国分寺の後継にあたり、現在の寺院は上杉謙信によって当地に移転され再興されたと伝えられてい…

【甲州市】向嶽寺

今回は山梨県甲州市の向嶽寺(こうがくじ)について。 向嶽寺は市の中心部に近い住宅地に鎮座している臨済宗向嶽寺派の寺院です。山号は塩山。 創建は南北朝時代で、室町期には武田氏の保護を受けたとのこと。境内については大半が非公開となっていますが、国…

【白馬村】長谷寺

今回は長野県白馬村の長谷寺(ちょうこくじ)について。 長谷寺は白馬村の国道沿いの集落に鎮座している曹洞宗の寺院です。山号は示現山。 創建は1391年(明徳2年)とされ、大和の長谷寺(奈良県桜井市)から本尊が移されたことで建立されたようです。伽藍について…

【千曲市】波閇科神社

今回は長野県千曲市の波閇科神社(はべしな-)について。 波閇科神社は上山田温泉の南部の山際に鎮座しています。 更級郡(さらしなぐん)に11社ある延喜式内社の1つと比定される古社。ヤマトタケルがこの近くの峠にアマテラスを勧請したという伝説があり、江戸…

【佐久市】貞祥寺

今回は長野県佐久市の貞祥寺(ていしょうじ)について。 貞祥寺は佐久市南東部の山際に鎮座している曹洞宗の寺院です。山号は洞源山。 境内には長野県宝に指定されている三重塔と総門と楼門があるほか、島崎藤村の旧宅があるなど充実した内容。また、参道や伽…

【辰野町】矢彦神社

今回は長野県辰野町の矢彦神社(やひこ-)について。 矢彦神社は辰野町の国道153号線(遠州街道)沿いに、小野神社とともに並んで鎮座しています。 矢彦神社と小野神社は北小野(塩尻市)の集落の中にあり、社叢も共有しています。しかし矢彦神社は南小野(辰野町)…

【笛吹市】佐久神社

今回は山梨県笛吹市の佐久神社(さく-)について。 佐久神社は石和町地区の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると雄略天皇元年(457年)の創建とのこと。平安時代の『延喜式』に当社の記載があり、式内社に列しています。その後の沿革は不明。 現在…

【甲府市】穴切大神社

今回は山梨県甲府市の穴切大神社(あなぎり だい-)について。 穴切大神社は甲府駅の南西にある住宅地の中に鎮座しています。 甲府盆地に伝わる湖水・蹴裂伝説を創建の由緒としており、縁切りの神としても信仰されているようです。社殿については、江戸後期の楼…

【千曲市】水上布奈山神社

今回は長野県千曲市の水上布奈山神社(みずかみふなやま-)について。 水上布奈山神社は、千曲市戸倉の市街地に鎮座しています。 創建は1603年で神社としては新しい部類ですが、諏訪の名工・柴宮長左衛門の手掛けた豪華絢爛な本殿(1789年建立)は国重文に指定さ…

【長野市】祝神社

今回は長野県長野市の祝神社(ほうり-)について。 祝神社は松代地区の市街地に鎮座しています。 創建は不明。当初、本宮は山の中にあったようですが、里宮(現在の祝神社)に合祀されたとのこと。平安時代の『延喜式』には「祝神社」の記載があり、須須岐水神社…

【千曲市】粟狭神社

今回は長野県千曲市の粟狭神社(あわさ-)について。 粟狭神社は国道18号沿線の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。平安時代の『延喜式』に記載がある式内社で、その頃には確立されていたようです。その後の詳細な沿革は不明ですが、真田氏など代々の領主か…

【駒ヶ根市】大御食神社

今回は長野県駒ケ根市の大御食神社(おおみけ-)について。 大御食神社は赤穂の集落に鎮座しています。 創建は不明。「神代文字社伝記」なるものが伝わっていますが、偽書の可能性が指摘されています。その社伝によると、西暦129年(景行天皇五十八年)にヤマト…

【塩尻市】伊夜彦神社

今回は長野県塩尻市の伊夜彦神社(いやひこ-)について。 伊夜彦神社は平出遺跡の南側の集落に鎮座しています。 創建や沿革は不明。案内板によると、当初は「平出の泉」の水神を祀る神社で、年代は不明ですが弥彦神社(新潟県弥彦村)を勧請して現在の社名に改め…

【下諏訪町】諏訪大社下社春宮

今回は長野県下諏訪町の諏訪大社下社春宮(すわたいしゃ しもしゃ はるみや)について。 諏訪大社下社春宮は下諏訪町の市街地に鎮座しています。信濃国一宮である諏訪大社の4社に列する一社で、同町に鎮座する下社秋宮と対になる神社です。 創建や歴史について…

【下諏訪町】諏訪大社下社秋宮

今回は長野県下諏訪町の諏訪大社下社春宮(すわたいしゃ しもしゃ あきみや)について。 諏訪大社下社秋宮は下諏訪町の市街地に鎮座しています。信濃国一宮である諏訪大社の4社に列する一社で、同町に鎮座する下社春宮と対になる神社です。 創建や歴史について…

【諏訪市】諏訪大社上社本宮 前編(神楽殿、勅使殿、入口御門)

今回は長野県諏訪市の諏訪大社上社本宮(すわたいしゃ かみしゃ ほんみや)について。 諏訪大社上社本宮は諏訪市南端の山際の住宅地に鎮座しています。信濃国一宮である諏訪大社の4社の筆頭で、前宮(茅野市)とともに上社を構成しています。 創建は不明。『古事…

【甲州市】諏訪神社(初鹿野)

今回は山梨県甲州市大和町初鹿野(はじかの)の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社は国道20号沿線にある旧大和村の集落に鎮座しています。 創建は1793年(寛政五年)とのこと。初鹿野の地名は、当社の祭神タケミナカタが当地で狩をした伝説に由来するようです。…

【甲州市】景徳院(田野寺)

今回は山梨県甲州市の景徳院(けいとくいん)について。 景徳院は市の南東の山間に鎮座する曹洞宗の寺院です。山号は天童山。通称は田野寺。 創建は1582年(天正十年)。当地で自害した武田勝頼や、それに殉じた家臣らの供養のため、徳川家康によって開かれまし…