今回は長野県塩尻市の伊夜彦神社(いやひこ-)について。
伊夜彦神社は平出集落の一画に鎮座しています。
見所はやはり彫刻で、諏訪大社上社本宮を造営したことで知られる名工・立川和四郎(2代目)の作と伝えられており、立川流のファンならば必見の内容となっています。
現地情報
所在地 | 〒399-6461長野県塩尻市宗賀1003(地図) |
アクセス | 塩尻駅から徒歩20分 塩尻ICから10分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
境内入口
こちらが伊夜彦神社の境内の全景になります。
ごらんの通り規模はさほど大きくなく、至って標準的な村の鎮守といった雰囲気。
鳥居。
稚児柱が4つある両部鳥居...と思いましたが、前後の脚が変わった形状になっています。
拝殿と本殿
拝殿は正面に千鳥破風がついている他は、これといった装飾のないシンプルな切妻に見えます。
ですが背面のほうへ回り込んでみると、後方に切妻屋根が突き出ていました。屋根がT字状になっており、こういった拝殿は諏訪や松本のあたりでは珍しくないです。
写真左に写っているのは本殿です。
本殿は銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。
棟札によると1428年からこの地に鎮座しており、現在の社殿は1817年の造営とのこと。
見ての通り、蟇股、海老虹梁、梁、脇障子に豪華な彫刻が施されており、非常に見応えある本殿になっています。
祭神については、もともとは平出の泉の水神を祀っていたようですが、越後国一宮の彌彦(弥彦)神社の祭神・天香護山命(あめのかごやまのみこと)を分霊し、現在の社名になったとのこと。
側面から見上げた軒下。
屋根裏の垂木は二軒(ふたのき)。向拝の柱は角柱、母屋の柱は円柱。
目を引くのは竜の意匠の虹梁、三手先(みてさき)の組物で持ち出された母屋の梁、そして脇障子の彫刻でしょう。このあたりは江戸時代中期から末期にかけての神社建築の特徴が色濃く現れています。
江戸中期末期の神社建築は素人目に見ても格好良くて圧倒されるものが多いですが、この本殿の虹梁の彫刻は抜きん出て格好良いと思います。
背面。脇障子があるため、背面には縁側がありません。また、社殿は石の土台の上に建っています。
脇障子や縁側の柱は角柱に成形されています。対して、母屋の柱は床下まで円柱に成形されています。
最後に、別アングルから見た本殿軒下。
正面に長く伸びた屋根と、破風の曲線が美しいです。
以上、伊夜彦神社でした。
(訪問日2019/06/28)