世をひねる

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【白馬村】長谷寺

今回は長野県白馬村の長谷寺(ちょうこくじ)について。

 

長谷寺は白馬村の国道沿いの集落に鎮座している曹洞宗の寺院です。山号は示現山。

創建は1391年(明徳2年)とされ、大和(現在の奈良県)の初瀬寺から本尊が移されたことで建立されたようです。伽藍については江戸中期のものから平成期のものまであり、とくに江戸後期に造営された山門が最大の見どころといえるでしょう。

 

現地情報

所在地 〒399-9211長野県北安曇郡白馬村神城飯森25426(地図)
アクセス 飯森駅から徒歩10分
安曇野ICまたは糸魚川ICから車で1時間
駐車場 30台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道と山門

長谷寺入口

長谷寺の境内は東向き。

入口には由緒書きの案内板と門柱が立っています。

 

長谷寺山門

桜のせいで2階が隠れてしまいましたが、こちらが山門。

山門は鉄板葺の入母屋で、正面3間・側面2間。三間一戸の楼門。1階は壁のない吹き放ちで角柱が使われており、2階は円柱が使われています。

案内板によると1820年(文政3年)の造営で、村指定文化財とのこと。

 

山門の1階

1階部分。柱はC面取りされた角柱。

正面3間で柱間はいずれも吹き放ちですが、通れるのは中央の1間だけ。よってこの門は三間一戸。

中央の1間は左右の柱間よりも広くなっており、柱間の虹梁(こうりょう)も少し高い場所をわたされています。

 

山門2階の床下

角柱の柱上には大斗(だいと)が置かれ、肘木のかわりに雲状の意匠の木鼻が2階の縁側を受けています。木鼻で縁側を受けるのはちょっと風変わりだと思います。

 

山門の2階

2階の縁側は壁面と直交に板を張った切目縁(きれめえん)。欄干は擬宝珠付き。

母屋はすべての柱間に建具がついており、柱は円柱。

軒裏は二軒(ふたのき)の繁垂木。

 

山門の桟唐戸

中央の柱間には桟唐戸(さんからど)が立てつけられており、窓は火灯窓(かとうまど)をアレンジしたような独特な形状となっています。桟唐戸の上の虹梁は、少しカーブして中央が高くなった形状です。

 

山門の火灯窓

左右の柱間は、釣り鐘のような形状をした通常の火灯窓があり、壁板は縦方向に張られています。そしていずれの柱間も桁の上に巻斗(まきと)がびっしりと並んでいます。

柱上の組物は二手先で、和様の尾垂木が突き出たもの。

組物で持出しされた桁の上では、遠目には分かりづらいですが鶴の彫刻が見えます。

 

山門の背面

背面(西面)。

ほとんど前後対称の造りをしており、1階の虹梁や2階の桟唐戸の意匠にも変わりはありません。

 

山門の側面

左側面(南面)。

入母屋破風の内部には、笈形(おいがた)付き大瓶束(たいへいづか)が見えます。

2階の側面も火灯窓で、組物や彫刻などの装飾は正面や背面と大きな違いはありません。

 

おそらく元々は茅葺だったと思われ、豪雪地帯の建築物にしては軒先が大きく突き出しており、屋根も四隅が反り返るようにカーブしています。

 

本堂などの伽藍

長谷寺鐘楼

楼門をすぎると右手には鐘楼があります。こちらは1992年の造営。

鉄板葺の入母屋。柱は円柱が12本も使われており、頭貫だけでなくすべての貫に木鼻がつけられていて、一見するとシンプルですがよく見ると凝った造り。

 

長谷寺本堂と庫裏

参道を進むと、一体化した本堂(左)と庫裡(右)があります。両者とも村指定文化財。

本堂は鉄板葺の寄棟(平入)、向唐破風(むこう からはふ)の向拝が1間。1682年の造営です。

庫裏は鉄板葺の入母屋(妻入)、切妻の向拝が1間。1799年の造営です。

本堂・庫裏ともに、三門の屋根とは対照的に積雪対策のため屋根の傾斜がきつく、そのぶん棟が高くなっていて、建物のシルエットの大部分を屋根が占めています。

 

長谷寺本堂の向拝

本堂の向拝。壁面から向唐破風がのびています。

寺社建築の向拝は正面側の屋根を延長させたデザインが基本ですが、豪雪地帯の場合は屋根の軒下の壁面から庇をのばして向拝にすることもあります。

向拝柱は几帳面取りされた角柱で、虹梁の上には蟇股(かえるまた)。台輪にも木鼻がつけられています。

 

以上、長谷寺でした。

(訪問日2020/04/30)

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