甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

2023-01-01から1年間の記事一覧

【京都市】斉明神社

今回は京都府京都市の斉明神社(さいめい-)について。 斉明神社(斎明神社)は嵯峨地区の南東の住宅地に鎮座しています。別名は神明神社(しんめい-)。 創建は不明。当地はかつて天竜寺塔頭の慈済院(1363年開基)があった場所で、当社はその鎮守社でした。1470年…

【京都市】常寂光寺

今回は京都府京都市の常寂光寺(じょうじゃっこうじ)について。 常寂光寺は市街地西端の小倉山のふもとに鎮座する日蓮宗の寺院です。山号は小倉山。 鎌倉初期、当地には藤原定家の山荘があり、ここで小倉百人一首が編纂されたと言われます。常寂光寺の創建は1…

【京都市】清凉寺(嵯峨釈迦堂) 後編 多宝塔、豊臣秀頼公首塚、一切経蔵など

今回も京都府京都市の清凉寺について。 前編では仁王門と本堂について述べました。 当記事では多宝塔、豊臣秀頼公首塚、一切経蔵などについて述べます。 多宝塔と聖徳太子殿 本堂向かって左、境内の南東には多宝塔が東面しています。 三間多宝塔、銅瓦葺。 1…

【京都市】清凉寺(嵯峨釈迦堂) 前編 仁王門と本堂

今回は京都府京都市の清凉寺(せいりょうじ)について。 清凉寺(清涼寺)は嵯峨嵐山駅の北側の住宅地に鎮座する浄土宗の寺院です。 当寺の前身となった棲霞寺(せいかじ)は、嵯峨天皇の皇子の源融*1が発願し、その子息らによって896年(寛平八年)に開かれました。…

【名古屋市】真宗大谷派名古屋別院(東別院)

今回は愛知県名古屋市の真宗大谷派名古屋別院(しんしゅう おおたには なごやべついん)について。 真宗大谷派名古屋別院は、名古屋の中心市街に鎮座する真宗大谷派の寺院です。別名は東別院(とうべついん)。 創建は1690年(元禄三年)。尾張藩2代・徳川光友によ…

【さいたま市】調神社

今回は埼玉県さいたま市の調神社(つき-)について。 調神社は浦和区の市街地に鎮座しています。別名は調宮(つきのみや)。 創建は不明。社記『調宮縁起』(1668年)によると、第9代開化天皇の時代に創建されたとのこと。創建の経緯については諸説あるようです。…

【潮来市】長勝寺

今回は茨城県潮来市の長勝寺(ちょうしょうじ)について。 長勝寺は潮来市街に鎮座する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号は海雲山。 創建は不明。寺伝によると1185年(文治元年)、源頼朝により開かれたとのこと。鎌倉時代は幕府の崇敬を受けて隆盛したようです。…

【鹿嶋市】鹿島神宮 後編(仮殿、奥宮)

今回も茨城県鹿嶋市の鹿島神宮について。 前編では楼門や本殿について述べました。 当記事では仮殿や奥宮などについて述べます。 仮殿 本殿のはす向かいには、仮殿(かりどの)が南面しています。 桁行3間・梁間2間、三間社入母屋、向拝1間、檜皮葺。 本殿など…

【鹿嶋市】鹿島神宮 前編(楼門、本殿)

今回は茨城県鹿嶋市の鹿島神宮(かしま じんぐう)について。 鹿島神宮は市の中央部の丘陵上に鎮座する常陸国一宮です。 息栖神社(茨城県神栖市)、香取神宮(千葉県香取市)とならぶ東国3社のひとつ。 創建は、初代・神武天皇の時代とされます。古代の関東地方に…

【香取市】側高神社(香取神宮第一摂社)

今回は千葉県香取市の側高神社(そばたか-)について。 側高神社は市東部の丘陵上に鎮座する、香取神宮の摂社です。 創建は不明。社伝によると、創建は初代・神武天皇の時代で、香取神宮と同年に創られたとのこと。鎌倉時代には、香取神宮とともに社殿の造替が…

【香取市】光明院

今回は千葉県香取市の光明院(こうみょういん)について。 光明院は多田地区の丘陵に鎮座する真言宗智山派の寺院です。山号は八幡山、寺号は西福寺。 創建は不明。寺伝によると、源満仲(多田満仲)が平将門を弔うため、天慶年間(938~947)に寺と八幡宮を建てたの…

【香取市】香取神宮 後編(本殿、神饌殿、祈祷殿)

今回も千葉県香取市の香取神宮について。 前編では勅使門と楼門などについて述べました。 当記事では、本殿、神饌殿、祈祷殿などについて述べます。 拝殿と幣殿 楼門の先には、拝殿・幣殿・本殿の3棟があり、いわゆる権現造となっています。こちらは拝殿。 拝…

【香取市】香取神宮 前編(勅使門と楼門)

今回は千葉県香取市の香取神宮(かとり じんぐう)について。 香取神宮は市南部の丘陵に鎮座する下総国一宮です。 鹿島神宮、息栖神社とならぶ東国三社の一社。 創建は不明。社伝によると、初代神武天皇の時代とされます。上古の時代、関東平野には巨大な内海…

【印西市】宗像神社(岩戸)

今回は千葉県印西市岩戸(いわと)の宗像神社(むなかた-)について。 宗像神社は市南部の丘陵地に鎮座しています。 創建は、『宗像神社史』や香取家古文書によると、1806年(文化三年)または1807年とのこと。沿革については、社記を喪失しているため不明。当地に…

【印西市】泉福寺

今回は千葉県印西市の泉福寺(せんぷくじ)について。 泉福寺は市南部の丘陵の住宅地に鎮座する真言宗豊山派の寺院です。山号は不明。 創建および沿革は不明。1556年(弘治二年)に伽藍を焼失し、その後に現在の薬師堂が移築されたとのこと。 現在の境内伽藍は室…

【印西市】栄福寺

今回は千葉県印西市の栄福寺(えいふくじ)について。 栄福寺は市の南東部の集落に鎮座する天台宗の寺院です。山号は角龍山。 創建は不明。寺伝によると天平年間、行基によって開かれたとのこと。その後の沿革も不明。境内に並立する熊野神社とともに、神仏習…

【長野市】善光寺 その3 本堂

今回も長野県長野市の善光寺について。 その1では仁王門と釈迦堂について、 その2では山門と経蔵について述べました。 当記事では国宝の本堂について述べます。 本堂の概観 山門をくぐって境内の中心部へ行くと、圧倒的な貫禄と風格を漂わせる本堂が鎮座して…

【印西市】松虫寺

今回は千葉県印西市の松虫寺(まつむしでら)について。 松虫寺は市東部の丘陵に鎮座する真言宗豊山派の寺院です。山号は摩尼珠山。 創建は不明。 寺伝によると聖武天皇の皇女・松虫姫が当地で病の平癒を祈願し、松虫姫の遺骨を納めるため、743年(天平十五年)に…

【栄町】駒形神社

今回は千葉県栄町の駒形神社(こまがた-)について。 駒形神社は安食地区の住宅地の丘に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると1151年(仁平元年)、大浦朝臣廣足という人物が当地に保食神を祀ったのがはじまりとされます。近世までの沿革は不明。1786年に書…

【栄町】大鷲神社

今回は千葉県栄町の大鷲神社(おおわし-)について。 大鷲神社は安食地区の住宅地に鎮座しています。 創建は不明。社伝によると、ヤマトタケルが東征の折に当地に旗を立てた旧跡とのこと。近世より前の沿革は不明。江戸時代初期には春日局の崇敬を受け、子の竹…

【成田市】新勝寺(成田山) その4 額堂、光明堂、薬師堂

今回も千葉県成田市の新勝寺について。 その1では総門、仁王門について、 その2では大本堂、三重塔、一切経蔵について、 その3では釈迦堂と出世稲荷について述べました。 当記事では額堂、光明堂、薬師堂などについて述べます。 額堂 大本堂と釈迦堂のあいだ…

【成田市】新勝寺(成田山) その3 釈迦堂と出世稲荷

今回も千葉県成田市の新勝寺について。 その1では総門、仁王門について、 その2では大本堂、三重塔、一切経蔵について述べました。 当記事では釈迦堂と出世稲荷について述べます。 釈迦堂 大本堂向かって左、境内西側の区画には、釈迦堂が南面しています。 …

【成田市】新勝寺(成田山) その2 大本堂、三重塔、一切経蔵

今回も千葉県成田市の新勝寺について。 その1では総門と仁王門について述べました。 当記事では大本堂、三重塔、一切経蔵などについて述べます。 大本堂 仁王門をくぐって石段を昇った先には大本堂。右手には三重塔がそびえ立ちます。 大本堂は、RC造、桁行5…

【成田市】新勝寺(成田山) その1 総門、仁王門

今回は千葉県成田市の新勝寺(しんしょうじ)について。 新勝寺は成田市街に鎮座する真言宗智山派の大本山です。山号は成田山。通称は成田山新勝寺。 創建は940年(天慶三年)。朱雀天皇の勅命を受けた寛朝が、平将門の乱の鎮圧を祈願するため当地で祈祷をしたの…

【上田市】高仙寺(小泉大日堂)

今回は長野県上田市の高仙寺(こうせんじ)について。 高仙寺は市の北端の山中に鎮座する真言宗智山派の寺院です。山号は驚覚山。 創建は寺伝によると806年(大同元年)。坂上田村麻呂が蝦夷征伐の折に当地に堂宇を建立したのがはじまりで、当寺は大日堂の別当と…

【松本市】宝輪寺

今回は長野県松本市の宝輪寺(ほうりんじ)について。 宝輪寺は農地に囲まれた集落に鎮座する高野山真言宗の寺院です。山号は平城山。 創建は不明。寺伝によると、空海が当地を訪れた際に開かれたとのこと。その後は荒廃したらしく、平安後期に今井兼平(今井四…

【松本市】今井神社(績麻神社・兼平神社)

今回は長野県松本市の今井神社(いまい-)について。 今井神社は市南西の上今井地区の集落に鎮座しています。 創建は不明。今井神社は別名を兼平神社(かねひら-)といい、応永年間(1394-1428)に当地の住人が今井兼平*1を祀ったのがはじまりとされます。その後、…

【朝日村】五社神社

今回は長野県朝日村の五社神社(ごしゃ-)について。 五社神社は村南部の西洗馬地区の山際に鎮座しています。 創建は寛永年間(1624-1644)。当初は諏訪大社下社を勧請した諏訪神社だったようです。1878年に近在の神社が合祀され、そのときに現在の社名になった…

【鎌倉市】円覚寺 その3(正続院および舎利殿)

今回も神奈川県鎌倉市の円覚寺について。 その1では、山門や仏殿などについて、 その2では、洪鐘、方丈、開基廟などについて述べました。 当記事では、正続院と国宝の舎利殿、塔頭の黄梅院について述べます。 正続院(山門と鐘楼) 仏殿や方丈の脇を通って境内…

【鎌倉市】円覚寺 その2(洪鐘、方丈、開基廟など)

今回も神奈川県鎌倉市の円覚寺について。 その1では、山門や仏殿などについて述べました。 当記事では、弁天堂と洪鐘、唐門と方丈、佛日庵(開基廟)などについて述べます。 松嶺院と桂昌庵 選仏場の左隣(西)には松嶺院(しょうれいいん)。 牡丹の名所で、開高…