甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

長野県(東信)

【川上村】住吉神社

今回は長野県川上村の住吉神社(すみよし-)について。 住吉神社は川上村の中心部の集落に鎮座しています。 社叢の茂った境内には随神門などの社殿があり、本殿は標準的な造りの流造ではありますが非常に個性的な内容で、神社ですが禅宗様建築の意匠も観察でき…

【南相木村】諏訪神社

今回は長野県南相木村の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社は南相木村の中心部を通る県道2号の道沿いに鎮座しています。 この地域に多数ある諏訪神社の1つですが、本殿は長野県ではあまり例のない入母屋で、本殿としてはやや大型の三間社になっています。 …

【北相木村】諏訪神社

今回は長野県北相木村の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社は北相木村の中心部の集落に鎮座しています。 境内には4棟の本殿が並立し、中央にある諏訪神社本殿は室町末期の造営のようです。それだけでなく、二間社というやや珍しい様式となっている点も見ど…

【南牧村】諏訪神社(海尻)と医王院

今回は長野県南牧村海尻(うみじり)の諏訪神社(すわ-)と医王院(いおういん)について。 諏訪神社(海尻) 所在地:〒384-1301長野県南佐久郡南牧村海尻632(地図) 参道と境内社 諏訪神社の境内は国道141号に面しており南向き。 入口には石製の明神鳥居。扁額なし…

【小海町】松原諏方神社

今回は長野県小海町の松原諏方神社(まつばら すわ-)について。 松原諏方神社は松原湖の湖畔に鎮座しています。 本殿は明治期のものですが比較的大きい流造で、本殿の裏手には重要文化財である梵鐘(野ざらしの鐘)が安置されています。 現地情報 所在地 〒384-…

【小海町】熊野神社(千代里)

今回は長野県小海町千代里(ちよさと)の熊野神社(くまの-)について。 熊野神社は小海町の山際の集落に鎮座しています。 境内は拝殿(覆い屋)と本殿しかなく極めてシンプルな内容ですが、板葺の春日造本殿はやや古風で各所におもしろい意匠がみられます。 現地…

【小海町】諏訪神社(東馬流)と馬流駅

今回は長野県小海町東馬流(ひがしまながし)の諏訪神社(すわ-)馬流駅などについて。 諏訪神社(東馬流) 所在地:〒384-1101長野県南佐久郡小海町東馬流(地図) 諏訪神社の境内は西向き。 入口には石製の両部鳥居が立っており、扁額は「諏訪神社」。 鳥居の先に…

【小海町】諏訪神社(千代里宮上)

今回は長野県小海町千代里宮上(ちよさと みやうえ)の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社(千代里宮上)は小海町の山間に鎮座しています。 本殿は江戸末期のもので歴史は浅いですが、立川流の宮大工の手によるもののため各所に彫刻が配置されており、派手な造…

【佐久穂町】諏訪神社(畑)

今回は長野県佐久穂町畑(はた)の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社は佐久穂町の集落の山際に鎮座しています。 本殿は規模・内容ともに標準的な春日造ですが同様式の本殿が3つ並立しており、信州ではあまり見られない配置となっています。 現地情報 所在地 …

【佐久穂町】平林神社と千手院(津金寺)

今回は長野県佐久穂町の平林神社(ひらばやし-)と千手院(せんじゅいん)について。 平林神社 所在地:〒384-0611長野県南佐久郡佐久穂町平林226(地図) 平林神社(ひらばやし-)は羽黒下駅のある集落に鎮座しています。 境内に案内板などはなく詳細不明ですが、本…

【佐久市】蕃松院

今回は長野県佐久市の蕃松院(ばんしょういん)について。 蕃松院は佐久市東部、龍岡城と新海三社神社のある集落に鎮座する曹洞宗の寺院です。山号は大梁山。 伽藍はいずれも江戸後期と明治期のものですが、規模の大きさは佐久でも随一であり、彫刻も凝ってい…

【佐久市】新海三社神社 後編(東本殿と三重塔)

今回も長野県佐久市の新海三社神社について。 前編ではアクセス情報と拝殿や西本殿・中本殿について述べました。 当記事は新海三社神社の東本殿と三重塔について述べます。 東本殿 東本殿は西本殿・中本殿とは少し距離を置いた場所に鎮座しています。後方に見…

【佐久市】新海三社神社 前編(拝殿、西本殿・中本殿など)

今回は長野県佐久市の新海三社神社(しんかい さんしゃ-)について。 新海三社神社は佐久市東部の山際に鎮座しています。 佐久地方でも最大級の規模を誇る神社で、境内には三重塔と3つの本殿があるなど非常に充実した内容となっています。 当記事(前編)は拝殿・…

【佐久市】諏訪神社(清川)

今回は長野県佐久市清川(きよかわ)の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社(清川)は佐久市東部の集落の、県道120号沿線に鎮座しています。 境内は小さく、本殿とその覆い屋を兼ねた拝殿だけという非常にシンプルな内容。地図を調べてみても掲載されていません…

【佐久市】山田神社

今回は長野県佐久市の山田神社(やまだ-)について。 山田神社は佐久市の集落の山際に鎮座しています。 境内には多数の社殿があり、特に本殿は善光寺と似た「撞木造」(しゅもくづくり)という屋根になっており、神社本殿として非常に特異で凝った造りをしていま…

【佐久市】平賀神社

今回は長野県佐久市の平賀神社(ひらが-)について。 平賀神社は佐久市の南東部の集落に鎮座しています。 境内は丘の斜面にあり、鶴岡八幡宮から分祀したという歴史のある神社です。本殿は覆い屋の中にありますが鑑賞は可能で、江戸後期と思しき派手な彫刻で装…

【佐久市】貞祥寺

今回は長野県佐久市の貞祥寺(ていしょうじ)について。 貞祥寺は佐久市南東部の山際に鎮座している曹洞宗の寺院です。山号は洞源山。 境内には長野県宝に指定されている三重塔と総門と楼門があるほか、島崎藤村の旧宅があるなど充実した内容。また、参道や伽…

【上田市】岩谷堂観音(宝蔵寺)

今回は長野県上田市の宝蔵寺(ほうぞうじ)岩谷堂観音(いわやどうかんのん)について。 岩谷堂観音は上田市南部の旧丸子町の山際に鎮座しています。 境内は桜の名所で、「義仲桜」なる木があって木曽義仲の伝説が残る地です。表題の観音堂は江戸中期のもので、…

【東御市】白鳥神社

今回は長野県東御市の白鳥神社(しらとり-)について。 白鳥神社は北国街道の海野宿(うんのしゅく)の東に鎮座しています。 海野宿は江戸期の宿場町の面影を色濃く残していることで著名ですが、宿場の産土神である白鳥神社もまた江戸期の作風の本殿が現存してい…

【上田市】信濃国分寺(八日堂)

今回は長野県上田市の信濃国分寺(しなのこくぶんじ)について。 信濃国分寺は上田市南部の国道18号線に面した場所に鎮座している天台宗の寺院。山号はなく、八日堂(ようかどう)の通称で呼ばれています。 奈良時代に聖武天皇の命で各国につくられた国分寺の後…

【東御市】滋野神社(新張)

今回は長野県東御市新張(みはり)の滋野神社(しげの-)について。 滋野神社(新張)は東御市北部の県道94号沿線に鎮座しています。 赤色の塀と本殿(?)が印象的な神社で、本殿は江戸中期のものとのことですが、長野県神社庁の解説とは合致しない点が多くあり、疑…

【立科町】諏訪神社(茂田井)

今回は長野県立科町茂田井(もたい)の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社(茂田井)は、中山道の沿線にある「茂田井 間の宿」(もたい あいのしゅく)の端に鎮座しています。 茂田井は中山道の六十九次には入っていない非公式の宿場(休憩所)でしたが旅人の往来で…

【立科町】蓼科神社里宮と光徳寺

今回は長野県立科町の蓼科神社(たてしな-)と光徳寺(こうとくじ)ついて。 蓼科神社里宮と光徳寺は蓼科町役場の南、県道40号の沿線に鎮座しています。 蓼科神社は式内社ではないようですが創建は平安以前にさかのぼる古社(式外社という)です。 隣接する光徳寺…

【長和町】松尾神社

今回は長野県長和町の松尾神社(まつお-)について。 松尾神社は旧中山道・笠取峠の東側の集落に鎮座しています。 本殿は江戸末期に立川流の宮大工によって造られた三間社で、この近辺の神社の中では大規模な部類に入ります。ほか、境内社も多数あり、社地は決…

【長和町】諏訪神社(古町)

今回は長野県長和町古町(ふるまち)の諏訪神社(すわ-)について。 諏訪神社(古町)は国道152号線沿いの長和町役場の北にある集落に鎮座しています。 社殿は当町出身の宮大工による立川流の本殿を見ることができます。また、境内には正八幡宮という摂社(?)があり…

【佐久市】八幡神社(蓬田) その1 随神門、神楽殿

今回は長野県佐久市蓬田(よもぎだ)の八幡神社(はちまん-)について。 八幡神社は旧中山道・八幡宿(やわたしゅく)に鎮座しています。 創建は不明。伝承では859年(貞観元年)に滋野貞秀によって勧請されたとのこと。鎌倉末期に成立した『吾妻鑑』に当社とみられる…

【上田市】北向観音

今回は長野県上田市の北向観音(きたむき かんのん)について。 北向観音は市北部の別所温泉に鎮座する仏堂で、金剛山常楽寺(同地区にある天台宗寺院)によって管理されています。 創建は寺伝によると825年(天長二年)で、常楽寺とともに円仁によって開かれたと…

【青木村】日吉神社

今回は長野県青木村の日吉神社(ひよし-)について。 日吉神社は村南部の山際の集落に鎮座しています。 創建年代は不明。当初は大法寺の近隣に鎮座していたようです。当地は比叡山延暦寺の寺領だったため、日吉大社(大津市)の祭神が勧請され、古くは「山王大権…

長野県の国宝の一覧(全10件 2020年3月版)

長野県教育委員会によると、2020年3月時点での長野県の国宝は全部で10件あります。 2014年に「仮面の女神」が、2019年に「旧開智学校」が国宝に登録され、全10件となりました。内訳は、建造物6件、工芸品1件、絵画1件、考古資料2件です。 ・参考(外部リンク)…

【上田市】安楽寺 後編(八角三重塔など)

今回も長野県上田市の安楽寺について。 前編では本堂などの伽藍について紹介・解説しました。 当記事では国宝の八角三重塔 などについて解説していきます。 経蔵と傅芳堂 国宝の八角三重塔のある場所へ行くには、本堂の左手にある拝観受付を通って階段の斜面…