世をひねる

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【南相木村】諏訪神社

今回は長野県南相木村の諏訪神社(すわ-)について。

 

諏訪神社は南相木村の中心部を通る県道2号の道沿いに鎮座しています。

この地域に多数ある諏訪神社の1つですが、本殿は長野県ではあまり例のない入母屋で、本殿としてはやや大型の三間社になっています。

 

現地情報

所在地 〒384-1211長野県南佐久郡南相木村和田2932(地図)
アクセス 八千穂高原ICから車で20分
駐車場 5台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

鳥居と拝殿

諏訪神社入口

諏訪神社の境内は南東向き。

鳥居は石製の明神鳥居で、扁額はなし。社号標には「郷社 諏訪神社」。

長野県神社庁には「諏訪社」として登録されているようですが、社号標には諏訪神社とあるので当記事ではこちらを採用しています。

 

境内の西側(写真左側)は崖になっており、その下には川が流れていて滝があります。滝までは距離があるようですが、境内のすぐ隣を走る車道はほとんど車通りがないため滝の音がここまで聞こえてきます。

 

諏訪神社の拝殿

拝殿は桟瓦葺の切妻(平入)。扁額は「正一位諏方大明神」。

特にこれといって寺社建築らしい意匠は見当たりません。

 

本殿

諏訪神社本殿

拝殿の裏には、この規模の神社にしては大きな本殿が鎮座しています。

本殿は鉄板葺の三間社入母屋(さんけんしゃ いりもや)。正面3間・側面2間・背面2間、向拝1間。

造営年代は不明。孫引きですが「八ヶ岳原人」様の記事によると『南相木村誌』に“今残っている棟札の最も古いものが永保六年(1678)である”と書かれているとのことで、作風からしても江戸初期のものと見てよさそうです。

祭神は諏訪神社なのでタケミナカタ。

 

諏訪神社の拝殿

建築様式は入母屋なので、軒裏は四方に垂木が延びています。ちなみに、入母屋の神社本殿というのはべつだん珍しくないですが、長野県内ではなぜか例が少ないです。

向拝柱(写真左側)の上で軒裏の垂木を受けている手挟(たばさみ)はくり抜かれていないもので、やや古風。

向拝柱と母屋柱をつなぐ海老虹梁(えびこうりょう)は、ゆるやかなS字にカーブした形状。向拝側は虹梁の高さから、母屋側は頭貫の高さから出ています。

 

母屋の正面は4本の円柱で構成されており、柱間は3間。中央の柱間にだけ扉が設けられています。

母屋柱の頭貫には木鼻がついており、象のようなシルエットをした象鼻になっています。ここもやや古風。

柱上の組物は尾垂木が突き出た出組。梁や桁が二手先に持出しされています。

 

諏訪神社本殿の側面

側面。母屋の壁板は水平方向に張られています。これは神社建築の常識。

縁側は正面と左右の計3面にまわされ、壁と直交に板を張った切目縁になっています。欄干は擬宝珠付き。縁側の床下は、組物のついた束で支えられています。

縁側の背面側をふさぐ脇障子にも彫刻はありません。

 

諏訪神社本殿の背面

背面。正面が3間だったのに対し、こちらは2間になっています。真ん中の柱は、他の母屋柱と同様にしっかりと円柱に成形されていて柱上に二手先の組物があります。

母屋柱の床下は、円柱を成形する手間を惜しんで八角柱で止めるという定番の手抜き工作が観察できます。

 

諏訪神社本殿の棟

大棟には鰹木が5本。

鬼板には鬼の面が掲げられています。これは山梨県を中心に、信州の神社本殿でもよく見かける意匠。

 

社殿については以上。

これといって目立つ意匠は見当たらないですが、県道と崖に挟まれた独特のロケーションと、敷地の狭さの割りに本殿が大きめで、地味ながらそれなりに印象に残る神社だと思います。

 

f:id:hineriman:20200413080705j:plain

最後に境内背部の遠景。

本殿の裏には村から指定を受けているらしいケヤキの大木が立っており、この木についての案内板にも社名について「諏訪社」と記述されていました。

また、写真右端の柵に沿って歩道を下ってゆくと御三甕(おみか)の滝という景勝地があるとのこと。歩道や崖下をのぞき込んでみてもそれなりに距離があるようなので、滝については時間的・体力的な事情から割愛と相成りました。

 

以上、諏訪神社でした。

(訪問日2020/02/23)

寺社索引

山梨県

長野県

その他の都道府県

用語集

・用語集 ( / / / た・な / / ま・や・ら・わ)

寺社の基礎知識

その他コンテンツ

近現代の建築 ・博物館

自転車(輪行) ・駅そば ・参考書籍

新着記事