今回は長野県のマイナー観光地ということで、諏訪市の手長神社(てなが-)について。
諏訪地域は信濃国一宮・諏訪大社のお膝元のため、その系統の神社が数多くあります。その中には、諏訪大社の祭神・タケミナカタに反発し、屈服させられた土着の神を祀った神社もいくつか存在します。
手長神社の“手長”も、相方の足長とともにタケミナカタに反発した神の一柱で、諏訪大社とよく似た形式の見応えある社殿に祀られています。ちなみに、“足長”を祀った足長神社も同市内にありますが、手長神社からは少し離れた場所です。
現地情報
所在地 | 〒392-0003長野県諏訪市上諏訪9556(地図) |
アクセス |
上諏訪駅から徒歩10分 諏訪ICから車で15分 |
駐車場 | 5台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 20分程度 |
境内
境内入口
参道の入り口。鳥居と手水舎があります。
なお、ここの駐車場は写真右にある郵便局のものなので、迷惑駐車しないように。
参道の階段は100段くらい。階段を上り終えると、中学校の敷地みたいな道を通って境内に到着します。車で訪問する場合は、ここに車を止めるといいでしょう。
手水舎。柱には組物、梁の上には四方全てに蟇股があり、手水舎にしては手が込んでいます。
幣拝殿
短い階段を上ると、幣拝殿があります。
間口3間、奥行1間。銅葺き、平入の入母屋で、正面に千鳥破風と向唐破風付き。
正面から見た拝殿の軒下。額には「手長宮」とあります。
特に目を引くのは豪華な彫刻が施された蟇股(かえるまた)でしょう。豪華すぎてもはや蟇股としての原型を留めていません。本来、蟇股というのは梁にかかる荷重を分散させる構造材なのですが、ここまで繊細なものになってしまうと、構造材としての役割はもう無いのでしょう。完全なる装飾材です。
拝殿の軒下の別アングル。
虹梁には龍があしらわれ、梁と桁は三手先(みてさき)の複雑な組物によって柱の上から大きく張り出されています。
片拝殿
拝殿の左右に控える片拝殿(かたはいでん)は、間口2間、奥行2間。銅葺き、平入の切妻。
こちらの彫刻も見事です。梁の上にある蟇股は、さすがに普通のものでした。
拝殿と左右片拝殿の全体図。
規模こそ諏訪大社(春宮、秋宮、本宮)に劣りますが、この社殿配置は諏訪大社そのものです。
本殿
片拝殿の脇から覗き込むと、神明造っぽい本殿が少しだけ見えました。
祭神は手長こと“テナヅチ”。案内板によると古事記にも登場する土着の神だそうですが、相方の足長とともにタケミナカタ(諏訪大社の祭神)に臣従したとのこと。
ほか、案内板には手長・足長の伝説と、県内の各地にあるダイダラボッチ伝説の関係を匂わせる記述がありました。
境内社(摂社末社)など
拝殿から向かって左へ行くと、異様に長い回廊があります。回廊の天井には、御柱に使うものと思われる綱が掛けてありました。
長い回廊の先には、謎のしゃちほこが置かれた“聖徳神社”なる摂社(?)が。
他にも境内には多数の摂社・末社が鎮座しており、その全てに小さな御柱が立てられていました。
初見の人は奇妙に感じるかもしれないですが、諏訪地域では小さな祠の四囲にも柱を立てる風習があり、この辺では割とよくある光景です。
以上が手長神社の境内になります。さすがに諏訪大社には劣りますが、非常に立派な社殿が楽しめるので、まず諏訪大社を見て、もっと神社を見たいと思ったなら始めに手長神社を見てみてはいかがでしょうか。
ほか、この近辺には高島城や上諏訪温泉、それに酒蔵も多数あるので普通の観光にもお勧めです。
以上、手長神社でした。
(訪問日2019/05/18)