世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【寺社の基礎知識】寺社建築用語集 は行

この記事では、当ブログに頻出する寺社建築用語について簡単に説明いたします。

 

行別

/ / / た・な / / ま・や・ら・わ

 

 

拝殿 はいでん

神社の社殿のひとつ。本殿の前に配置され、参拝のための場所として使われる。

本殿よりも大きい場合がほとんどで、そのせいか拝殿を本殿だと思いこんでいる人も少なからず居る。

 

廃仏毀釈 はいぶつきしゃく

仏教寺院の関連施設を破壊したり、僧侶の地位や財産を剥奪したりする運動のこと。特に断りがない限りは、明治期の神仏分離令によるものを指す。

明治期の廃仏毀釈では、多数の寺院が廃寺にされただけでなく、神社の境内にある仏塔や仁王門なども仏教色の排除のため取り壊された。

 

八幡造 はちまんづくり

神社の建築様式のひとつ。平入で切妻の建物を前後に2つ連結させた構造をしている。

石清水八幡宮(京都市)や宇佐神宮(宇佐市)が著名で、この他の例は少ない。

 

破風 はふ

切妻や入母屋の屋根の端(妻という)に生じる断面部分や、そこを覆う部材のこと。また、断面部分に施された造形のことも指す。

破風には塗装や装飾具が施されたり、懸魚(げぎょ)が取り付けられたりすることがある。なお、寄棟や方形の屋根は、基本的に破風は生じない。

屋根の面に切妻を設けて三角状の装飾にしたものを千鳥破風(ちどりはふ)という。

正面入り口の屋根に設けられた弓形の破風のことを唐破風(からはふ)という。

 

梁 はり

柱間を繋ぐ水平方向の部材のうち、棟や軒と直行し、屋根などの荷重を柱に伝える部材のこと。基本的に建物の短手方向(短辺)になる。

なお、向拝の下に配置される水平材は虹梁(こうりょう)とか海老虹梁(えびこうりょう)とか呼んで区別される。

 

庇 ひさし

窓や扉の上に設けられる屋根状の構造物のこと。寺社建築の庇は、雨除けと装飾を目的としている。住宅建築の場合は、日除けの役割もある。

基本的に開口部の上にだけ設けられるが、特に寺院建築においては建物を一周するように庇を巡らすことがあり、これは裳階(もこし)と呼ばれる。

 

肘木 ひじき

屋根などの荷重を柱に伝える横長の部材。組物(くみもの)の構成要素のひとつ。斗(ます)と合わせて使われる。

なお、舟肘木(ふなひじき)に限っては単体で使われることがある。

f:id:hineriman:20190606150829j:plain

 

平入 ひらいり

正面に立ったとき、大棟が左右に伸びている建物のことを平入と呼ぶ。“妻入”の対義語。

平(切妻屋根の軒側)から出入りするのが呼び名の由来。

参考:【寺社の基礎知識】屋根の分類 - 世をひねる

 

檜皮葺 ひわだぶき

ヒノキの樹皮を重ねて葺いた屋根や、その手法のこと。日本古来の伝統的な手法で、神社建築においては最も格調高い手法とされている。

参考:【寺社の基礎知識】屋根の分類 - 世をひねる

 

吹放ち ふきはなち

柱だけで、壁や戸などの建具のない空間・柱間のこと。

寺院本堂の外陣部分や、神楽殿は三方が吹き放ちになっていることが珍しくない。

 

二手先 ふたてさき

→持出 もちだし

 

二軒 ふたのき

二重の構造になっている垂木のこと。また、そういった垂木を有する屋根のこと。

垂木が三重になっている場合は、三軒(みのき)と呼ばれる。

基本的に寺社建築に見られるもので、住宅や城郭には採用されない。

二重の垂木のうち、棟から伸びるものを地垂木(じだるき)、その上に乗っているものを飛檐垂木(ひえんだるき)と呼ぶ。寺院建築においては、地垂木は円形断面、飛檐垂木は正方形断面とする「地円飛角」が正式だった。

f:id:hineriman:20190606150800j:plain

 

仏塔 ぶっとう

五重塔、三重塔、多宝塔(二重塔)といった多層の塔の総称。

この用語は塔状の寺院建築すべてを指すが、五重塔などを指して言うことがほとんどである。なお、神社に仏塔が存在することも多々ある。

 

舟肘木 ふなひじき

肘木の一種。下側が丸くなった形状が舟のようなのでこの名がある。組物の中では最もシンプルかつ原始的な部材と言える。ただし、単体で使用されることがほとんどのため、厳密には組物とは呼べない。

奈良時代の日本で創始されたと考えられている。

f:id:hineriman:20190606150843j:plain

 

方形 ほうぎょう

屋根の形式のひとつ。平面が正方形の建物で寄棟を作ろうとすると、四角錐の屋根になる。こうした形式を方形と呼ぶ。

なお、大棟がないため寄棟と方形は別の様式として区別される。

参考:【寺社の基礎知識】屋根の分類 - 世をひねる

 

本殿 ほんでん

神社の社殿のひとつ。拝殿の後方に配置され、神の鎮座する場所とされる。しかし、神社によっては山などの自然物を崇拝するため本殿がないところもある。

基本的に拝殿よりも小さく、拝殿の陰に隠れて目立たないことが多い。

信濃国一宮の諏訪大社(本宮・春宮・秋宮)は、本殿のない神社として著名。

 

本堂 ほんどう

寺院の建物のひとつ。境内の中心部に配置され、本尊となる仏が安置される。

古くは“金堂”(こんどう)とも言った。

物とは呼べない。

奈良時代の日本で創始されたと考えられている。