世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【松本市】筑摩神社 ~松本最古 室町時代の本殿~

今回は長野県のマイナー観光地ということで、松本市の筑摩神社(つかま-)について。

 

松本近辺は“筑摩郡”(つかま-/ちくま-)という郡部に属していた歴史があり、この神社は群名を冠しています。言うなれば群を代表する神社というわけですが、その立場にふさわしい、素晴らしい本殿を楽しむことができます。

 

 

 

現地情報

・所在地:

 〒390-0815
 長野県松本市筑摩2丁目6-1

・アクセス:

 松本駅から徒歩40分程度

 松本ICから国道158号線にて車で15分程度

・駐車場:5台程度

・営業時間:随時

・入場料:無料

・社務所:あり(要予約)

・滞在時間:15分程度

 

境内

境内入口 

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境内入口にある一の鳥居。両部鳥居で、扁額には「八幡宮」とありました。

松本の街は、駅と城の間あたりは飲食店が数多くあり外国人観光客も多くて賑やかなのですが、筑摩神社は市街地から少し距離をおいた場所にある川沿いの住宅街の中なので、歓楽街の喧噪とはまるで別世界の静けさです。

 

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ここは神社ですが、境内には鐘つき堂があります。梵鐘は松本地方を治めた大名・小笠原氏による寄進とのことで、市重文

 

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二の鳥居。こちらも両部鳥居です。

八幡宮と呼ばれる神社は神仏習合の色が強い傾向にあるので、両部鳥居であるのも納得が行きます。

 

拝殿

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門をくぐるとすぐに拝殿があります。檜皮葺の入母屋(妻入)、正面向拝付き。

皮は神社の屋根材として最上級の格があるのですが、それが拝殿に使われているとは、かなり豪勢です。

賽銭箱の横には、神社の概要や伝説が解説されているパンフレットがあるので一部頂いていきました。長野県の寺社には田村麻呂にまつわる伝説が残る場所が多々ありますが、ここでは田村麻呂が“八面大王”なる賊を討伐した伝説があるようです。

“八面大王”って何? と思って調べてみたところwikipediaに記事がありました。もしかして松本地方ではけっこう有名な伝説なのでしょうか? 筑摩神社には八面大王の首が、大王わさび園の神社(安曇野市)には胴が埋められているそうです。

 

本殿

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拝殿の後ろ、瑞垣に囲われた場所に、赤っぽい色の本殿があります。檜皮葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)。混じり気のない流造で、シンプルな美しさを感じます。

たいていの神社は、拝殿と比べて本殿が二周り以上も小さく造られるものですが、ここの本殿は拝殿とほぼ同じ大きさでした。

 

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別アングル。本殿は1436(永享8)年の造営で、室町時代の建築様式を今に伝えるとのこと。国指定重要文化財。

装飾と言えるようなものは組物と虹梁くらいしか見えないですが、このシンプルな外観が室町時代の様式なのでしょう。諏訪大社みたいな彫刻だらけの社殿は江戸末期以降のものなので、造営された時代を勘案すればこの本殿は贅を尽くした豪華絢爛な社殿と言って良いはずです。とはいえ、現代の基準で見てもこの本殿は立派としか言いようがないです。

松本の中心市街地や城からはちょっと距離がありますが、600年も昔の由緒ある建築を、閑静な境内で独り占めできる素晴らしい場所なので、神社好きならば足を伸ばして訪問してみるだけの価値は充分にあります。

 

以上、筑摩神社でした。

(訪問日2019/04/06)

 

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