今回は長野県千曲市の姨捨駅(おばすてえき)と長楽寺(ちょうらくじ)について。
姨捨山は長野盆地の西に位置する山地で、昔話(今昔物語集、更級日記など)の棄老伝説の場所として著名な場所です。他にも、多数の俳人たちが作品を残し、県歌・信濃の国の第4番に“月の名にたつ姨捨山”と歌われています。現在では三大車窓の1つとして知られています。
姨捨駅
姨捨駅では長野盆地(善光寺平)を一望でき、月の名所であると同時に、夜景の名所でもあります。駅のホームからの景色については、写真をうっかり消去してしまったので割愛いたします。
駅を出ると長楽寺への案内板があります。また、武水別神社もそう遠くないです。
踏切で撮った写真。姨捨駅は終点駅ではないですが、行き止まりの線路上にあります。
この駅に発着する列車は進行方向を変えて、バック走行で駅へ出入りしています。いわゆるスイッチバックというものです。知らない人が篠ノ井線の鈍行に乗ると、ちょっと面食らうかも。
逆に、長野と松本を電車で観光されるときは特急や快速ではなく鈍行を選び、姨捨駅の車窓とスイッチバックを楽しんでみるのもありかと思います。
長楽寺
現地情報
所在地 | 〒387-0023長野県千曲市八幡姨捨4984(地図) |
アクセス | 姨捨駅から徒歩10分更埴ICから車で15分 |
駐車場 | 30台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
寺務所 | あり(要予約) |
公式サイト | なし |
所要時間 | 15分程度 |
境内
姨捨駅で下車し、つづら折れの急斜面を下ってゆくと長楽寺があります。写真は観音堂と姨岩です。
大型の駐車場が整備されており、長楽寺よりも下の道は坂も比較的ゆるやかで道幅が広いので、車で来るなら千曲市街から登ってくるのが良いでしょう。
本堂の屋根。2つの棟が直角に交わっています。こちらでは善光寺平の眺めを楽しみつつ、抹茶やそばを味わうこともできるようです。なお、そばは完全予約制とのこと。
境内を散策してみると、小さな神社(祠)や石仏のほか、多数の歌碑が置かれていました。
あいにく私は俳諧についてぜんぜん知識がないのですが、松尾芭蕉の句碑もありました。他、小林一茶、伊能忠敬、菅江真澄といった文化人・知識人も訪れたとのこと。
下から見上げた観音堂。
木材の骨組みの上に立つ“懸造”(かけづくり)です。屋根はピラミッド状の方形(ほうぎょう)で、茅葺き。
左側に写っている大岩は“姨岩”(おばいわ?)と言い、一説(姨捨山縁起)によるとこれが姨捨山だとのこと。
他にも月見堂というお堂もあったのですが、写真を撮り忘れていたので割愛。
姨岩の上には転落防止用の柵が設置されており、簡単に登ることができます。
往事は、この岩の上で月見に興ずる人が大勢居たようです。
姨岩の上から見た棚田。奥の平地は坂城町のあたりでしょうか。
この日は5月の初頭で「夏も近づく八十八夜」の頃でしたが、まだ田には水が入っておらず。
北のほうを眺めると、武水別神社の社叢や、飯縄山も見えました。眺望の良さは姨捨駅に勝るとも劣りません。
以上、姨捨駅と長楽寺でした。
(訪問日2019/05/01)