今回は山梨県身延町の久遠寺(くおんじ-)について。
久遠寺は国道52号沿線の身延山のふもとに鎮座しています。山号は「身延山」。
日蓮宗の総本山である大寺院で、非常に広い境内では雄大かつ豪華な伽藍が広がっており、総本山の名にふさわしい内容となっています。伽藍についてはほとんどが明治期のものですが、それを差し引いても見ごたえ抜群で、寺社建築についての知識がなくても充分に楽しめます。
当記事ではアクセス情報および門と参道について述べます。
現地情報
所在地 | 〒409-2524山梨県南巨摩郡身延町身延3567(地図) |
アクセス | 身延駅から徒歩1時間 下部温泉早川ICから車で15分 |
駐車場 | 身延山ロープウェイ駐車場:130台(1時間300円) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料、宝物館は300円(受付は09:00-15:30) |
社務所 | あり(05:30-17:00) |
公式サイト | 身延山久遠寺オフィシャルサイト |
所要時間 | 2時間程度 |
境内
総門
国道52号線をおりて身延山へ入ると、最初に現れるのがこちらの総門。駐車場などはここからだいぶ先にあります。
総門は桟瓦葺の切妻で薬医門というタイプのもの。正面1間・側面1間、柱は角柱。
1665年(寛文五年)の造営で、久遠寺の伽藍の中でも特に古いもの。久遠寺は1875年の大火で伽藍の大部分が焼けてしまったようですが、この総門は主要な伽藍から距離を置いた場所にあるので無事だったのでしょう。
扁額の字は「開会関」。案内板の解説がなかったらとても判読できません... 仏の世界の入口、といった意味らしいです。
軒裏は化粧屋根裏。柱はC面取りの角柱。
柱についている紋は「丸に三の字」で、これは三河国(愛知県東部)の刈谷藩主・三浦氏によって造られたことに因むようです。
梁が極太なので、木鼻も巨大な拳鼻となっています。木鼻の上には台輪木鼻のような板が乗っていますが、これが何なのかは謎。
三門
総門を通って商店街を抜けた先には三門が建っています。扁額は山号「身延山」。
三門は銅瓦葺の入母屋、正面5間・側面2間、柱は円柱。五間三戸の楼門です。
現在の山門は1907年(明治四十年)再建。
案内板*1によると“関東三大門のひとつに数えられてい”るらしいです。あとの2つが一体どこなのかは不明。浅草寺か増上寺あたりでしょうか。それと、山梨県は首都圏ですが関東ではないと思います。ちなみに、この山門と同規模の楼門は県内だけでも2つあります*2。
軒裏は二軒(ふたのき)の繁垂木。2階の垂木は放射状に伸びている(扇垂木)のに対し、1階の垂木は平行です。
垂木を受ける桁は三手先の出組で持出しされており、柱間にもびっしりと組物が配置されています。
内部には太い梁がわたされており、梁間には組物や束などが配置されていて賑やか。
あまり目立たないですが、梁に彫られた模様は明治期らしい繊細な作風です。
側面の壁にも組物や虹梁があります。
壁板は縦方向に張られています。
参道
三門をくぐった先には、本堂へと続く石段があります。本堂まで287段、高低差140メートル。
この石段は「菩提梯」という大層な名前がついていて、南無妙法蓮華経の7字になぞらえて7区画に分けられています。この石段を登って本堂へいたる道程を、悟りを開くまでの過程にたとえたらしいです。
しかし、じつはこの先にある駐車場を利用すると石段をスルーして本堂へ行かれます。
身延山ロープウェイの駐車場まで行くと、斜行エレベーターがあります。エレベーターとは言うものの、無人のケーブルカーやモノレールといった感じ。
駐車場から本堂を片道3分くらいで結び、昼間は随時運航しています。利用料金は無料。
総門、山門、参道については以上。