今回は久能山東照宮の裏の見どころということで、小ネタ特集となります。
久能山東照宮には国宝の社殿をはじめ、多数の文化財がひしめく濃厚な境内となっているわけですが、裏の見どころとでも言うべき小ネタも非常に充実しています。
なので当記事ではそんな小ネタを、ゆるく紹介して行こうと思います。
主要な社殿やアクセス情報については下記リンクの記事で紹介・解説しているので、こちらをご参照ください。
徳川コーラ
石段を登りきり、拝観受付のある場所にたどり着くと売店や自販機が並んでいます。
私はこういう山の上で自販機を見ると、どれだけぼったくっているか気になってしまう性分なのですが、ここでは500mlボトルが160円で、下界と同じ価格帯。
価格設定にはがっかりでしたが、いいものを見つけました。
この紋所は...コカコーラ、徳川デザイン...!
コーラ好き、あるいは武士ならば、ひれ伏して購入せざるを得ません。
調べてみたところ、この三つ葉葵の紋が描かれたアルミボトルは日光東照宮や水戸市など、徳川家ゆかりの地で販売されているとのこと。味は、通常のものと変わりないようです。
ところが、この自販機のすぐ近くの売店では瓶のコーラがレトロな自販機で売られています。「瓶入りがいちばんうまい」というのはコーラ好きの間では定説らしいですね。
なので、コーラ好きの武士はここで徳川将軍家への忠誠を試されることになるでしょう。
なお、私は由緒貧しい百姓家の出身ゆえ、将軍に恩義などございません。よって、徳川コーラの購入は見送りとなりました。
二間社
拝観受付をすませて楼門をくぐると、参道の右手にこのような赤色の境内社がひっそりと鎮座しています。
この境内社の造りを見て「おおっ、これは...!」となる人は相当な神社建築マニアでしょう。
この境内社は正面に扉が2組ある二間社(にけんしゃ)という様式。
二間社の何がすごいのかと言うと、「本殿が二間社」である神社は非常に少ないという点。しかしこの境内社は本殿ではないので、そこまですごいものではありません。
ちなみに「本殿が二間社」の神社は、私の知る限りだと長野県・山梨県では両県とも10件程度です。
あいにく静岡県の二間社の事情について私はまったく知らないのですが、二間社はちょっと珍しいということだけでも覚えておいて頂ければ、神社めぐりの楽しみも増えることかと思います。
奉納品
久能山東照宮の裏の見どころとして、ある意味で有名なのが奉納品。
こちらは楼門の先にある五重塔跡。
いろいろな銘柄の地酒が積まれている中、右のほうには一斗缶のサラダ油。油が奉納されているのは初めて見たのでちょっと驚きました。
油はさておき、久能山東照宮の奉納品として有名なのは、やはりこちらでしょう。
プラモデルです。場所は、神楽殿の縁側。
バンダイ、タミヤなど、国内の主要メーカーのものが並べられています。これらのメーカーはいずれも静岡に生産拠点を置くなどしているため、その縁で奉納されているようです。
言うなれば、静岡は「プラモデルの都」というわけです。
やはり奉納数が一番多いのはガンプラ(ガンダムのプラモデル)。おもちゃ屋のプラモデル売り場の大半はガンダムが占領している事実を思うと、これは当然の結果でしょう。
なお、奉納されているガンプラを見たところ、さすがに改造などはせず普通に塗装して仕上げられており、キット(製品)そのものの造形をつぶさないようにしている感じです。
案内板によると久能山東照宮を造った工匠が静岡のプラモデル産業の基礎をつくったとのこと。
なので、プラモデルや模型作りの腕を上達させたいなら久能山東照宮を参拝するといいかもしれません。
家康公お手植えのみかん
静岡県の特産品といったらお茶、そしてミカンですね。
久能山東照宮の拝殿の隣には、祭神である徳川家康が手ずから植えたというミカンの木があります。
それがこちら。
いかがでしょうか?
徳川家康の没年は1616年なので、本当にお手植えならば樹齢400年余であり、それなりの大きさに育っているはず...
ついている実を見ても、色が青くてカボスかライムのような小ささ。ここにくる途中、市内の沿道でオレンジ色に実ったミカン畑を見かけましたが、それと比べるとこのお手植えみかんはあまり発育がよろしくないように思えます...
私の経験上、この手の「○○公お手植えの××」はたいてい3代目くらいの子孫で、本物だったためしがないです。
この近くで有名な例を挙げると信玄公旗掛松(北杜市)や信玄桜(富士宮市)、それから三保の松原にある羽衣の松などなど、いずれも原初の木ではありません。
なので、この家康公お手植えのみかんも本物ではなく、子孫の木ではないかと思います。
以上、小ネタ特集でした。
(訪問日2019/11/29)