世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【松川村】細野神社 ~アルプスを望む大隅流の本殿~

今回は長野県のマイナー観光地ということで、松川村の細野神社(ほその-)について。

 

細野神社は松川村中心部から少し南に行った国道沿いに鎮座しています。

境内や社殿の規模は決して大きくはないものの、信州を代表する流派・大隅流の宮大工が手がけた本殿を鑑賞することができます。

 

 

現地情報

所在地 〒399-8501長野県北安曇郡松川村小ノ口5325-3(地図)
アクセス

細野駅から徒歩5分

安曇野ICから車で20分

駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道

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境内入口は国道に面しており、あぜ道の参道が100メートルほど西向きに伸びています。

 

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細野神社の敷地内から境内入口のほうを見た図。

訪問時は晴天で、西側にそびえる有明山(写真中央)に朝日が当たっていました。

 

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参道を進むと神楽殿と拝殿があります。写真は神楽殿の背面。

神楽殿は鉄板葺の切妻(妻入)で、この地域ではよく見る形式。正面は1間で梁間に柱がなく、側面3間、背面3間。柱はすべて角柱。特にこれといった意匠は見られなかったので正面図は割愛いたします。

右側の灯篭の位置がずれているように見えるのがちょっと気になります。

 

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拝殿と手水舎。手水舎は右側にあり、水は出ていませんでした。

拝殿は鉄板葺の切妻で、中央部が妻入、左右が平入といった構成。同村内にある大和田神社の拝殿と構成が似ています。

扁額の字は「諏訪神社 八幡神社」。案内板(松川村教育委員会)によると主祭神はタケミナカタとその妻・八坂刀女、そして誉田別命とのこと。ただし、境内に御柱はありませんでした。

 

本殿

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拝殿の裏手には板塀に囲われた本殿があります。

本殿は銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。正面1間(2.27m)・側面1間(2.30m)、向拝1間。総ケヤキ造。

案内板によると、野垂木の墨書より1797年(寛政9年)に浅川豊八によって造営されたことがわかっているとのこと。

浅川豊八は堀金村(現 安曇野市)出身、大隅流の宮大工で柴宮長左衛門に師事したとのこと。弟の立川豊八も宮大工ですが、こちらは立川流に師事したようです。

 

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向拝の柱は角柱。木鼻の正面側には唐獅子、側面には象の彫刻が配置されています。

言われてみると唐獅子の造形(作風)が、師の長左衛門が造営した水上布奈山神社のものと似ています

 

向拝の柱と母屋をつなぐ海老虹梁(えびこうりょう)の上のほうには、草花と思しき籠彫(かごほり)が垂木を受けています。

 

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本殿の下部。

母屋の柱は当然ながら円柱ですが、床下を見ると八角柱です。これは定番の手抜き。

縁側の床板は、壁と直交に張られた切目縁(きれめえん)。欄干には擬宝珠が乗っています。正面の階段の下には、切目縁の浜床が張られています。

土台は石積みのようですが、花崗岩のような白っぽい直方体の石材が置かれており、その上に本殿が立っています。

 

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後方から見た側面。

写真下方に見切れている脇障子は、板が縦に張られています。

柱からとび出る貫の木鼻はシンプルな拳鼻(こぶしはな)というタイプのもの。貫の上に配置された蟇股(かえるまた)は、立体的な波の彫刻。その上の梁には菊水の意匠。

虹梁(こうりょう)は組物で持出しされており、虹梁の上には雲と思われる意匠のついた笈形(おいがた)が棟を受けています。笈形の中央に束はありませんでした。

垂木は二重。破風板には拝懸魚(おがみげぎょ)がついていますが桁隠しはなく、丸桁(がぎょう)の木口が露出した状態です。

 

本殿背面側は彫刻などは控えめで、貫の上は蟇股の代わりにシンプルな束が立てられているだけでした。

 

本殿の規模や様式については特筆するほどのことはなく標準的な内容ではありますが、大隅流の特徴である彫刻をよく観察してみると、師からの影響を強く受けたと思われる箇所が散見されます。

アクセス良好な場所にあるので、神社の彫刻が好きなら一見の価値は充分にあるかと思います。

 

以上、細野神社でした。

(訪問日2019/11/02)