世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【松川村】大和田神社と鈿女神社

今回は長野県のマイナー観光地ということで、松川村の大和田神社と鈿女神社について。 

 

 

大和田神社

大和田神社(おおわだ-)は松川村の北西の集落に鎮座しています。

社殿はいずれも新しいもののようですが、大型の神楽殿は2階建てで、2階へ登れるようになっています。

 

現地情報

所在地 〒399-8501長野県北安曇郡松川村川西2831(地図)
アクセス

信濃松川駅から徒歩30分

安曇野ICから車で30分

駐車場 3台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

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南向きの境内は鬱蒼とした社叢に覆われています。入口の鳥居の扁額には篆書体で「大和田社」とありました。

  

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参道を進むと、鉄板葺の切妻(平入)の神楽殿が立っています。こちらは背面。

境内は、鳥居・神楽殿・拝殿・本殿が一直線に並んだ配置になっています。

 

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神楽殿を正面から見た図。

正面1間、側面3間、背面は3間。正面の梁間に柱がないのは普通ですが、この規模にしては柱の本数が少ないです。写真左奥にうつっている階段を使うと2階に登れますが、とくにこれといったものがあるわけでもなく眺めが良いわけでもないので写真は割愛。wikipediaによると、この2階は拝殿の前で行われた芝居の見物席としての役割もあったとのこと。 

 

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拝殿は鉄板葺の切妻。中央が妻入、左右が平入になっています。

扁額の字は「大和田神社」。垂れ幕の紋は三つ巴。

 

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拝殿の裏には本殿があります。高い板塀に囲われていますが、窓があるのでそこから側面を観察できます。拝殿とともに昭和時代に再建されたものとのこと。

本殿は銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。流造なので正面の屋根が長く伸びており、破風板が「へ」の字を描いています。破風板には懸魚(げぎょ)が4つ。

母屋の柱は円柱ですが特にこれといった装飾の類はシンプルな組物しか見当たりません。柱は床下も円柱に成形されており、床下は壁板を張ったうえで下端に長押を打つという構成になっています。

縁側は正面と左右側面にあり、壁と直行する切目縁(きれめえん)。縁側の終端には脇障子が立てられています。欄干は跳高欄(はねこうらん)。

向拝の柱は角柱で、向拝と母屋をつなぐ梁は、真っすぐで一切の装飾が見られません。階段の下は切目縁の浜床。

 

以上、大和田神社でした。

 

鈿女神社

鈿女神社(うずめ-)は松川村の中心南部に鎮座しています。

創始は明治時代で非常に新しい部類に入りますが、社殿は各所に彫刻が配置されていて、この規模の神社にしては豪華な本殿を見ることができます。

 

現地情報

所在地 〒399-8501長野県北安曇郡松川村細野(地図)
アクセス

北細野駅から徒歩10分

安曇野ICから車で25分

駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり ※近くのガソリンスタンド敷地内にあります
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

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境内入口。影になって見づらいですが、写真右端には瓦葺の手水舎があります。水は出ていませんでした。

立札には小倉百人一首が書かれていますが、境内には歌碑が立てられていたのでそれと何かしらの関係があるのでしょう。

 

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鳥居の前で右に曲がると、石橋がかかっています。擬宝珠(ぎぼし)のついた欄干も含めてすべて花崗岩製で、鉄筋などは一切つかわれていないとのこと。村指定文化財で、2トン以上の車両は通行禁止。

 

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南向きの境内を進むと、二の鳥居と拝殿があります。拝殿は鉄板葺の切妻で、正面に千鳥破風と向拝付き。

 

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狛犬は左右ともに大きなたてがみが付いていて、独特な造形。

 

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拝殿の裏手には本殿があります。

本殿は銅板葺の一間社流造。案内板(松川村教育委員会)によると“岡谷の工匠による建築”とのことですが、具体的な名前が書かれておらず棟梁は不明。地域や作風からして立川流あるいは大隅流の宮大工ではないでしょうか。

祭神は社名のとおりウズメ。サルタヒコの妻で、“おかめ”や“お多福”と同一視されています。岩戸隠れ伝説でのエピソード(滑稽な裸踊りを披露した)より芸事の神として崇拝されることが多いですが、案内板によるとここでは“福利厚生の神”とのこと。

 

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左側から見た向拝の軒下。

柱の正面(写真では右方向)には唐獅子、その側面(写真手前)は象の木鼻。

 

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左側面の妻壁。

写真中央の蟇股(かえるまた)は鳥の彫刻。その上の虹梁は、組物で持出しされています。虹梁の上では、笈形(おいがた)のついた大瓶束(たいへいづか)が棟を支えています。

 

ほか、脇障子には神話の一場面が彫られているようでしたが、板壁にはばまれて観察できなかったので割愛。

 

以上、鈿女神社でした。

(訪問日2019/03/15,11/02)