甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【安曇野市】穂高神社 本宮(里宮)

今回は長野県安曇野市の穂高(ほたか-)について。

 

穂高神社本宮(里宮)は安曇野市の中心市街地に鎮座しています。

長野県を代表する神社の1つで、沙田神社(松本市)とともに信濃国三ノ宮として延喜式内社に列する古社です。社殿は新しいもののようですが、本殿は穂高造(ほたかづくり)という独自の様式となっています。

 

現地情報

所在地 〒399-8303長野県安曇野市穂高6079(地図)
アクセス 穂高駅から徒歩5分
安曇野ICから車で15分
駐車場 100台以上(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり
公式サイト 穗髙神社
所要時間 15分程度

 

境内

参道

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穂高神社の正面入口。境内は東向きに伸びています。

社号標が掲げられた高札は、虹梁や大瓶束、持送りなどが見られる凝ったもの。

 

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一の鳥居は石製。扁額は「穂高神社」。

柱には奉納者の氏名と奉納額がびっしりと書かれており、“耳なし芳一”状態。

 

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参道を進むと左側に手水舎があります。

写真中央奥にあるのは、毎年9月の御舟祭りに使われる舟・穂高丸。後述しますが穂高神社の祭神は海の神とされています。

 

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二の鳥居は両部鳥居。前後の側柱は、四角ではなく八角柱でした。

奥に写っている神楽殿は鉄板葺の入母屋(平入)で、正面に千鳥破風がついています。

神楽殿の周辺では、菊人形展のため仮設のテントが張られていました。

 

境内社と拝殿

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拝殿の前には多数の境内社が並び立っています。

上の写真は四間の社殿と顔なしの狛犬。

 

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こちらの写真中央は八幡社とのことですが、切妻が前後に連結した“八幡造”(はちまんづくり)になっています。

 

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そしてこちらが拝殿。鉄板葺で、中央は入母屋(いりもや)で軒唐破風付き、左右は切妻(平入)といった構成。

右は孝養杉という神木。

 

本殿

本殿は例のごとく拝殿の裏手にあるのですが、裏へ回り込む道がなく、拝殿のガラス戸から覗き込むことで辛うじて見えました。

本殿は3棟が横並びに立っており、中央に祀られているのが穂高見命(ほたかみのみこと)。左は穂高見命の父・ワタツミ、右はニニギ。

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本殿3棟は銅板葺の切妻(平入)。柱はいずれも角柱で、向拝はありません。

中央の本殿は穂高造(ほたかづくり)という様式になっており、屋根の上に載っている鰹木(かつおぎ)に特徴があります。しかし、肝心の鰹木が見えず。

 

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仕方がないのでWikipediaから画像を引用して加工しました。

鰹木というと棟に直交して乗せるものですが、穂高造の鰹木は棟と平行の向きになっており、V字型に中央で折れ曲がっています。この鰹木は釣竿あるいは帆柱を表したものらしいです。

 

以上、穂高神社本宮(里宮)でした。

(訪問日2019/11/02)