今回は長野県岡谷市山手町(やまてちょう)の金山神社(かなやま-)について。
金山神社(山手町)は岡谷市の市街地の北側の斜面に鎮座しています。社殿はあまり大きくないものの、精緻な彫刻の施された本殿を、手が届くほどの距離で鑑賞できます。
現地情報
所在地 | 〒394-0041長野県岡谷市山手町1-3-7(地図) |
アクセス | 岡谷駅から徒歩10分 岡谷ICから車で15分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道
幹線道路から脇道に折れ、急な坂を上った先に、金山神社はあります。
境内は生活道路で分断されており、下半分の区画はご覧のように公園になっています。
境内の上半分の区画。二の鳥居があります。
先ほどの鳥居(一の鳥居)は石製でしたが、こちらは木製。やや褪色の進んだ丹塗(にぬり)。
鳥居の近くには岡谷市教育委員会設置の案内板がありましたが、これは「岡屋牧(おかのやまき)」という官営の牧場についての解説でした。岡屋牧は延喜式にも名前が載っている由緒正しい官牧、つまり朝廷へ献上する馬の産地だったとのこと。全国に38ある官牧のうち16が信濃国(長野県に相当)にあり、その1つがこの地にあったらしいです。
本殿
生活道路から境内の上半分の区画に入ると、覆いのついた本殿があります。拝殿はありません。
金山神社なのでおそらく南宮大社(岐阜県垂井町)の系統ですが、この地域のご多分に漏れずタケミナカタが合祀されているようで、四囲には御柱が立てられています。
覆いはありますが中に入れるので、本殿を間近で鑑賞することができます。
本殿は銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。向拝は軒唐破風(のき からはふ)付き。母屋は円柱、向拝は角柱。縁側は四手先の組物で支えられており、正面の階段の下には浜床あり。
向拝の軒下。蟇股(かえるまた)には龍、木鼻には獅子と象の彫刻。彫刻の題材と配置からして、立川流や大隅流っぽい作風です。言い換えれば、とても諏訪らしい雰囲気。
蟇股の両脇にある組物(斗栱)は、左右に2つ並んだ斗(ます)が唐破風部分を支える構造になっています。
虹梁、欄間、脇障子にも彫刻が施されています。
梁は三手先の組物で持出しされており、組物からは尾垂木(おだるき)が突き出ています。
縁側と浜床の板は、壁と直交に張った切目縁(きれめえん)。建物の土台は石製。
背面。床下にも彫刻がはめ込まれています。題材が何なのか、私には判りません...
柱は床下まで手抜きせず円柱に成形されています。
境内社
境内には小規模な社殿がいくつかあります。写真は境内社のなかでいちばん大きい小部澤社。千木と鰹木がついていますが、柱は角柱。四囲には御柱。
他にも祠のような境内社がありましたが、きりがないので割愛。やはり諏訪地域のご多分に漏れず、祠であろうと四囲にはしっかりと御柱が立てられていました。
以上、金山神社(山手町)でした。
(訪問日2019/07/06)