甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【辰野町】荒神社と祖霊社

今回は長野県辰野町の荒神社(こう-)と祖霊社(それいしゃ)について。

 

現地情報

所在地 〒399-0425長野県上伊那郡辰野町樋口2404(地図)
アクセス 伊那新町駅から徒歩25分
伊北ICから車で10分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 15分程度

 

境内

境内入口

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こちらが荒神社と祖霊社の入口。

荒神山公園は体育館や野球場や池、それから博物館まであって朝でも人気があるのですが、そこから少し離れたこの場所はほとんど通る車もなく、ひっそりした雰囲気

 

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手水舎。

目立たない場所にある神社ですが、手水はしっかりと水が出ており、しめ縄や真榊まで備えつけられていて、よく手入れされている様子です。

 

祖霊社

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手水舎から参道を進もうとすると、すぐ近くに脇道があります。塀の向こうには鳥居と社殿があり、鳥居の額には「祖霊社」とありました。

 

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祖霊社の本殿。銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。

前方が長く伸びて「へ」の字のシルエットを描く屋根は、紛れもなく流造。しかし、本来の流造には無いはずの棟持柱(むなもちばしら)が立っています。

 

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側面。

母屋は円柱、向拝は角柱。正面の階段の下には浜床。写真からは分かりにくいですが、縁側の板は壁と直行に張られた“切目縁”。いずれも標準的な流造本殿の特徴なのですが、それだけに棟持柱の異質さが際立ちます。

 

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背面。

背面にも縁側があるのですが、何故かここだけ床下に柱がなく、出桁のようになっています。

 

荒神社

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メインの参道に戻ると、笠木に屋根がついた両部鳥居があります。

 

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50メートルくらいの参道と30段くらいの短い階段を登ると拝殿があります。左右に控える狛犬は、背中にびっしりとコケが生えていました。

拝殿は銅板葺の入母屋。正面向拝(こうはい)に軒唐破風(のき からはふ)。拝殿としては至って標準的な造りです。

 

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拝殿の向拝の唐破風部分。彫刻の巧拙は私にはよく解らないですが、小さいながらも力強い造形だと思います。

拝所の柱にはやはりしめ縄と真榊がついており、こちらもよく手入れされている印象を受けました。

 

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拝殿の左手には社務所っぽい建物。ご覧のように雨戸が閉められており、普段は無人のようです。

 

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拝殿の裏に回り込むと本殿があります。

本殿は銅板葺、正面に軒唐破風のついた流造(ながれづくり)です。

 

以上、荒神社と祖霊社でした。

(訪問日2019/07/06)