今回は山梨県甲州市の山王権現神社(さんのうごんげん-)について。
現地情報
所在地 | 〒404-0032山梨県甲州市塩山下粟生野1487(地図) |
アクセス | 塩山駅から徒歩30分 一宮御坂ICから車で25分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
境内入口
境内の入口の様子。写真右奥に社叢が見えます。
境内と社叢。標準的な村の鎮守といった規模です。
拝殿と手水。
拝殿は鉄板葺の入母屋(平入)。扁額には「山王神社」とありました。
本殿
拝殿の側面から裏手へ回り込むと、本殿が2棟あります。
写真右に見切れている小さい本殿は、銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。
そして写真中央の大きいほうの本殿をよく見てみると、正面に扉が2つあります。
別アングル。
扉の間には柱があり、扉の上の蟇股(かえるまた)も2つあります。正面の間口(柱間)が2つあるので、この本殿は檜皮葺の二間社流造(にけんしゃ ながれづくり)。
祭神は大国主とスサノオで、2柱の神を祀るため扉が2つあるのでしょう。こういった造りの社殿を相殿造(あいどのづくり)と呼ぶこともあります。
背面。母屋背面は3本の丸柱(円柱)で構成されており、柱間が2つであることがこちらからも確認できます。
母屋の柱を観察すると、「床上は円柱だが、床下は八角柱」という手抜きがなされており、これは室町以降の神社本殿で見られます。境内入口にあった塩山市(現 甲州市)教育委員会設置の案内板によると、この本殿は“室町末期、降っても桃山初頭のものと推定される”とのこと。
側面。奥行きは柱間1間。よって、この本殿の平面構造は「正面(桁行)2間、奥行き(梁間)1間となります。
梁の中間(写真赤枠)に設置されたタイプの組物を詰組(つめぐみ)と言い、本来なら禅宗様建築、つまり寺院に使われるものですが、山梨県の神社本殿では詰組を使った例がめずらしくありません。
境内の脇を走る道路から見下ろした図。
浜床(正面の階段の下に張られた床)は、細長い板を張った“くれ縁”。また、この写真では見えにくいですが、縁側は切目縁(きれめえん)です。
以上、山王権現神社でした。
(訪問日2019/07/13)