今回は愛知県北名古屋市沖村(おきむら)の日吉神社(ひよし-)について。
日吉神社は幹線道路に面した住宅地に鎮座しています。
創建は不明。江戸初期の棟札が残っており、江戸期の「尾張名所図絵」に当社が記載されていることから、その頃には確立されていたようです。
現在の社殿は江戸後期から明治期のものと思われ、規模こそ標準的ですが精巧な彫刻を配されています。
現地情報
所在地 | 〒481-0043愛知県北名古屋市沖村天花寺65(地図) |
アクセス | 西春駅から徒歩15分 清洲東ICから車で10分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道
日吉神社の境内は南向き。車通りの多い幹線道路が近くを通っていますが、そちらに背を向けるように鎮座しており、閑静な雰囲気。
一の鳥居は石造の明神鳥居。扁額と右の社号標は「日吉神社」。
社頭および二の鳥居。
二の鳥居は石造の明神鳥居。扁額なし。
拝殿
鳥居の先には拝殿。切妻(妻入)、桟瓦葺。
壁がなく全面が吹き放ちで、神楽殿に近い造り。
近辺(稲沢市や北名古屋市内)で同様式の拝殿をいくつか見かけたので、当地では普遍的な様式なのでしょう。
正面中央の柱間。
虹梁の上の彫刻は唐獅子。足元には笹が見えますが、雲なのか岩なのかわかりづらく粗い造形だと思います。
向かって右の柱間。
虹梁の下の欄間に彫刻があり、城の櫓らしきものが彫られています。題材も作風も風変わりに感じます。
虹梁の上には台輪が通り、その上では小さい海老虹梁が柱間をつないでいます。
木鼻は象鼻。
こちらもあまり見かけない作風。中央部がくり抜かれているところが特徴的。
正面妻壁。
台輪の上には出三斗が2つ置かれ、中備えは竜の彫刻。
妻虹梁の上には笈形付き大瓶束。大瓶束は角柱。笈形は波の意匠。
左側面(西面)。
こちらも欄間に彫刻があります。題材は橋や松など。
背面妻壁。
大部分は正面と同様ですが、こちらは中央の柱間に猿が彫られています。
本殿
拝殿の後方には塀に囲われた本殿が鎮座しています。
一間社流造、銅板葺。
造営年不明。私の推測だと江戸後期から明治期のものと思われます。
祭神は大国主。
向拝柱(写真中央)は角柱。正面と側面に唐獅子の木鼻がついています。柱上は連三斗と手挟。
向拝柱と母屋柱(写真左)は湾曲した海老虹梁でつながれているだけでなく、中ほどの部分にまっすぐな貫が通っています。貫の先端には繰型もついており、ここに貫を使った例は初めて見ました。
写真上端の桁隠しは菊の意匠。
母屋柱は円柱。
壁面に彫刻などの意匠はありません。脇障子の羽目には唐獅子と思われる彫刻があります。
頭貫木鼻は拳鼻。拝殿とちがってこちらの木鼻は標準的な形状。
頭貫の上には台輪が通ります。
柱上の組物は出三斗で、中備えは波に兎。当社の祭神は大国主なので「因幡の白兎」でしょうか。
妻虹梁の上には笈形付き大瓶束。
背面。
こちらも中備えに兎の彫刻がありました。
以上、日吉神社(沖村)でした。
(訪問日2021/05/15)