今回は長野県佐久市小宮山(こみやま)の諏訪神社(すわ-)について。
諏訪神社は市南西部の集落に鎮座しています。
創建は不明。公民館と隣接する境内は拝殿と本殿があるだけで、神社としてこの上なくシンプルな内容。本殿は茅葺形鉄板葺の三間社流造で、軒下や羽目に多数の彫刻があり、小さいながらも見ごたえのある造りをしています。
現地情報
所在地 | 〒385-0047長野県佐久市小宮山246(地図) |
アクセス | 中込駅から徒歩50分 佐久南ICから車で5分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 5分程度 |
境内
鳥居と拝殿
諏訪神社の境内は南東向き。入口は集落の生活道路に面しています。
鳥居は木造の両部鳥居。扁額は「諏訪社」。
拝殿は切妻(妻入)、桟瓦葺。その向こうに見えるのは本殿の屋根。
正面の虹梁には唐草が彫られています。屋根の鬼板は「水」と書かれています。
本殿
本殿は桁行3間・梁間1間、三間社流造、向拝1間(?)、茅葺形鉄板葺。
造営年は不明。作風から推定すると、江戸後期か明治以降のものでしょう。
祭神は不明。社名からタケミナカタが祀られているのはまちがいないですが、この本殿は三間社のようなので八坂刀女や事代主なども祀られていると思われます。
向拝柱は几帳面取り角柱。木鼻は正面(写真右)が唐獅子、側面(手前)が象。
向拝の組物は出三斗をベースとしたもの。手挟は雲が彫られています。
海老虹梁には派手な竜の彫刻。ここは江戸後期以降の作風。
向拝の軒下は板を立ててふさがれており、向拝柱の数や母屋正面が確認できないのがやや残念。
母屋柱は円柱。
壁面の同羽目には彫刻があります。題材は松に鷹。
縁側はくれ縁が3面にまわされ、欄干は擬宝珠付き。背面をふさぐ脇障子にも彫刻がありますが、仙人らしき人物像が彫られています。題材は不明。
軸部は長押と貫で固定され、頭貫の木鼻は唐獅子。
母屋柱の柱上の組物は、尾垂木の出た二手先。中備えには菊水が彫刻されています。
組物によって板支輪と大虹梁が持ち出され、大虹梁の上には蟇股と出三斗。二重虹梁の上では縦長な笈形付き大瓶束が棟を受けています。
破風板は拝みと桁隠しに蕪懸魚が下がっています。
背面。母屋柱の床下は八角柱になっています。
こちらも胴羽目に彫刻がありますが、一部欠損している様子。題材は紅葉に鹿。
頭貫の上の中備えは、波が彫られています。
反対側(北東面)。
胴羽目は松に鷹ですが、こちらは飛び立つポーズ。脇障子はこちらも題材のわからない仙人らしき人物像。
脇障子の上の部材は、母屋の柱上の組物の高さにつながっています。
全体的な作風や彫刻の題材は、同市中小田切の五社神社や下小田切の諏訪神社に似ていると思います。
縁側の床下は腰組で受けられ、腰組を受ける腕木は板状の部材で持ち送りされています。
屋根は分厚く、大きな箕甲が印象的。茅の上に鉄板を葺いたため、このような形状になっています。
大棟は箱棟になっており、写真では暗くて見えないですが鬼板に鬼面がついています。
箱棟の上には3本の鰹木と内削ぎの千木。
以上、諏訪神社(小宮山)でした。
(訪問日2020/12/27)