甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【山中湖村】山中諏訪神社と浅間神社

今回は山梨県山中湖村の山中諏訪神社(やまなか すわ-)浅間神社(せんげん-)ついて。

 

山中諏訪神社は山中湖の西岸に鎮座しています。

創建は崇神天皇の時代(2世紀)、諏訪神社としての創建は966年と伝えられています。戦国期には武田信玄によって本殿が造営され江戸初期に改修されたとのことですが、現在の本殿がいつのものなのかは不明。

現在の社殿は権現造の構造をした現代風のものです。また、安産祈願の神社として知られているようです。

浅間神社(せんげん-)は山中諏訪神社の隣に鎮座する神社で、創建は931年、当地に社殿を建立したのが始まりとのこと。

 

現地情報

所在地 〒401-0501山梨県南都留郡山中湖村山中13(地図)
アクセス 山中湖ICから車で5分
駐車場 50台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト 山中諏訪神社 | 縁結・子授・子宝・安産・子育
所要時間 15分程度

 

境内

社殿

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山中諏訪神社の境内は南東向き。入口は住宅地に面しています。

鳥居は有無については未確認。

 

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参道の左手には手水舎。

切妻、銅板葺。

大棟の紋は諏訪梶ではなく三つ巴。

 

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柱は角柱。柱上には出三斗。

虹梁は唐草が彫られ、その上に台輪がまわされています。中備えは牡丹に唐獅子。木鼻は唐獅子が彫られています。

 

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側面。屋根は切妻ですが唐破風の曲線になっています。

中備えは竜。妻虹梁にも唐草が彫られ、その上では雲が彫られた蟇股が棟を受けています。

破風板の拝みから下がる兎毛通は、天女が彫られています。

軒裏はまばらな茨垂木。

 

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拝殿は桁行3間・梁間2間、入母屋(平入)、正面千鳥破風付、向拝1間・軒唐破風付、銅瓦葺。

 

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向拝。

破風板や垂木、母屋の軸部は赤を基調としているのに対し、向拝は白木で、統一感に欠ける気がしないでもないです。

 

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向拝柱は几帳面取り。

柱上には出三斗を2段重ねにした組物が置かれ、虹梁の上の組物と肘木を共有しています。

虹梁の木鼻は見返り竜。「見返り唐獅子」はしばしば見かけますが、「見返り竜」はめずらしいと思います。

 

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虹梁に彫られた唐草は、波のような意匠になっています。

中備えは天女と竜と牡丹が彫られています。

唐破風の下の小壁は波に兎。兎毛通は鳳凰。

 

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向拝柱と母屋は湾曲した海老虹梁でつながっています。

向拝柱の組物の上では、菊の彫られた手挟が垂木を受けています。

また、菊の手挟の影になってしまっていますが、虹梁上に置かれた組物にも手挟があり、こちらは繰型がついた比較的シンプルなものとなっています。

 

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母屋柱は円柱。

柱間は蔀戸。頭貫木鼻は象鼻。

柱上には台輪がまわされています。中備えは間斗束。桁下には巻斗が並べられています。

組物は木鼻のついた出組。

軒裏は二軒繁垂木。

 

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脇障子には彫刻がはめ込まれています。

こちらの題材は「熊と相撲を取る金太郎」でしょう。

金太郎が育った場所である足柄山(金時山)も、ここからさほど遠くないところにあります。

 

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反対側(北面)の彫刻は、髭をたくわえた豪傑風の老人が彫られています。題材不明。金太郎にまつわる人物でしょうか。

 

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拝殿(写真右)、幣殿(中央)、本殿?(写真左)の接続部。

幣殿は両下造(妻入の切妻)、銅瓦葺。

拝殿と本殿を両下造の幣殿でつないだ社殿を権現造といいます。

 

この社殿は拝殿・本殿に対して幣殿は屋根の向きが直交しており、高さを変えて「かわす」ことで3つの屋根を納めています。

 

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本殿(と思しき社殿)は流造、銅瓦葺。

向拝柱?も円柱が使われています。

これは本殿ではなく、本殿を納める鞘殿のように見えます。

 

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本殿の母屋柱は円柱。頭貫木鼻は象鼻。柱上に台輪がまわされています。

組物は木鼻のついた出組。

持ち出された大虹梁の上には蟇股と皿のついた出三斗。

二重虹梁の上は笈形付き大瓶束。

 

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鬼板および破風板の紋は三つ巴。

破風板の拝みには猪目懸魚、桁隠しは雲が彫られています。

 

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大棟には外削ぎの千木と、4本の鰹木が載せられています。

なお、背面の柱間は2間となっていました。

 

浅間神社

浅間神社は国道138号線を挟んで諏訪神社と隣接して鎮座しており、諏訪神社境内から歩道橋を渡って移動できます。

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浅間神社の境内は南東向き。

写真は拝殿部分。入母屋(妻入)、向拝1間。

 

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向拝柱は角面取り。

柱上には大斗が置かれ、巻斗や実肘木を使わずに舟肘木で桁を受けています。

木鼻は猪目が彫られた古風な形状のもの。

しめ縄は山梨や静岡の浅間神社でよく見る棒状に縄を巻いたタイプのもの。

 

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拝殿の後方には名称不明の社殿が付加されており、単純な入母屋ではない複雑な構成となっています。

 

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本殿と思しき部分は、前述の山中諏訪神社と同様に幣殿でつながれており、こちらも高さを変えることで屋根を納めています。

こちらの写真も本殿そのものではなく、本殿を納める鞘殿と思われます。

大棟には外削ぎの千木、鬼板と破風板には桜の紋がありました。

 

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順番が逆になってしまいましたが拝殿の前、右手には手水舎。切妻、銅板葺。

大棟には桜の紋。

 

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虹梁木鼻は拳鼻。中備えは蟇股で、こちらも桜の紋。

妻虹梁の上では蟇股が棟を受けています。こちらは木瓜紋でしょうか。

破風板の拝みからは、猪目のついた蕪懸魚が下がっています。

 

以上、山中諏訪神社と浅間神社でした。

(訪問日2020/12/18)

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