今回は長野県佐久市大沢(おおさわ)の諏訪社(すわしゃ)について。
諏訪社は市南部の集落に鎮座しています。
創建は不明。社務所の由緒書きによれば、1329年(嘉暦四年)の記録に記載があるらしいです。長野県神社庁ホームページによると、もとは水神が祀られ、1747年(文化二年)に諏訪神社になったとのこと。
境内には池があるほか、本殿の周辺が池に囲われた独特なロケーションとなっています。また、本殿は希少な二間社という様式です。
現地情報
所在地 | 〒385-0045長野県佐久市大沢1745(地図) |
アクセス | 龍岡城駅から徒歩1時間 佐久南ICまたは佐久臼田ICから車で10分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道
諏訪社の境内は東向き。入口は集落の中の池の近くにあります。
鳥居は木造の両部鳥居。親柱・稚児柱ともに内に転びがつき、稚児柱には屋根がついています。扁額は「諏訪社」。
うっそうと茂った社叢の中を進むと、拝殿と本殿覆い屋があります。
拝殿は切妻(妻入)、桟瓦葺。
本殿
拝殿の後方には、覆い屋に収められた本殿が鎮座しています。
内部の本殿が見えるようになっているのは良いのですが、覆い屋には金網が張られ、さらに板塀で囲われているばかりか水堀までまわされ、難攻不落の堅城と化しています。
社務所のショーケースには本殿の写真と由緒書きが掲載されていました。
本殿は、桁行2間・梁間1間、二間社流造、向拝1間、銅板葺。
正面に扉が2組ついている、二間社というめずらしい様式です。
社務所の由緒書きによると1805年(文化二年)の再建。彫刻の彫り師は不明とのこと。
祭神は滝ノ宮大明神、タケミナカタ、事代主の3柱*1。
母屋正面の2組の扉のうち一方は滝宮大明神が、もう一方は諏訪神(タケミナカタと事代主)が祀られているのでしょう。
向拝柱と母屋柱は、竜が彫られた海老虹梁でつながれています。
破風板から下がる桁隠しの彫刻は、鳳凰あるいは金鶏でしょうか。
ほとんど見えないですが、母屋柱は円柱。
壁面と脇障子の羽目には彫刻があります。半分しか見えないので題材が判りません。
妻壁は二重虹梁。
出組で大虹梁が持ち出されています。その下の中備えや板支輪にも彫刻。
二重虹梁の上には笈形付き大瓶束らしきものが見えます。
破風板からは蕪懸魚が下がっています。
背面。二間社なのでこちらも柱間が2つとなっています。
背面にも胴羽目があって非常に手が込んでいるのですが、遠目に見ることしかできないのが残念です。
屋根は銅板葺。由緒書きは1921年に銅板を葺いたとあり、銅板の下は檜皮かこけらと思われます。
大棟は箱棟になっており、鬼板に鬼面がついています。大棟鬼面は甲信の寺社ではしばしば見かける意匠ですが、東信地方はとくに数が多いです。
以上、諏訪社(大沢)でした。
(訪問日2020/12/27)
*1:長野県神社庁のホームページより