今回は大阪府河内長野市の加賀田神社(かがた-)について。
加賀田神社は市街地南部の加賀田地区の住宅地に鎮座しています。
創建は不明。社殿によると宇佐神宮から勧請されたようで、1480年に社殿を再建した記録があるとのこと。安土桃山期には神宮寺もあったようですが、豊臣秀吉により領地を没収され多くの社殿を喪失しています。江戸初期の1654年にも修復の記録があり、江戸中期に現在の本殿が造られたと考えられています。幕末には火災で拝殿などを焼失しています。
現在の境内は拝殿、本殿、神楽殿だけのシンプルな内容。本殿は壁面や各所の部材に美麗な彩色がされており、市指定文化財となっています。
現地情報
所在地 | 〒586-0071大阪府河内長野市加賀田135(地図) |
アクセス | 三日市町駅または美加の台駅から徒歩20分 岸和田和泉ICまたは美原ICから車で35分 |
駐車場 | 3台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | 加賀田神社 |
所要時間 | 10分程度 |
境内
拝殿
加賀田神社の境内は東向き。斜面に立つ住宅地に面しています。
一の鳥居は石造の明神鳥居。
二の鳥居も石造の明神鳥居。しめ縄は貫ではなく笠木の部分にかかっています。
拝殿は入母屋、桟瓦葺。中央部が通路になっており、割拝殿のような構造です。
火災で焼失したのち、1858年に再建されたもの。1883年に瓦葺に改められ、平成期の修理で現在の姿になっています。虹梁や蟇股などの部材は江戸期のものが再利用されているとのこと。
拝殿をくぐると右手に神楽殿を兼ねた社務所。
寄棟、銅板葺。
柱間や内部については、雨戸が閉められていて観察できず。
本殿
境内の最奥には透かし塀に囲われた本殿が鎮座しています。
桁行3間・梁間2間、三間社流造、向拝1間、銅板葺。
擬宝珠の墨書銘より、江戸中期の造営と考えられています。市指定有形文化財。
祭神は誉田別命などの八幡三神。
江戸中期の造営とのことですが、派手な彩色は安土桃山や江戸初期あたりの作風に見えます。
壁面の絵や各所の彩色は、2016年から2018年にかけての修復作業によるもの。美麗な彩色を維持するためなのか、左右両側面は透明なシートで保護されています。
向拝柱は角面取り。上端は飾り金具でカバーされています。
柱上の組物は連三斗。柱の側面には象頭の木鼻があり、皿斗を介して組物を持ち送りしています。
虹梁も極彩色に塗り分けられ、中備えは出三斗と蟇股。上の写真の蟇股は、牡丹に唐獅子が彫刻されています。
中央の蟇股は竜。キャラクター的な雰囲気のコミカルな表情。
向かって右は竹林に虎。牙をむいた表情でないせいか、渋い顔つきをした猫に見えなくもないです...
向拝柱と母屋は、湾曲した海老虹梁でつながれています。海老虹梁は緑色の時に紅葉が描かれ、母屋の頭貫の位置から出て、向拝の組物の上に降りています。
母屋柱は円柱で、やはりこちらも派手な彩色がされています。
母屋柱の上の組物は連三斗。頭貫木鼻によって持ち送りされています。
母屋の正面には3組の板戸。八幡三神が主祭神のため、扉も3つあるのでしょう。
扉のふちや軸部を固定する長押と頭貫も極彩色です。
側面。シートは透明なので鑑賞に支障はないのですが、保護のためとはいえちょっと残念な外観になってしまっています。
向かって右側面(北面)の壁は松の絵。
縁側に立てられた脇障子にも人物像が描かれています。
左側面(南面)は梅の絵。
こちらも人物像がありますが、誰を書いたものなのか私には解らず。
よく見えないですが妻飾りは大きな板蟇股が使われていました。
最後に本殿左側にある境内社。
右手の社殿は扉に菊水の紋が描かれています。側面の武者の絵は楠木正成でしょうか。
以上、加賀田神社でした。
(訪問日2021/11/20)