甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【岡谷市】西堀八幡社

今回は長野県岡谷市の西堀八幡社(にしぼり はちまんしゃ)について。

 

西堀八幡社は市東部の住宅地に鎮座しています。

創建は不明。境内や社殿はいたって標準的な内容ですが、拝殿や本殿はいかにも諏訪地域らしい彫刻で飾られていて見栄えのする造りをしています。

なお、同市内に東堀正八幡宮という神社もありますが、とくに関連性はないようです。

 

現地情報

所在地 〒394-0024長野県岡谷市堀ノ内2-1(地図)
アクセス 岡谷駅から徒歩30分
岡谷ICから車で10分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道

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西堀八幡社の境内は南向き。車道に面した場所に入口があります。

鳥居は石造の明神鳥居。扁額はありません。

柱の真榊や貫にかけられたしめ縄の紙垂の様子からして、こまめに手入れされている様子。

 

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参道の右手には手水舎。切妻、銅板葺。

水が出ており、こちらもよく手入れされている点が好印象。ただし、感染症予防のため使用禁止との張り紙がありました。

 

拝殿

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参道の先には拝殿。拝殿の前には立派な御柱が立てられています。

境内の立て札によると諏訪神は祀られていないらしいですが、諏訪地域では祭神に関係なく御柱を立てることが多いです。

拝殿は入母屋(平入)、正面千鳥破風付、向拝1間・軒唐破風付、銅板葺。

 

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向拝の軒下には派手な彫刻が配されていますが、保護用の網がついていてやや見づらいです。

向拝柱は几帳面取り角柱。虹梁は浮彫の唐草。虹梁木鼻は見返り唐獅子。中備えは竜。唐破風の下の小壁の彫刻は題材不明。

 

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千鳥破風と軒唐破風。

写真中央の千鳥破風は、拝み懸魚が鶴、破風内部には虹梁と大瓶束が見えます。右下の軒唐破風の兎毛通は鳳凰が彫刻されています。

 

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向拝側面(西面)。

向拝柱の上の網がかかった手挟は、花鳥らしき題材が立体的に彫られています。良い造形だと思うのですが見づらいのが惜しいです。

向拝柱と母屋は湾曲した海老虹梁でつながれています。

母屋正面に掲げられた扁額は「八幡宮」。

 

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母屋柱は円柱。軸部は貫と長押で固定されています。

頭貫の木鼻は雲状の意匠。柱上には台輪がまわされ、組物は出組。中備えはシンプルな蟇股で、桁下には鳳凰(あるいは鶴?)らしきものが彫られています。

軒裏は二軒の繁垂木。

 

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縁側は3面にまわされており、後方は脇障子を立ててふさがれています。

脇障子には鎧をまとった武将が彫られていますが、誰を題材にしたのかはわからず。

 

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側面(東面)の妻。

拝み懸魚は波の意匠。破風内部には妻虹梁と大瓶束。

 

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拝殿の後方には両下造(妻入りの切妻)の幣殿が伸びています。

 

本殿

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本殿は板塀と覆い屋で保護された状態で鎮座しています。一間社か三間社かよく解らないですが、おそらく三間社流造。この地域の神社本殿にしては大きい部類です。

桁行3間・梁間2間、三間社(?)流造、向拝1間、こけら葺。

1864年の造営。棟梁は当村(旧西堀村)の武井傳四郎とのこと(『諏訪の社寺と名匠たち』より)。

祭神は境内立札によると誉田別命、神功皇后、武内宿禰。

 

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向拝柱は几帳面取り。木鼻は正面が唐獅子、側面が象。手挟は牡丹でしょうか。

向拝柱と母屋は、大きく湾曲した海老虹梁でつながれています。海老虹梁には波が浮き彫りになっています。

 

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母屋柱は円柱が使われています。側面(梁間)は2間。

頭貫の木鼻は雲の意匠で、拝殿の木鼻と似ています。柱上に台輪がまわされている点も拝殿に似ています。

組物は単純な出組で、中備えには手の込んだ花鳥の彫刻が入っているのですが、金網のせいでほとんど見えないのが残念。

妻壁は二重虹梁ですが、こちらもよく見えず。

 

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背面(桁行)は3間。母屋柱の床下は八角柱に手抜きされています。

縁側は切目縁が3面にまわされ、背面側は脇障子でふさがれています。脇障子にも彫刻があるようですが、ほとんど鑑賞できず。縁の下は木鼻付きの腰組と、波の意匠の持ち送りで支えられています。

 

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最後に本殿の後方に林立する境内社。

すべての境内社の四囲に御柱が立てられています。これも諏訪地域の神社では割とよく見かける光景。

 

以上、西堀八幡社でした。

(訪問日2020/10/14)

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