甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【阿智村】阿智神社(前宮・奥宮)

今回は長野県阿智村の阿智神社(あち-)について。

 

阿智神社は昼神温泉に鎮座しています。

創建については不明ですが『延喜式』に記載のある古社(式内社)で、社伝によると孝元天皇(8代目天皇)の代にさかのぼるとのこと。境内は前宮と奥宮の2つがあり、前者は温泉街の裏手に、後者は温泉街の川上にあります。社殿については規模・様式ともに標準的であまり古いものでもなく、あまり特筆することのない内容です。

 

前宮

所在地:〒395-0304長野県下伊那郡阿智村智里昼神459-1(地図)

駐車場:なし

 

境内

阿智神社前宮入口

阿智神社前宮の境内は南向き。入口は温泉街の一角の目立たない場所にありますが、看板があるのでわかりやすいです。

鳥居は石造の神明鳥居で、笠木に円柱が使われたもの。しめ縄は、貫につるされた竹竿にかけられています。社号標は「式内 阿智神社」。

 

阿智神社前宮参道

コンクリートで舗装された坂を上った先には二の鳥居と案内板。

案内板は由緒や祭神について書かれていました。

 

阿智神社前宮手水舎

参道の右手には手水舎。桟瓦葺の切妻。これといった意匠はなし。

式内社のだけあってよく手入れされており、竹筒から勢いよく水が流れ出ていました。

 

阿智神社前宮拝殿

拝殿軒下

拝殿は銅板葺の入母屋(妻入)。扁額は「式内 阿智神社」。

柱は円柱。虹梁には彫刻。柱上の組物は、大斗に舟肘木を直接載せるというちょっと変わった組みかたをしています。

 

阿智神社前宮本殿覆い屋

拝殿の裏には本殿がありますが覆い屋がかけられており、窓の格子は隙間がせまく内部を覗き見ることさえできず。

 

以上、阿智神社前宮でした。

 

奥宮

所在地:〒395-0304長野県下伊那郡阿智村智里497(地図)

駐車場:10台

 

境内

阿智神社奥宮入り口

阿智神社奥宮の境内は東向き。温泉街を流れる阿智川をさかのぼり、清内路トンネル(飯田方面と中津川方面を結ぶ一般道)のほうへ行くと道沿いに境内があります。こちらは看板だけでなく駐車場もあります。

鳥居は石造の明神鳥居。しめ縄は妙に低い位置にかけられています。

 

阿智神社奥宮舞台と拝殿

参道の階段を登った先には舞台と拝殿。拝殿は銅板葺の切妻(妻入)。

 

阿智神社奥宮本殿

拝殿のガラス戸をのぞき込むと本殿が見えます。

本殿は一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)

軒裏の垂木から流造であることは判りましたが、屋根葺きは不明。このアングルの図だけでは造営年代の推定もできず。

 

祭神は天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)ことオモイカネと、その子である天表春命(あめのうわはるのみこと)。前者は前宮の案内板によると工匠の神で、10寸を1尺(約303mm)とする単位や大工道具の曲尺をつくったとのこと。

戸隠神社(長野市)中社および宝光社も同様の祭神ですが、これは阿智神社からの分祀のようです。

 

阿智神社奥宮盤座

拝殿の北側にある丘の上にも鳥居があり、その奥には囲いのついた石が鎮座しています。

これは盤座(いわくら)というもので、案内板(設置者不明)によると“この巨石が社殿の発達する以前、阿智族の守護神であり、祖先神である八意思兼神、その御児天表春神二神の神霊を迎えて祭が営まれた式内阿智神社の元宮であった”とのこと。

言いかえれば、神社に建築という要素がまだ取り入れられていない時代の遺構ともいえるでしょう。

 

以上、阿智神社奥宮でした。

(訪問日2020/06/27)

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