今回は長野県南木曽町の等覚寺(とうがくじ)について。
等覚寺は旧中仙道の三留野宿(みどの-)に鎮座している曹洞宗の寺院です。山号は日星山。
創建については不明で、天正年間(安土桃山時代)に三河国から現在地へ移転したとのこと。伽藍については特に文化財指定はないですが、禅宗様の意匠が見られる山門と本堂があります。また、3体の円空仏が町の文化財に指定されており拝観可能となっています。
現地情報
所在地 | 〒399-5301長野県木曽郡南木曽町読書3857(地図) |
アクセス | 南木曽駅から徒歩15分 中津川ICから車で35分 |
駐車場 | 10台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
寺務所 | あり |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
山門(仁王門)
等覚寺の境内は西向き。入口は旧中山道に面していますが、境内伽藍は少し奥まった場所にあります。
寺号標は「曹洞宗 日星山等覚寺」。
山門(仁王門)は桟瓦葺の入母屋。正面3間・側面2間。柱はいずれも円柱。三間一戸の楼門。
1階部分。
柱と柱の接続には貫を多用し、長押(なげし)は使われていません。また、柱は上端がすぼまった形状(粽)。
頭貫には雲状の木鼻がつけられ、柱上の組物は出三斗(でみつど)。
左右の柱間には仁王像が安置されています。
2階部分。軒裏は一重のまばら垂木。扁額は山号「日星山」。
こちらも柱は上端がすぼまった円柱。頭貫の上には台輪が置かれ、木鼻は禅宗様のものになっています。
欄干のせいで見づらいですが、柱間は縦方向に壁板が張られており、中央の柱間には火灯窓がついています。
縁側は壁面と直交の切目縁(きれめえん)。欄干は跳高欄。
左後方から見た図。
1階側面は壁板が横方向に張られています。
2階側面は柱間が1つだけで、火灯窓が設けられています。
本堂など
山門の左手には鐘楼。桟瓦葺の入母屋。
柱は粽の円柱で、内へ傾斜がつけられています。
本堂は銅板葺の入母屋(平入)。裳階(もこし)付き。柱は円柱。
現代式の禅宗様建築といった趣。
2階建てに見えなくもないですが、この堂はおそらく平屋。下の屋根は裳階(もこし)と思われます。
裳階の軒先は角柱で支えられ、柱上の組物は出三斗。柱間は桟唐戸(さんからど)や火灯窓、そして頭貫の下の欄間の意匠など、禅宗様の意匠が多く見られます。
裳階が一重のまばら垂木であるのに対し、屋根は二軒(ふたのき)の繁垂木。
裳階の上に見える柱は円柱で、上端がすぼまって粽になっています。頭貫の上には台輪が置かれ、木鼻も禅宗様のもの。
最後にこちらが円空堂。寺に伝わる3体の円空仏が安置されています。
インターホンで管理者を呼ぶことで、内部の金庫の中にある円空仏を拝観できます。拝観料100円。
内部にあるのは韋駄天像、弁財天十五童子像、天神像の3体。いずれも南木曽町有形文化財で、1686年あたりの作とのこと。
以上、等覚寺でした。
(訪問日2020/06/27)