世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【笛吹市】中尾神社 他 一宮町の小ネタ

今回は山梨県のマイナー観光地ということで、笛吹市一宮町(いちのみやちょう)の小ネタ集を。

 

一宮町というと文字通り甲斐国一宮の浅間神社が鎮座していますが、その裏手にもいくつか神社があります。今回は自転車移動で次の目的地へ向かう途中に見つけた寺社を紹介いたします。

 

目次

 

中尾神社

まずは表題の中尾神社(なかお-)から。

案内板によると、延喜式神名帳にも記載されている由緒正しい神社とのこと。

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手水舎。水が出ていないばかりか、正面が木で塞がれています。果たして、参拝者に使わせる気があるのでしょうか...?

 

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手水舎の向かいには、御幣(ごへい:稲妻形の紙)がついた神木。たぶんケヤキ(欅)です。幹に風穴が空いており、板で塞いだ跡が痛々しいです。

 

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境内には小さな天満宮があります。銅葺の一間社流造。

棟や鬼瓦には、菅原道真の梅の紋がついています。絵馬が吊されており、この地域の学生たちから信仰されている様子です。

 

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こちらが拝殿。平入の入母屋で、唐破風付き。棟には武田菱の意匠があります。

 

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狛犬。コワイ!

 

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本殿は銅葺、平入の入母屋で、一間社。正面には向拝と千鳥破風が付いています。

 

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母屋には円柱、他の柱には角柱、正面の階段は角材を使っており、この辺は神社建築のセオリー通り。

しかしよく見ると母屋側面には柱間にも組物が配置されています(詰組という)。諏訪神社(甲州市 初鹿野)の記事でも書きましたが、これは本来なら禅宗様の寺院建築で見られるもので、神社は普通ならここに蟇股(かえるまた)を配置するはずです。

おそらくこの本殿も江戸時代のものと思われますが、この辺りでは神社本殿に詰組を使うのが流行りだったのでしょうか? あるいは作者が同一人物とか...?

憶測を繰り広げるのはこの辺にしておいて、次へ行くとしましょう。

 

以上、中尾神社でした。

 

金毘羅神社

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続いて、藤の花がきれいな金毘羅神社(こんぴら-)。藤の木の下には澄んだ池があり、鯉が泳いでいました。

弁天か何かかと思ったのですが、案内板や石碑などが無くて名前が分からないのでGoogle Mapで調べたところ、“金毘羅神社”とのこと。

 

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この瓦葺の屋根、よく見るとちょっと変わっています。一見すると妻入りの入母屋なのですが、

 

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後側は寄棟になっています。前側と後側とで隅棟(斜めに四隅へ伸びる棟のこと)の形がちがうのが違和感の正体でした。

 

以上、金毘羅神社でした。

 

トマソン・純粋階段

最後に、寺社ですらない小ネタを。場所は、県道303号線の沿線です。

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これは、トマソン...?! なかなか立派な純粋階段です。

トタンの塀の向こうは何もない荒れた空き地で、工事をしているわけでもなさそうです。しかし、石垣の上へ登るための階段は残されており、しかも欄干まで付いています。無骨なトタンと石垣に対して、現代的なタイルの階段と金属製の欄干がなんとも浮いた雰囲気。

 

以上、中尾神社 他 一宮町の小ネタでした。

(訪問日2019/04/27)