今回は山梨県南アルプス市江原(えばら)の浅間神社(せんげん-)について。
浅間神社は南アルプス市の住宅地に鎮座しています。
創建は社伝によると景行天皇(12代天皇)の時代とされています。案内板によると1504年(文亀四年)再建の棟札があり、室町期にはすでに確立されていたようです。江戸期は徳川氏の寄進を受けたとのこと。
現在の社殿は本殿が江戸初期の造営・改修で、国重文の木像浅間神像(非公開)を所有しています。
現地情報
所在地 | 〒400-0401山梨県南アルプス市江原1302(地図) |
アクセス | 東花輪駅から徒歩1時間 南アルプスICから車で5分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道
浅間神社の境内は東向き。
鳥居は石造の明神鳥居で、扁額は「浅間神社」。
社頭には随神門。
三間一戸、切妻、銅板葺。
柱は角柱で、母屋の下半分は吹き放ち。
拝みには蕪懸魚。妻壁には角柱の束。
梁のあたりから腕木を伸ばして桁を保持することで軒裏を受けています。
木造浅間神像についての案内板。
木造は11世紀の作で、“富士山信仰にかかわる神像としては、現存最古級の作例であり、極めて特異な形式を示す神像として貴重”とのこと。
国重文で、神像を納める宮殿2基も附指定されています。
拝殿
拝殿は入母屋、向拝1間・軒唐破風付、桟瓦葺。
向拝柱は几帳面取り。木鼻は側面に見返り唐獅子。柱上の組物は皿付きの出三斗。
虹梁は唐草が彫られ、中備えは蟇股。勾玉のような曲線が彫られています。
唐破風の兎毛通は、松につがいの鶴。
向拝を側面から見た図。
向拝柱と母屋は、ひょろりとカーブした海老虹梁でつながれています。
縋破風には桁隠しがついています。雲あるいは波の意匠。
母屋柱は角柱で、正面側の1間は吹き放ち。内部の扁額は「浅間神社」。
本殿
拝殿の後方には塀に囲われた本殿が鎮座しています。
桁行3間・梁間2間、三間社流造、向拝1間、銅板葺。
案内板(南アルプス市教育委員会)によると江戸時代初期の造営で、桃山時代の作風とのこと。棟札には1674年の修復が記録されているようなので、現在の姿になったのはその頃と思われます。
祭神はコノハナノサクヤ。
向拝柱は角面取り。C面の幅が広めにとられています。
木鼻は唐獅子。
反対側(南面)。
虹梁中備えには出三斗が2つ配置されています。
母屋正面には板戸が3組。扉の上には蟇股。
縁側はくれ縁が3面にまわされています。欄干は跳高欄。昇高欄は擬宝珠付き。
側面。
左に見える海老虹梁は上部に黒い材がついており、軒裏から吊り下げたような外観。このような海老虹梁は初めて見たので困惑。
軸部は長押と頭貫で固定され、柱上には台輪がまわされています。頭貫木鼻は拳鼻。
組物は出組。中備えは蓑束。妻虹梁の下には巻斗が並べられています。
妻虹梁はわずかに反った形状。黒い線で唐草が描かれています。妻飾りは大瓶束。
破風板の拝みと桁隠しには蕪懸魚。
大棟は箱棟で、鬼板には鬼面。
背面。こちらも柱間3間。
意匠は側面と同様。脇障子に彫刻などはありません。
母屋柱の床下は八角柱に成形されていました。
境内社
本殿の向かって右(北)には境内社。
こちらは神明社。祭神はアマテラス。
一間社流造、鉄板葺。
こちらは保食神社。祭神は保食神。
二間社流造、鉄板葺。
正面に扉が2組あり、二間社という少しめずらしい様式。
母屋柱は床上も八角柱に成形されていました。
以上、浅間神社(江原)でした。
(訪問日2021/01/30)