甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【山梨市】白山神社(一町田中)

今回は山梨県山梨市一町田中(いっちょうたなか)の白山神社(はくさん-)について。

 

白山神社は山梨市南部の住宅地に鎮座しています。

創建や沿革などは、境内に案内板がないため不明。

本殿は大規模な三間社で、胴羽目に彫刻が施された派手なものとなっています。

 

現地情報

所在地 〒405-0025山梨県山梨市一町田中273(地図)
アクセス 山梨市駅から徒歩40分
一宮御坂ICから車で10分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道と拝殿

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白山神社の境内は東向き。

一の鳥居は石造の明神鳥居。扁額は「白山神社」。

 

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二の鳥居。石造の明神鳥居で「白山神社」。

 

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拝殿は入母屋(平入)、桟瓦葺。

 

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向拝は付いておらず、正面の1間が吹き放ちになっています。程近い場所にある金櫻神社(山梨市歌田)の拝殿と似た構造。

扁額は「白山神社」。

 

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内部の中央には虹梁がわたされ、中備えには竜の彫刻。

海老虹梁のような部材もいちおう架けられています。

 

本殿

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拝殿の後方には塀に囲われた本殿。

桁行3間・梁間2間、三間社流造、向拝1間、鉄板葺。

造営年は不明。江戸時代後期のものと思われます。

祭神は白山神社なのでククリヒメ、イザナキ、イザナミの3柱でしょう。

 

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向拝柱は几帳面取り。木鼻は正面が唐獅子、側面が象。

虹梁は唐草が立体的に彫られています。中備えは題材不明。下部には松(あるいは波?)が彫られた持ち送り。

柱上の組物は出三斗。

 

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向拝柱と母屋をつなぐ海老虹梁には、上部に竜の彫刻が添えられています。このような作例は初めて見たので少し驚きました。

海老虹梁の下部には波が彫られた持ち送り。

手挟の彫刻は波に千鳥。

 

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正面には角材の階段が5段。昇高欄には擬宝珠。

階段の下には浜床が張られています。

 

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母屋は梁間(側面)2間ですが、正面側の1間は吹き放ち。

佐久神社(笛吹市)とよく似た構造や作風をしています。佐久神社本殿が1862年の造営なので、この白山神社本殿も近い時代のものだろうと推測。

 

母屋柱は円柱。壁面の胴羽目は樹木と鳥の彫刻が見えますが、網がついていて題材がよくわからず。

脇障子は斜め後ろ向きに立てられており、こちらも樹木らしい題材のようですが詳細不明。

 

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反対側(北面)の胴羽目と脇障子。

こちらも題材不明。

 

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頭貫木鼻は唐獅子。頭貫の上には台輪がまわされています。

組物は尾垂木二手先。中備えは鶴の彫刻。大虹梁の下は板支輪。

大虹梁には唐草が彫られ、その上は出三斗と2羽の鶴の彫刻。二重虹梁の上は笈形付き大瓶束で、笈形は波の意匠。

 

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縁側は切目縁が4面にまわされ、欄干は擬宝珠付き。

床下は木鼻のついた二手先の腰組と、繰型のついた持ち送りで支えられています。

 

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背面。三間社なのでこちらも3間です。

意匠は側面とほぼ同じですが、台輪の上の中備え(鶴の彫刻)が省略されています。

 

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破風板の拝み懸魚は、波の意匠。桁隠しも同様。

大棟は箱棟になっており、武田菱が描かれています。鬼板には鬼面。

 

以上、白山神社(一町田中)でした。

(訪問日2020/12/12)