今回は山梨県富士川町高下(たかおり)の諏訪神社(すわ-)について。
諏訪神社は富士川町の山間の集落に鎮座しています。別名は姫宮神社(ひめみや-)。
創建は不明。当地区の氏神のようです。
本殿は覆い屋に収められていて、各所の羽目には伊豆の工匠の手掛けた彫刻が配されており、非常に派手な本殿となっています。
現地情報
所在地 | 〒400-0513山梨県南巨摩郡富士川町高下218(地図) |
アクセス | 増穂ICから車で15分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
拝殿
諏訪神社の境内は南西向き。
狭いトンネルを抜けた先にある、隠れ里のような集落の一角に境内があります。
周囲は棚田だったようですが、訪問時はリニア中央新幹線の路線を作るため大規模な土木工事が行われていました。
工事現場を見たとき、神社は移転(あるいは撤去)されてしまったのではないかと心配になりましたが、境内をよけるように工事されていたので無事でした。
鳥居は木造の明神鳥居。稚児柱に屋根が掛けられています。扁額はなく、額束。
拝殿は入母屋、桟瓦葺。
とくに目立った意匠や扁額などはありません。
本殿
拝殿の後方には覆い屋に収められた本殿が鎮座しています。
桁行1間・梁間2間、一間社、向拝1間・軒唐破風付。
屋根が見えないだけでなく軒裏もほとんど見えないため、流造か春日造か、あるいは入母屋かさえ判りません。屋根葺も不明。
造営年は不明ですが、江戸後期と思われます。案内板によると彫刻は伊豆松崎(静岡県松崎町)の小沢半兵衛の作とのこと。小沢半兵衛は三島大社の社殿を造営した人物。
祭神はタケミナカタ。加えて当地区の伝承に語られる浅黄姫(あさぎひめ)も合祀されていて、これが姫宮という別名の由来のようです。
向拝柱は几帳面取り。木鼻は正面が唐獅子、側面が象。
虹梁の下部には波の意匠の持ち送りがついています。中備えにも彫刻がありますが、暗くてよく見えず。
向拝の軒に唐破風が設けられているのが確認できます。
向拝柱の下の欄間や、浜床の下にも彫刻。
題材は波。
海老虹梁には松と鳥(燕?)が立体的に彫られています。向拝柱側には波の意匠の持ち送り。
母屋の扉は前面から奥まった個所に設けられています。ここは甲州らしい作風。
右側面。
母屋柱は円柱。側面は柱間2間。
頭貫木鼻は唐獅子。中備えにも彫刻がありますが題材不明。
壁面や脇障子の羽目の彫刻には人物像が彫られています。何かしらの故事を題材にしたと思われますが、詳細は不明。
縁側は4面にまわされ、欄干は擬宝珠付き。脇障子は斜め後方へ向けて伸びています。
左側面(北面)。
覆い屋は下側が解放されて胴羽目彫刻が見られるよう配慮されていますが、屋根がほとんど見えず、北側は日当たりが悪いせいもあって何が彫られているのかよく解りませんでした。
以上、諏訪神社(高下)でした。
(訪問日2021/01/30)