甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【茅野市】葛井神社と頼岳寺

今回は長野県茅野市の葛井神社と頼岳寺について。

 

葛井神社

所在地:〒391-0001長野県茅野市ちの414(地図)

 

葛井神社(くずい-)は市北部の市街地に鎮座しています。

創建は不明。諏訪大社上社の摂社のひとつ。境内にある池が本来の信仰対象で、九頭井大明神とも呼ばれたようです。社殿はシンプルな神明造になっています。

 

境内

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葛井神社の境内は南向き。

写真の鳥居は西向きで、石造の明神鳥居。扁額なし。

 

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拝殿は切妻(平入)、銅板葺。

神明造風の切妻になっていますが、千木・鰹木や棟持柱などの意匠はありません。

縁側は切目縁が3面にまわされ、欄干なし。背面側の終端には脇障子が立てられています。

写真左は御柱。

 

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拝殿の後方には本殿が鎮座しています。

桁行3間?・梁間2間、神明造、銅板葺。

造営年は不明ですが、明治期以降と思われます。

祭神は槻井泉神。

 

神明造なので棟には千木と鰹木、母屋の外には棟持柱が立てられています。

ただし母屋柱は角柱、棟持柱は細くて少々頼りないうえ、破風板に鞭懸(4本2組の棒)がついていません。

縁側は切目縁が3面、欄干は跳高欄、終端は脇障子。

 

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本殿の裏手には葛井の清池。

年末年始の年越しには諏訪大社の神事である「御手送神事」なるものが行われるようです。

この神事は「諏訪の七不思議」のひとつに数えられるものですが、詳細については割愛。ほか、さまざまな伝承があるようですがそれも割愛。

 

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社殿の右手には大ケヤキ。保護のため庇がつけられ、妙な外観になっています。

戦前は天然記念木に指定されていたようですが、落雷や失火により戦後の法改正で登録解除されたようです。

 

以上、葛井神社でした。

(訪問日2019/10/22)

 

頼岳寺

所在地:〒391-0001長野県茅野市ちの上原1753(地図)

公式サイト:少林山 賴岳寺

 

頼岳寺(らいがくじ)は茅野市街の北側にある山に鎮座する曹洞宗の寺院です。山号は少林山。

創建は1631年(寛永八年)で、諏訪藩初代藩主・諏訪頼水の開基。江戸期は当地の主要な寺院だったようです。境内は近現代のものですが、総門と山門があるほか、本堂向拝では多数の彫刻を見ることができます。

 

境内

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頼岳寺の境内は西向き。

総門は一間一戸の薬医門、切妻、銅板葺。

扁額は山号「少林山」。

 

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山門は三間一戸、牌楼門形式、切妻、本瓦葺。

1952年建立。

中央の部分だけ棟が高くなった牌楼門形式の切妻。

 

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三間一戸ですが正面は柱が飛ばされ、1間になっています。

内部には仁王像。

梁で見切れている扁額は「鵞湖禅林」。鵞湖は諏訪湖を指すようです。

 

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本殿は入母屋(平入)、向拝1間・向唐破風、本瓦葺。

1917年建立。本尊は釈迦如来。

 

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向拝柱は上端が絞られた円柱。ふつうならここは角柱を使うのですが、円柱が使われています。

柱上の組物は基部に皿がついた出三斗。

虹梁は唐草が彫られ、その上では笈形付き大瓶束が唐破風の棟を受けています。笈形は波と唐獅子が彫られています。

向拝内部は格天井ではなく鏡天井が張られ、写真下の欄間には人物像の彫刻がありますが題材は不明。

唐破風の兎毛通は雲に鶴。桁隠しは雲の意匠。

 

以上、頼岳寺でした。

(訪問日2019/10/13)