甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【中津川市】坂本神社諏訪社(茄子川)

今回は岐阜県中津川市茄子川(なすびがわ)の坂本神社諏訪社(さかもと- すわしゃ)について。

社名については「諏訪神社」が正確な表記のようですが、社号標より「坂本神社諏訪社」を記事名としています。

 

創建は702年(大宝2年)にさかのぼるとされ、『延喜式』に記載された「坂本神社」にあたる神社であることを主張している式内論社です。社殿については年代不明ですが、坂本神社八幡宮と同様に境内はよく手入れされていて式内論社としてふさわしい内容です。

 

現地情報

所在地 〒509-9132岐阜県中津川市茄子川1791-93(地図)
アクセス 美乃坂本駅から徒歩40分
中津川ICから車で25分
駐車場 20台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 15分程度

 

境内

参道

諏訪社一の鳥居

坂本神社諏訪社の参道は北向き。後述の社殿は西向きとなっています。

入口には石造の明神鳥居が立っており、扁額は「坂本神社」。

 

諏訪社二の鳥居

二の鳥居も「坂本神社」。この先の参道にも石造の明神鳥居で「坂本神社」の扁額が掲げられたものが何本かあります。

社号標は「式内 坂本神社」および「坂本天満宮」。坂本天満宮というのは諏訪社本殿の隣にある境内社のこと。

 

鳥居の近くにあった石造の由緒書きによると“往古の坂本神社の継承が諏訪神社といわれている”とのことで、同市千旦林の坂本神社八幡宮と同様、『延喜式』に記載された坂本神社であることを主張しています。

 

諏訪社手水舎

参道の左手には手水舎。銅板葺の切妻。破風板に懸魚(げぎょ)がついているほか、特にこれといった意匠はなし。

 

諏訪社参道

拝殿の下まで行くと参道が左に90度折れ、西向きになります。

境内の一段高くなった区画に拝殿と本殿が鎮座しています。

 

社殿

諏訪社拝殿

拝殿は銅板葺の切妻(平入)。柱は角柱で壁がなく、土間になっていて土足で侵入できます。

 

諏訪社本殿

諏訪社本殿は銅板葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)。正面3間・側面2間、向拝3間。

造営年は不明ですが、明治以降のものでしょう。

祭神はタケミナカタ、誉田別命、速玉男命の3柱。

 

本殿向拝

正面の軒先を支える向拝柱は、几帳面取りの角柱。柱上の組物は出三斗(でみつど)、組物のあいだには竜が彫刻された蟇股(かえるまた)。

 

本殿海老虹梁

向拝柱の側面には獏が彫られた木鼻。正面側は木鼻がありません。

向拝柱と母屋はS字にカーブした海老虹梁(えびこうりょう)でつながれ、母屋側は頭貫の高さから降り、向拝側は出三斗の上で受けています。

影になって見づらいですが、母屋正面の頭貫の上にも彫刻が入った蟇股が置かれています。

 

本殿妻壁

右側面の妻壁。

母屋の柱上の組物は出三斗と平三斗(ひらみつど)。柱間にもなぜか組物が置かれており、詰組(つめぐみ)になっています。

組物の上には妻虹梁がわたされ、笈形付き大瓶束(おいがたつき たいへいづか)が大棟を受けています。笈形は波と雲の意匠。

破風板には拝みと桁隠しの懸魚が付けられており、こちらも波の意匠です。

 

本殿縁側

縁側は切目縁(きれめえん)が3面にまわされています。背面側は脇障子でふさがれ、欄干は跳高欄(はねこうらん)。縁の下は縁束。

母屋柱の床下は、八角柱になっていました。

 

天満宮と境内社

天満宮

諏訪社本殿の右隣には坂本天満宮が鎮座しています。境内入口にこの天満宮の社号標があったので、ほかの境内社とは別格の扱いの模様。

 

境内社

諏訪社本殿の左隣には摂社・末社などの境内社。

いずれも銅板葺の流造。

 

以上、坂本神社諏訪社でした。

(訪問日2020/06/27)

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