世をひねる

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【中津川市】坂本神社八幡宮(千旦林)

今回は岐阜県中津川市千旦林(せんだんばやし)の坂本神社八幡宮(さかもと- はちまんぐう)について。

社名については「八幡神社」が正確な表記のようですが、社号標より「坂本神社八幡宮」を記事名としています。

 

坂本神社八幡宮は千旦林の住宅地の山際に鎮座しています。

創建は702年(大宝2年)にさかのぼるとされ、『延喜式』に記載された「坂本神社」にあたる神社であることを主張している式内論社です。社殿については江戸後期に再建された新しいもののようですが、境内は非常によく手入れされていて式内論社として見劣りしない内容になっています。

 

現地情報

所在地 〒509-9131岐阜県中津川市千旦林642(地図)
アクセス 美乃坂本駅から徒歩30分
中津川ICから車で5分
駐車場 30台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道

八幡宮一の鳥居

坂本神社八幡宮の境内は南向き。

集落の中に石造の神明鳥居が立っており、踏切を渡って農道を進んだ先に境内と社叢が広がっています。

近くにあった案内板(坂本地区文化遺産保存会)によると、明治時代、ここには松風義校(千旦林学校)という小学校に相当する学校があったとのこと。

 

八幡宮入口

社地の入口には石造の神明鳥居。右手には手水舎。社号標は「式内 坂本神社 八幡宮」。

 

鳥居の左手にある石造の由緒書きには“延喜式に美濃国恵奈郡三座中筆頭に坂本神社とあるは即ち当社なり”と書かれていて、式内社であることを強く主張しています。

なお、同市茄子川にある坂本神社諏訪社(諏訪神社)も同様の主張をしており、どちらが本当の坂本神社なのかは不明。神社ではわりとよくあることです。

 

社殿

八幡宮手水舎

手水舎は桟瓦葺の切妻。

柱は12本も使われていて、いずれも大面取りの角柱。虹梁(こうりょう)や木鼻などは簡略化されたシンプルかつミニマルな意匠になっています。

 

八幡宮神楽殿

鳥居をくぐって橋を渡ると、一段高くなった場所に神楽殿があります。

神楽殿は桟瓦葺の入母屋(妻入)。正面3間・側面3間。柱は角柱。

 

八幡宮拝殿と本殿

神楽殿の脇へ迂回して境内を進むと、さらに一段高くなった場所に拝所(拝殿?)と本殿があります。

拝所の屋根は銅板葺の切妻。

 

拝殿軒下

軒裏は吹寄せ垂木。内部には天井が張られ、虹梁の上には菊が彫られた蟇股(かえるまた)が置かれています。

 

本殿

八幡宮本殿

拝所の奥にある本殿は銅板葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)。正面3間・側面2間、向拝3間。

造営は江戸後期の1832年(天保3年)とのこと。

祭神は誉田別命とオオヤマツミ。

扁額には八幡宮ではなく「坂本神社」とあり、ここでも式内社を主張しています。

 

本殿向拝

正面の軒先を支える向拝柱は、几帳面取りされた角柱。柱上の組物は出三斗(でみつど)。組物のあいだには、内部に彫刻がない古風な蟇股が置かれています。

向拝柱は虹梁でつながれており、端部には雲状の象鼻がつけられています。向拝柱の正面側には木鼻がつけられていません。

 

本殿海老虹梁

右側面(東面)。

写真左の向拝柱が角柱であるのに対し、右の母屋柱は円柱。両者は湾曲した海老虹梁でつながれています。海老虹梁は母屋の長押の上、頭貫の高さから降りています。

母屋の正面中央にも扁額がかかげられており、こちらは「八幡宮」と書かれていました。

 

本殿妻壁

母屋の柱上の組物は出三斗と平三斗。組物のあいだには蟇股。

妻の虹梁は持出しされていません。妻虹梁の上には笈形(おいがた)がついた大瓶束。

破風板には拝みと桁隠しの懸魚(げぎょ)がつけられています。

縁側は3面にまわされており、脇障子がありますが彫刻などの意匠は見られません。

 

本殿屋根

大棟。箱棟の前面と鬼板には菊の紋が見えます。

 

境内社

最後に本殿の隣にある境内社。

正面に扉が2組ある風変わりな造りをしていますが、左手前の石柱に「熊野社」「神明社」とあるのでこの2社が合祀されているのでしょう。

 

以上、坂本神社八幡宮でした。

(訪問日2020/06/27)

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