今回は長野県松本市の和田神社(わだ-)について。
和田神社は市西部の集落に鎮座しています。
創建は不明。境内や社殿については標準的な内容ですが、本殿は立川流の小松七兵衛によって造営されたもので、神社本殿としてめずらしい二間社のようです。
現地情報
所在地 | 〒390-1242長野県松本市和田2687(地図) |
アクセス | 新村駅から徒歩25分 松本ICから車で15分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | なし |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道と拝殿
和田神社の境内は南東向き。集落の生活道路に面した場所に入口があります。
鳥居は木造の両部鳥居。扁額は「和田神社」。
拝殿は切妻、向拝1間・向唐破風、桟瓦葺。
向拝柱は几帳面取り角柱。
虹梁には波が浮き彫りになっており、両端には木鼻がついています。
虹梁の上には台輪がわたされ、中備えの蟇股は鶴が彫刻されています。その上の小壁は題材不明。
唐破風から下がる兎毛通は松に鷹。
本殿
拝殿の後方には本殿が鎮座していますが、壁面が透明の板で覆われていて、反射のせいでほとんど見えません。
桁行背面2間・梁間1間、流造、銅板葺。向拝はおそらく1間。
1800年(寛政十二年)の造営。棟梁は立川和四郎富棟(初代和四郎)の一番弟子だという小松七兵衛。
祭神は諏訪大明神、八幡社、宗高(宗像の誤記?)大明神。ほか、明治期の神社整理で近在の無格社が合祀されているとのこと。
案内板(松本市教育委員会)によると二間社らしいですが、“正面は扉を3戸構えとしており、構造的な二間社と、祭神3神との折衷的な建物となっている”とあります。
しかし、二間社(正面の柱間が2つある本殿)に扉を3組設けるとなると、どのような構造なのか非常に気になります。どうやっても左右非対称の珍奇な本殿になってしまうと思うのですが... 実物を見て確認しようにも、塀や透明板に阻まれて見ることができないのが歯がゆくてしかたありません。
反対側面はもちろんのこと、背面も透明板で防護されており、鑑賞はほぼ不可能。
さいわい案内板に詳細な解説があるので下記に掲載します。
この社殿には立川流の一般的な社殿のような軒唐破風は付いておらず、また飛檐垂木に反りを付けており、古風な面も見受けられる。
彫刻では、海老虹梁を、波・鯉の彫刻とし、手挟みは牡丹の丸彫り、母屋の三手先組物の中備に菊水・兎・亀の彫刻を入れ、脇障子に竹林七賢人、妻飾りに鶴・鳳凰麒麟の彫刻をつけている。中でも、正面の竜、脇障子の竹林七賢人は優れており、立川富棟の彫刻と推定される。
全体の構成はダイナミックで、立川流前期の代表作の一つといえる。
松本市教育委員会
以上、和田神社でした。
(訪問日2020/10/21)