世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【小川村】小川神社と武部八幡宮(小川八幡宮)

今回は長野県のマイナー観光地ということで、小川村の小川神社(おがわ-)と武部八幡宮(たけべはちまんぐう)について。

 

 

小川神社

現地情報

所在地 〒381-3303長野県上水内郡小川村大字小根山6862(地図)
アクセス 長野ICから車で40分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

f:id:hineriman:20191122100711j:plain

小川神社の境内は、小川村中心地の西側にあります。境内の入口は南向きで、旧道と思しき蛇行した道に面しています。

一の鳥居は笠木が直線的な神明鳥居。扁額は「小川神社」。

 

f:id:hineriman:20191122100722j:plain

f:id:hineriman:20191122100728j:plain

境内を進むと右側に手水舎、そして二の鳥居があります。

二の鳥居は笠木が沿った明神鳥居。扁額には「式内小川神社」とあり、額は草木の彫刻がついた凝ったもの。

 

f:id:hineriman:20191122100741j:plain

こちらは拝殿と向かい合う位置に建っている神楽殿と思しき社殿。

鉄板葺の切妻(平入)ですが、柱の位置から壁の張りかたに至るまで、この地方の標準的な神楽殿から逸脱しており、奇妙な造りをしています。

 

f:id:hineriman:20191122100755j:plain

拝殿および本殿は境内に2つ建っています。

右が小川神社拝殿左が御射山神社拝殿。両者とも諏訪神社の系統なので、境内には御柱が立てられています。

 

まずは小川神社拝殿から。

こちらの拝殿は銅板葺の入母屋(平入)で、正面に軒唐破風(のき からはふ)の向拝付き。

f:id:hineriman:20191122100824j:plain

向拝の軒下。

まず目を惹くのは虹梁の上にでかでかと配置された派手な龍の彫刻。龍は1匹ではなく2匹いるのが特徴的。虹梁の両端の木鼻には、こちらを振り向く唐獅子が配されています。

龍の上では、丸桁(がぎょう)の上でふんばって唐破風を支える鬼の彫刻があり、こちらもまた印象的。鬼の両脇には、波のような意匠の笈形(おいがた)が添えられています。

唐破風の破風板から垂れ下がるのは、鳳凰の彫刻。

 

案内板(小川村教育委員会)では社殿について“昭和31年新築造営”としか書かれておらず、解説はありませんでした。しかし、龍や唐獅子、鬼の彫刻の配置は立川流っぽい作風だと思います。

 

f:id:hineriman:20191122100847j:plain

そしてこちらが本殿。

覆いがついており、本殿はほとんど見えません。どうにかして本殿を撮ろうと試みましたが、まともな写真が撮れなかったので掲載は割愛。

ガラス窓から覗き見ることのできる情報から判断するに、こけら葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)と思われます。

 

祭神については、諏訪の系統なのでタケミナカタ。

延喜式神名帳にも記載のある古社で、国譲りの伝説でタケミナカタが諏訪湖へ向かうときこの地に逗留したことが創建の由来とのこと。

 

f:id:hineriman:20191122100912j:plain

続いてこちらは御射山神社拝殿。小川神社の摂社という扱いのようですが、しっかりとした拝殿があります。

拝殿は銅板葺の入母屋で、正面向拝付き。ほか、これといった彫刻や装飾の類は見られず、シンプルな造りでした。

本殿については覆い屋がかけられていて覗き込むことさえできなかったので割愛。

 

以上、小川神社でした。

 

武部八幡宮(小川八幡宮)

現地情報

所在地 〒381-3302 長野県上水内郡小川村大字高府9700(地図)
アクセス 長野ICから車で40分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

f:id:hineriman:20191122100929j:plain

武部八幡宮の境内は南向きで、小川村中心部の東の台地状になった集落の中に鎮座しています。境内は金剛寺という寺院と隣接しています。

鳥居は神明鳥居で、扁額は「武部八幡宮」。額には彫刻がついています。

 

f:id:hineriman:20191122100943j:plain

参道を進むと拝殿があります。

拝殿は銅板葺の入母屋(平入)で、軒唐破風の向拝付き。

 

f:id:hineriman:20191122100952j:plain

拝殿の前の狛犬。うまく説明できないですが、造形といいポーズといい、非常に個性的。

 

f:id:hineriman:20191122101003j:plain

唐破風の軒下。

彫刻の類はありませんが、破風板や虹梁、垂木は端が金具で飾られていて華やか。扁額には非常に読みやすい字で「八幡宮」とあります。

唐破風の上の鬼板には六文銭の紋がありました。武部八幡宮および小川村は松代城(長野市)から少し遠いところにありますが、江戸時代は真田氏の領地だったようです。

 

f:id:hineriman:20191122120157j:plain

f:id:hineriman:20191122120207j:plain

拝殿の左のほうから裏手に入って行くと、本殿の収められた覆いがあり、覆いの壁がガラスになっているので本殿を覗き見ることができます。

本殿はこけら葺きの一間社流造。この様式にしては若干大きめに造られていると思います。

 

f:id:hineriman:20191122120219j:plain

写り込みを抑えながら撮った本殿の図。

写真中央の角柱は几帳面取り。角柱の上方右側には立体感ある唐獅子の木鼻が配置されています。その裏側には大きくカーブした海老虹梁(えびこうりょう)。

写真左のほうに写っている扉は桟唐戸(さんからど)。桟には金色の装飾がついており、赤い板がはめられていて豪華な印象を受けます。

 

この本殿に施された装飾はかなり凝っていて面白いと思ったのですが、ほかにまともな写真が撮れなかったので残念ながら割愛。

もし機会があればこの本殿は覆いの中に入ってじっくりと眺めてみたいところですね...

 

以上、武部八幡宮でした。

(訪問日2019/11/02)