今回は長野県のマイナー観光地ということで、阿禮神社里宮(あれいじんじゃさとみや)について。社名は、“阿礼神社”と表記することもあります。
阿禮神社は塩尻市の旧市街地とでも言うべき場所にある神社です。近辺は中山道の宿場町「塩尻宿」だった場所で、国道153号線を走っていると道の両脇の民家の造りがなんとなく宿場町の面影を留めています。
宿場町の端に神社があるのはお約束みたいなものですが、その例外に漏れず阿禮神社は中山道の街道沿い、宿場町の西端にあったようです。しかし現在は周囲が民家や小学校の敷地に囲まれ、国道から少し奥に入った場所にあり、あまり目立たず人気のない神社になっています。
〒399-0712長野県塩尻市大字塩尻町6(地図)
阿禮神社へのアクセスは、みどり湖駅が最寄りで徒歩20分程度。バスなら、宮本町バス停が最寄りです。
車で行く場合は、境内に駐車スペースが5台分程度あるので、これを利用するといいでしょう。
手水と井戸。
松本盆地というと至る所に湧き水があるイメージですが、冬季だからなのか水は止まっていました。夏場に来たらきれいな水が湧き出ていたことでしょう。
鳥居と拝殿。
境内には、形も大きさもまちまちな灯籠が多数林立しています。
拝殿。入母屋っぽい作りで、しかも瓦屋根です。
神社の社殿で瓦屋根が採用されているというのは、貴重なものか、あるいは歴史の浅いものかのどちらかです。見たところあまり古そうな感じはないので、後者でしょう。
両脇に壁のような社殿が建っている配置は、程近い場所にある諏訪大社下社を彷彿とさせます。
軒下。彫刻は、諏訪大社のような豪華な社殿と比べると質素であっさり目な感じ。
私が気になったのが狛犬。
どこかのマスコットみたいに、丸っこくて愛嬌のある造形をしています。顔は、デイリーポータルZのマスコットキャラに似ている...?
口の中や眼窩にわずかながら赤い塗料が残っているあたり、もともとは彩色されていたと思われます。
そしてもう1組の狛犬。
腕がもげていて痛々しい。どうでもいいですが、ポケモンの「ジジーロン」と似た顔つきをしている気がします。
こちらは腕だけでなく顔まで風化してしまい、深海生物めいたグロテスクな顔に。
最後に、境内で見かけた奇妙なものを。
石鳥居が立っているのに、その前には木が生えていて、通せんぼうされています。鳥居の向こうには摂社・末社が置かれていたと思しき石積みが残されています。
どういったストーリーがあってこんな現状に至ったのかは、私には想像できません...
阿禮、というと『古事記』の編纂者とされる稗田阿礼(ひえだのあれ)だと思うのですが、この神社との関連性は不明です。
また、当記事で紹介した「里宮」に対し、奥宮は国道20号線の塩尻峠の道沿いにひっそりと鎮座しています。
以上、阿禮神社でした。
(訪問日2019/03/09)