甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【諏訪市】正願寺と法光寺

今回は長野県諏訪市の正願寺法光寺について。

 

正願寺

所在地:〒392-0005長野県諏訪市岡村1-15-3(地図)

 

正願寺(しょうがんじ)は諏訪市街に鎮座する浄土宗の寺院です。山号は桑原山。

創建は不明。境内には楼門があるほか、本堂の裏には河合曽良の墓が立っています。

 

境内

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正願寺の境内は西向き。

国道20号線から少し外れた裏路地に面した場所に入口があります。

写真右側は後述の法光寺の境内。

 

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山門は三間一戸の楼門。桁行3間・側面2間、入母屋、銅板葺。

扁額は山号「桑原山」。

 

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柱は円柱。中央の通路の柱間には虹梁が渡されています。中備えは無し。

柱上の組物は大斗をベースとし、肘木や巻斗は使わず、繰型のついた実肘木(?)で桁を受けています。

 

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左右の柱間は少し低い場所に虹梁がわたされ、上部には頭貫が通っています。頭貫木鼻は拳鼻。

 

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内部。写真左が正面側。

中央の柱は角柱が使われており、柱の上には台輪がわたされています。

 

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上層。

中央の柱間は桟唐戸の意匠の引き戸。左右の柱間には連子窓。

母屋柱は円柱。頭貫木鼻は拳鼻。

柱上には台輪がまわされ、組物は出三斗と平三斗が使われています。

 

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右側面(南面)。

壁板は縦方向に張られています。

軒裏は一重のまばら垂木。

 

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本堂は入母屋(平入)、向拝1間、桟瓦葺。

 

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向拝には彫刻が配されています。

虹梁中備えは蟇股で、菊の彫刻。

木鼻は正面が唐獅子、側面が象。題材や作風からして、立川流・大隅流のものでしょう。

 

本堂の裏には河合曽良の墓がありますが、ほかの一般の檀家のものと見分けがつかないくらい質素なものなので、写真は割愛。

河合曽良は当地出身の俳人で、松尾芭蕉の『おくのほそ道』の旅に同行したことで知られます。

 

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本堂の左手には経蔵。切妻、銅板葺、向拝1間・向唐破風、桟瓦葺。

 

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虹梁は唐草、木鼻は拳鼻。中備えの蟇股は波の彫刻。

 

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梁の上では笈形付き大瓶束が唐破風の棟を受けています。

破風板の兎毛通は結綿の意匠。

 

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鐘楼は入母屋、銅板葺。

母屋柱は円柱。軒下には虹梁や木鼻などに彫刻があります。

柱の礎盤、台輪の上の詰組、軒裏の扇垂木など禅宗様の意匠が多く使われています。

 

以上、正願寺でした。

 

法光寺

所在地:〒392-0005長野県諏訪市岡村1-16-5(地図)

公式サイト:法光寺 諏訪

 

法光寺(ほうこうじ)は諏訪市街に鎮座する浄土宗の寺院です。山号は手長山。

創建は戦国時代で、武田氏の侵攻後に開かれた報光寺が前身。1592年に手長神社の別当となったときに法光寺と改められ、1645年に現在地に移転したとのこと。境内伽藍は江戸中期のもののようです。

 

参道

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法光寺の境内は西向き。

山門は一間一戸の薬医門、切妻、銅板葺。

扁額は山号「手長山」。

 

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柱の上には梁がわたされて桁を受けています。梁の先端は拳鼻の意匠。

妻飾りは笈形付き大瓶束。化粧屋根裏で、軒裏は一重のまばら垂木。

 

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鐘楼は切妻、銅板葺。1919年建立。

梵鐘は戦時中に供出されてしまったため、戦後に鋳造されたもの。音響学の専門家による設計で、公式サイトには鐘の音へのこだわりが書かれています。

 

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本堂は入母屋(平入)、向拝3間、銅板葺。

1719年再建。本尊は阿弥陀如来。

 

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向拝は3間なのですが、ご覧のように軒先いっぱいに向拝が設けられています。

ふつうの向拝は正面の屋根の一部を延長させて庇にしますが、この向拝は屋根の全体を延長させていて、風変わりな造りです。

また、中備えの竜や、3段重ねの組物なども印象的。

 

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側面。

孫庇のようなものが設けられていますが、これは後補でしょう。

ほか、壁面や軒下に目立った意匠はありません。

写真左に見えるのは前述の正願寺。

 

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妻壁。法光寺の境内からはほぼ見えないので、写真は正願寺境内から撮ったもの。

二重虹梁になっており、妻飾りは上段・下段ともに笈形付き大瓶束。笈形付き大瓶束のあいだには窓状の意匠がついています。

破風板の拝みからは、鰭のついた蕪懸魚が下がっています。

大棟鬼板の紋は三つ葉紋に見えますが詳細不明。

 

以上、法光寺でした。

(訪問日2020/11/16)

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