今回は愛知県岡崎市の土呂八幡宮(とろ はちまんぐう)について。
土呂八幡宮は市の中心部近くの住宅地に鎮座しています。
創建は、社伝によれば奈良時代とのこと。戦国期の三河一向一揆で社殿を消失し、徳川家康と石川数正によって再建されたようです。現在の社殿は江戸期の再建で、江戸初期に造営された本殿が国重文に指定されています。
現地情報
所在地 | 〒444-0825愛知県岡崎市福岡町南御坊山19(地図) |
アクセス | 岡崎駅から徒歩25分 岡崎ICから車で30分 |
駐車場 | 10台(無料) |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | あり(要予約) |
公式サイト | 土呂八幡宮 | 岡崎市福岡町 |
所要時間 | 10分程度 |
境内
参道
土呂八幡宮の境内は南向き。
入口の鳥居は石造の明神鳥居。扁額は「土呂八幡宮」。
二の鳥居も同様に石造の明神鳥居で「土呂八幡宮」。
参道の右手には手水舎。桟瓦葺の切妻。
頭貫にはシンプルな木鼻がついています。内部は格天井。
拝殿
拝殿は入母屋、本瓦葺。1824年の造営。
軒下の組物は二手先で尾垂木が出ており、やや風変わりな造りをしています。
軒裏は二軒繁垂木。
本殿
拝殿の裏には塀に囲われた本殿が鎮座しています。
本殿は桁行3間・梁間1間、三間社流造、向拝3間、檜皮葺。
1619年(元和五年)の再建で、代官・畔柳寿学の命で河北次郎兵衛守定という宮大工によって造られたとのこと。国指定重要文化財。棟札も附指定されています。
祭神は八幡神(誉田別命など)のほか、アマテラスや白山神も祀られているようです。
流造なので正面の軒先が長く伸びています。軒先を支える向拝柱は、C面取りされた角柱。
向拝柱は虹梁でつながれ、その端にはシンプルかつ古風な木鼻がついています。柱上の組物は出三斗。
写真上端の破風板には桁隠しの懸魚がついていますが、桁隠しには渦巻きの繰型のほか、五芒星が彫られていて独特な意匠になっています。
写真左の母屋は円柱で構成されています。柱上の組物は舟肘木。
母屋と向拝をつなぐ海老虹梁は大きく湾曲した形状。母屋側は舟肘木の高さから出ていて、下部は肘木と斗で支えられています。向拝側は出三斗の高さに降りています。
壁面は壁板が横方向に張られています。
母屋柱は長押で固定されています。木鼻さえ使われておらず、非常に質素で古風な造り。
妻壁は、妻虹梁の上に大瓶束を立てて大棟を受けています。このほかの妻飾りはありません。
破風板からは、前述の桁隠しのほか、拝みなどから3つの蕪懸魚が下がっています。
背面。こちらも目立った装飾はありません。全体的に見て、江戸期のものとは思えないくらい古風な造りをしていると思います。
縁側の終端には脇障子が立てられていますが、当然ながら彫刻のような意匠は裏表共になく無地となっています。
大棟は箱棟になっており、鬼板には三つ巴の紋が描かれています。
以上、土呂八幡宮でした。
(訪問日2020/09/12)