世をひねる

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【長野市】布制神社(石川)

今回は長野県長野市篠ノ井石川(いしかわ)の布制神社(ふせ-)について。

 

布制神社(石川)は長野市篠ノ井の山際に鎮座しています。

長野市篠ノ井に複数ある布制神社の1つで、延喜式内社の可能性のある式内論社です。社殿は比較的新しいものと思われる三間社の本殿を見ることができます。

 

現地情報

所在地 〒388-8015長野県長野市篠ノ井石川2173(地図)
アクセス 稲荷山駅から徒歩30分
更埴ICから車で15分
駐車場 なし
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道と拝殿

布制神社の鳥居

布制神社の境内は東向き。

鳥居は金属製の神明鳥居。扁額は「布制神社」。

社号標には「郷社 延喜式内 布制神社」とあります。

 

布制神社の境内入口

参道を進むと二の鳥居が現れます。

二の鳥居は木製の両部鳥居。

写真右は手水舎と思われますが、水道の蛇口すらない状態。そのわりには紙垂(稲妻型の紙)が吊るされています。

 

布制神社拝殿

石段を登った先に拝殿があります。

拝殿は鉄板葺の入母屋(妻入)、向拝1間。柱はいずれも角柱。

大棟は箱棟になっており、正面側には菊の紋が描かれています。

 

布制神社拝殿の向拝

拝殿の向拝柱は几帳面取りされた角柱。柱上の組物は、木鼻のついた平三斗(ひらみつど)。

2つの向拝柱にわたされた虹梁(こうりょう)には植物のツルが彫られています。虹梁の上の中備えには比較的シンプルな蟇股(かえるまた)。向拝柱から突き出た両端の木鼻は、象に近いシルエットになっています。

 

本殿

布制神社本殿

拝殿の裏には本殿が鎮座しています。

本殿は鉄板葺の三間社流造(さんけんしゃ ながれづくり)。正面3間・側面2間、向拝1間。

三間社としては小規模な部類になりますが、全体のバランスは悪くなく、左前方から見ると破風板がきれいな「へ」の字を描いています。

造営年代および祭神は不明ですが、あまり古いものには見えないので明治期かそれ以降のものと思います。

 

布制神社本殿の向拝

正面の軒先を支える向拝柱は、几帳面取りされた角柱。柱上の組物は出三斗(でみつど)。

向拝柱にわたされた虹梁の上には蟇股が2つ配置されているだけ。

正面の階段の下には浜床が張られています。

 

母屋の柱は円柱で、正面には扉が3組。少なくとも3柱以上の神が合祀されていることが分かります。

 

布制神社本殿の海老虹梁

向拝柱の側面についている木鼻は、やや見づらいですが唐獅子。振り向いて正面側を向いたポーズをしています。

向拝柱と母屋柱をつなぐ海老虹梁(えびこうりょう)は、母屋の手前で大きく湾曲しています。海老虹梁の母屋側は頭貫の高さから出ていますが、向拝側は組物の上から出ていて桁と同じ高さです。

海老虹梁の向拝側がかなり高い場所から出ているせいなのか、海老虹梁と垂木の間のスペースに配置されるはずの手挟が省略されています。手挟は派手な彫刻を施すことが多いので、これがないのはちょっと寂しいです。

 

布制神社本殿側面

破風板の拝み(中央のいちばん高い場所)には懸魚がついていますが、このほかに懸魚はついておらず、桁の木口が露出しています。

母屋の妻壁にこれといった意匠はなく、角柱の束が1本立てられているだけ。率直に言って味気ないです。

母屋の梁は持出しされておらず、柱の軸上にわたされています。

 

布制神社本殿の背面

縁側は背面以外の3面にまわされた切目縁(きれめえん:壁面と直交に床板を張った縁)。欄干は跳高欄。縁側の背面側には脇障子が立てられていますが、彫刻などの装飾はありません。

背面の柱間も3間。柱間の壁面には板材を水平方向に張るのが普通ですが、この本殿は規模が小さいからなのか一枚板が張られています。

母屋柱の床下を見てみると、「床上は円柱だが床下は八角柱」という定番の手抜き工作が観察できます。

 

以上、布制神社(石川)でした。

(訪問日2020/04/14)

寺社索引

山梨県

長野県

その他の都道府県

用語集

・用語集 ( / / / た・な / / ま・や・ら・わ)

寺社の基礎知識

その他コンテンツ

近現代の建築 ・博物館

自転車(輪行) ・駅そば ・参考書籍

新着記事