世をひねる

甲信地方(山梨県と長野県)の寺院・神社建築を語る雑記。

【甲州市】氷川神社(勝沼町) ~武州一宮の分社? 風変わりな入母屋本殿~

今回は山梨県のマイナー観光地ということで、甲州市勝沼町(かつぬまちょう)の氷川神社(ひかわ-)について。

 

氷川神社(勝沼町)は甲州市の南東部、国道20号線の近くに鎮座しています。

武蔵国一宮の氷川神社(さいたま市)の分社と思われ、この規模のわりに隋神門もあり、本殿はやや古風で個性のある造りの入母屋となっています。

 

 

現地情報

所在地 〒409-1312山梨県甲州市勝沼町上岩崎2628(地図)
アクセス

勝沼ぶどう郷駅から徒歩40分

勝沼ICから車で3分

駐車場 3台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 なし
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道

氷川神社の境内入口

氷川神社の参道および社殿は北西向き。珍しい方角を向いています。

入口の鳥居は明神鳥居。扁額は判読不能でした。

 

氷川神社の随神門

随神門は鉄板葺の切妻(平入)。三間一戸。柱は角柱。

側面は2間ですが、正面側の1間は壁のない吹き放ち。甲府盆地の随神門はこういった構造が多いです。

梁の下部や垂木の鼻先は青色に塗装されています。

 

氷川神社の拝殿

随神門を通って石段を登った先には拝殿があります。

拝殿は鉄板葺の入母屋(平入)、向拝1間。

向拝の縋破風(すがるはふ)には桁隠しが付いており、ここだけ青色で目立ちます。

 

氷川神社の拝殿の向拝

向拝の軒下。垂木は一重でまばら。

虹梁(こうりょう)の中備えには木鼻のついた組物(平三斗)が置かれ、その左右に蟇股(かえるまた)が置かれています。

拝殿内の扁額には「氷川神社」とありました。

 

氷川神社の神楽殿

拝殿の左には、神楽殿がつながっています。鉄板葺の入母屋。

内部は格天井、梁には青い線彫りがあり、欄干は擬宝珠付き。

 

本殿

氷川神社本殿

拝殿の裏には、一段高くなった場所に本殿が鎮座しています。

本殿は鉄板葺の一間社入母屋(いっけんしゃ いりもや)、平入。正面に千鳥破風(ちどりはふ)、向拝1間。

正面1間・側面1間。背面は2間の可能性もありますが、塀と灌木にさえぎられているため確認は断念。

入母屋の本殿は山梨県東部で多いですが、この氷川神社の本殿は屋根に千鳥破風がついているため棟がT字になっているのが特徴。

 

造営年代は不明。後述する細部の意匠からして、江戸初期から中期の作風に見えます。

祭神は、山梨県神社庁によるとスサノオと国之常立神の2柱。とはいえ氷川神社という社名からして、スサノオの妻子のクシナダヒメと大国主も祀られているのではないでしょうか。

 

氷川神社本殿の正面

写真手前の向拝は柱が角柱。

2本の角柱をつなぐ虹梁の中備えには、竜と獅子(?)の彫刻が虹梁の上の空間にびっしりと配されています。その両端の木鼻は、正面側は唐獅子、側面は象が彫刻されていました。

 

奥の母屋は柱が円柱。

扉は少し奥まった場所にあります。2組の板戸が並んでおり、祭神の数と合致します。

母屋の正面側の梁を見ると、中間には平三斗、その両脇に蟇股が配置されています。ここは拝殿の向拝と似たレイアウト。

 

縁側は擬宝珠付きの切目縁。背面側は脇障子でふさがれています。

背面にも縁側がまわされているか確認したかったのですが、前述のとおり塀と灌木にはばまれて未確認です。

 

氷川神社本殿の右側

右のほうから見上げた図。

屋根裏の垂木や正面の階段などの棒材の木口は青色に、母屋柱に打たれた長押の側面は赤色に塗装されており、独特な配色。

組物は1手先の出組。軒支輪も確認できます。写真ではわかりづらいですが、側面の貫の上には甲州(山梨県)の本殿でよく見られる詰組が配置されています。

垂木は二軒(ふたのき)の繁垂木。入母屋なので垂木が四方に伸びています。

 

氷川神社本殿

向拝と母屋をつなぐ海老虹梁(えびこうりょう)の母屋側を見ると、頭貫ではなくその上の組物のところから出ているのがわかります。向拝側も、唐獅子の木鼻の裏ではなく組物のところから出ている様子。

 

一間社と二間社の中間のような面白い構造で、造りも古風なのでもっと近づいて背面からも見たかったのですが、冬季でも藪が深くて近づけないのが少々惜しかったです。

 

以上、氷川神社(勝沼町)でした。

(訪問日2020/01/24)

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