今回は滋賀県東近江市の龍田神社(たつた-)について。
龍田神社(竜田神社)は五個荘の集落に鎮座しています。
創建は不明。社伝によると、当地を開拓した位田氏により開かれ、1170年(嘉応二年)に5柱の神を合祀し大正神社と称したとのこと。その後の沿革は不明。明治時代に現在の社号に改められました。
境内や社殿は江戸中期以降のもののようで、拝殿が市の文化財となっています。
現地情報
所在地 | 〒529-1421滋賀県東近江市五個荘竜田町307(地図) |
アクセス | 五箇荘駅から徒歩15分 八日市ICから車で15分 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 随時 |
入場料 | 無料 |
社務所 | なし |
公式サイト | なし |
所要時間 | 15分程度 |
境内
拝殿
龍田神社の境内入口は南西向き。後述の社殿は南東向きです。
入口の鳥居は石造の明神鳥居。扁額は「竜田神社」。
参道右手には手水舎。
切妻、桟瓦葺。
柱は角柱。頭貫に木鼻がついています。
中備えには束が立てられ、花肘木で軒桁や妻虹梁を受けています。束と柱は貫で連結されています。やや風変わりな造り。
道なりに進むと参道が左に90度折れ、境内は南東向きになります。
こちらは拝殿。訪問時は、屋根の葺き替え工事中でした。
拝殿は、入母屋(妻入)、檜皮葺(?)。
江戸中期の造営のようです。市指定有形文化財。
柱は角柱。
柱間に建具がなく、4面すべてが吹き放ち。滋賀県内の拝殿でよく見られる造り。
頭貫には拳鼻、柱上には出組が見えます。
軒裏は一重まばら垂木。
拝殿向かって右手前には社務所。
玄関の屋根の入母屋破風には懸魚や蟇股がありますが、金網がかかっていてよく見えず。
中門
拝殿の後方には、中門と塀に囲われた本殿が鎮座しています。
中門は、一間一戸、切妻、銅板葺。
柱はいずれも角柱。
前後に控柱が立ち、貫で主柱と連結されています。両部鳥居と似た構造。
主柱のあいだの門扉は桟唐戸。
桟唐戸の上側の格子の部分は、花狭間の意匠がついています。
桟唐戸の上には虹梁が渡され、大きな透かし蟇股が配されています。
柱の前後に男梁を持ち出し、軒桁で垂木と軒裏を受けています。
男梁の根本の下側には、繰型のついた女梁が添えられています。
破風板の拝みには、鰭付きの蕪懸魚。
本殿
本殿は、桁行3間・梁間2間、三間社入母屋、向拝1間、銅板葺。
祭神はアマテラス、誉田別命、イザナキ、イザナミ、天児屋根、大国主の6柱。
向拝は1間で、母屋(3間)とおなじ幅で広々と造られています。
軒下には角材の階段が5段。階段の下には浜床。
向拝柱は几帳面取り角柱。柱上の組物は皿付きの出三斗。
柱の側面には象鼻のような木鼻。
虹梁中備えはシンプルな板蟇股。
奥の母屋は正面3間で、中央の柱間が広めに取られています。建具は蔀。
軒裏は二軒繁垂木。
海老虹梁は向拝の組物の上から出て、軒裏をかすめながら母屋の組物の位置に取り付いています。
向拝の縋破風の桁隠しには猪目懸魚。
母屋柱は円柱。側面の柱間は、舞良戸と横板壁。
組物は出組。中備えは蟇股。
破風板の拝みは鰭付きの猪目懸魚。
入母屋破風の奥の妻飾りは、虹梁と豕扠首。
大棟の鬼板には、鳥衾が3本ついています。
背面も3間。軒下の意匠は側面とほぼ同じ。
縁側は切目縁が4面にまわされ、背面側は脇障子を立てて区切られています。縁側の欄干は跳高欄。
本殿の両脇には境内社。
両社とも、一間社流造、銅板葺。
清林寺
龍田神社の境内南には清林寺(せいりんじ)。龍田神社とはとくに関係のない寺院かと思いますが、あわせて紹介。
清林寺は真宗大谷派の寺院で、山号は安養山。境内は南西向き。
入口の山門は、一間一戸、薬医門、切妻、桟瓦葺。
正面の梁の上の中備えは、竜の彫刻。
男梁と女梁の先端には、雲状の繰型がついています。
妻飾りは笈形付き大瓶束。笈形は雲の意匠。
山門の先には本堂。
入母屋、向拝1間、本瓦葺。
虹梁中備えは法輪の彫刻。
向拝柱は几帳面取りで、側面には獏の木鼻。柱上は連三斗。
鐘楼は、入母屋、桟瓦葺。
柱は円柱で、頭貫には唐獅子の木鼻がついています。
以上、龍田神社でした。
(訪問日2022/10/15)