甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【高森町】瑠璃寺と日吉神社

今回は長野県高森町の瑠璃寺(るりじ)と日吉神社(ひよし?-)について。

 

現地情報(瑠璃寺・日吉神社)

所在地 〒399-3106長野県下伊那郡高森町大島山812(地図)
アクセス 市田駅から徒歩1時間
松川ICから車で10分
駐車場 10台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト 天台宗 瑠璃寺/信州 瑠璃の里
所要時間 15分程度

 

瑠璃寺

参道

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駐車場は境内の途中にあり、桜並木の参道を進むとすぐに本堂があります。

 

本堂

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本堂(薬師堂)は桟瓦葺の入母屋(平入)、正面は向拝1間。母屋は円柱、向拝は角柱。瑠璃寺のホームページによると1672年の建立とのこと。

正面3間・奥行3間で、寺院の本堂としては小さい部類に入りますが、柱間が長くとられていて、数字以上に立派に見えます。

向拝の蟇股(かえるまた)の彫刻は猫でしょうか。蟇股の猫というと日光東照宮の“眠り猫”が著名ですが、他の例はあまり見たことがなく、ちょっと珍しいと感じました。

 

堂内には本尊の薬師如来が安置されており、平安時代前期の作で国重文に指定されていますが、拝観はできません。

 

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横から向拝を見た図。

大きく湾曲した海老虹梁と、垂木を支える手挟みの精緻な彫刻が印象的。また、よく見ると垂木が三重になっています。

写真左のほうの絵馬(?)は、五円玉を「め」の字の形に並べることで、眼病の治癒を祈願したものでしょう。

 

その他の伽藍とPPK地蔵

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本堂の左側には観音堂もあります。

こちらは内部を覗き見ることができ、前立と思しき仏像が見えました。

 

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参道の途中には弁天(?)が祀られたお堂も。

屋根は入母屋(平入)ですが、正面の階段を覆う庇(向拝)が長く伸びていて、普通の入母屋とは一風変わったシルエットになっています。

 

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そしてこちらは“ピンピンコロリ地蔵”。県内では佐久市にある“ぴんころ地蔵”が有名ですが、どうやらここが発祥の地であり元祖のようです。

知らない人のために補足しておくと、ピンピンコロリ(略称:PPK)というのは「ぴんぴんと長生きしてコロリと逝く」という意味で、健康寿命を伸ばしましょうという旨の標語です。

なお、この地蔵菩薩は健康長寿だけでなく、家族円満・子孫繁栄、商売繁盛も祈願しているようで、要はなんでもありです。

 

日吉神社

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続いて、瑠璃寺と隣接する日吉神社に移ります。

日吉神社の境内は瑠璃寺より1段高くなった石垣の上に立っています。規模は非常に小さく、この写真に写っているのが境内の全てです。

 

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拝殿は瓦葺の切妻(平入)。

神社なのに瓦葺で、しかも現代風の瓦なのであまり期待できないと思ったのですが、中を見てみると本殿と思われるものがありました。

 

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拝殿の内部。

右は一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。標準的な造りです。

左はこけら葺き(?)の五間社入母屋(ごけんしゃ いりもや)、正面に千鳥破風と向唐破風付き、向拝1間。

 

以上、瑠璃寺と日吉神社でした。

(訪問日2019/08/03)