甲信寺社宝鑑

甲信地方の寺院・神社建築を語る雑記。

【飯田市】諏訪神社(下黒田)

今回は長野県飯田市下黒田(しもくろだ)の諏訪神社(すわ-)について。

 

現地情報

所在地 〒395-0004長野県飯田市上郷黒田2344-2(地図)
アクセス 桜町駅から徒歩20分
飯田ICから車で15分
駐車場 5台(無料)
営業時間 随時
入場料 無料
社務所 あり(要予約)
公式サイト なし
所要時間 10分程度

 

境内

参道

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境内の入口。住宅街の中に、うっそうと茂った社叢があります。

この鳥居をくぐった先で参道が左に90度曲がっています

 

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参道を進むと、すぐに拝殿と手水舎が見えてきます。

拝殿の後方にある高い屋根は、本殿の覆いです。

 

舞台

 

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拝殿の右側には、2階建ての瓦屋根の舞台があります。これは冒頭に書いた黒田人形浄瑠璃に使われるもの。案内板(文化庁、長野県・飯田市教育委員会設置)によると1840年の造営。

特筆すべきは間口の梁の長さで、間口が8間あるにもかかわらず梁間に柱がありません。てこの原理を利用した「亀甲梁」なる構造が採用されているらしいですが、どの辺が亀甲(六角形)なのかはよく解りません。内部の小屋組が見られないのが惜しいです。

 

拝殿

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拝殿は小規模な鉄板葺の切妻(妻入)。極太のしめ縄が印象的。

扁額には「」。

なお、入口の鳥居の扁額には「諏訪神社」とありました。

 

本殿

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本殿には覆いがかけられていますが、板の隙間から覗き見ることができます。

様式は、銅板葺の一間社流造(いっけんしゃ ながれづくり)。

母屋は円柱、写真右の向拝は角柱。梁は二手先の組物で持ち出されています。梁の蟇股は装飾・彫刻のないシンプルな造り。

脇障子、梁と束、手挟み、向拝の中備(蟇股)には精緻な彫刻が施されています。この本殿は江戸期のものと断言していいでしょう。

 

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向拝の下部。

階段は角材を使った正式な造りで、階段下の浜床は板を壁面に直交させた切目縁(きれめえん)という正式な張りかた。

 

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背面。こちら側は、装飾らしいものは梁の彫刻と木鼻くらいです。

母屋の柱を見ると「床上は円柱だが床下は角柱」という定番の手抜きがなされており、さらに床下の壁板はちょっと節が目立ちます。

 

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最後に本殿の隣に立つ境内社。

いずれも小規模な祠ですが、寄棟の屋根で保護されています。

 

以上、諏訪神社(下黒田)でした。

(訪問日2019/08/03)